原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

これまでの「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「安全文化醸成活動」に加え、「自主的・継続的な安全への取り組み」についても確認・助言することから、これらを「原子力安全」と簡潔に表現し、名称を「原子力安全検証委員会」に変更いたしました。至近の取組みについては「原子力安全検証委員会」をご覧ください。
2006年11月1日



第6回 原子力保全改革検証委員会



 当社は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止に係る具体的方策の実施について、社外の有識者を主体とした独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善に支えられた安全の確保をより確実なものとすることを目的として、「原子力保全改革検証委員会」を設けております。
 前回の第5回検証委員会では、「再発防止対策が現場第一線まで浸透し、継続的改善が自律的に進む程度の段階にあることを高浜発電所において確認した」等の評価をいただきました。今回の第6回検証委員会では、「保守管理の継続的改善」と、行動計画の現場第一線での自律的な実現に焦点を当てた「定検工事における再発防止対策の実施状況」について検証いたしました。なお、検証委員会の開催に先立ち、10月6日には社外委員により原子力研修センターを視察すると共に、大飯発電所において再発防止対策の実施状況を確認しており、これらの結果も踏まえて検証を行いました。その結果についてお知らせいたします。

1.日 時 平成18年10月24日(火) 14時00分~16時25分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者
委員長  【社 外】 大森 政輔 (弁護士)
副委員長  【社 外】  慶次 (大阪大学名誉教授)
委員  【社 外】 黒田 (日本ヒューマンファクター研究所 所長)
   【社 外】  由紀子 (都市生活研究所 所長)
   【社 外】 政野 澄子 (福井県女性エネの会 会長)
   【社 外】  宮村 鐵夫 (中央大学教授)
   【社 外】 向殿 政男 (明治大学教授)
   取締役副社長 齊藤 紀彦  
   常務取締役   篠丸 康夫  
     
(敬称略 社外委員名は五十音順)

4.冒頭挨拶
  【大森委員長挨拶骨子】
    美浜発電所3号機は、9月21日、原子炉の試験起動を行い、その後の各種点検の結果、設備の健全性が確認された。本格起動時期については、諸般の事情を考慮し来年1月中旬を目途として所要の準備を進めるとのことだが、今後とも、安全最優先のもとに、運転再開に向けた準備を進めることを期待する。
    本検証委員会では、今年度は毎回重点検証テーマを定め、詳細な検証を行うと共に、各原子力発電所の定検工事における再発防止対策の実施状況について検証を進めてきた。本日は、保守管理の継続的改善と、大飯発電所の定検工事における再発防止対策の実施状況について審議をお願いする。
    過日、実地検証として、原子力研修センターでは、実機モデルをベースにした保修訓練の実施状況を視察すると共に、大飯発電所では、保守管理の状況等について説明を求め、設備面での安全への取組みを確認するなどにより、有益な成果を得る事ができた。
    本日は、これらの実地検証の成果を踏まえて、忌憚のないご意見をいただきたい。
       
5.議事概要
    5-1.第5回検証委員会で頂いた意見に対する対応状況について
   第5回検証委員会で委員の方から頂いた意見に対する対応状況について、報告・審議し、了承。
    5-2.再発防止対策の実施状況の検証について
    (1) 保守管理の継続的改善の実施状況と監査結果
       原子力保全改革委員会事務局から、保守管理の継続的改善の取り組み状況について、また経営監査室から、同取り組みの監査結果について、報告・審議。 
     
<審議結果>  
保守管理のプロセスである技術情報の収集、工事計画、調達管理、評価・改善の各段階において、再発防止対策が有効に機能し、これらが保守管理全体の改善につながっている。
また、明確化されたメーカ・協力会社との役割分担の個別工事への適用については、チェックシートを設けて、更なる改善につなげる仕組ができている。
さらに、大飯発電所において、原子力事業本部と連携した協力会社との対話活動、情報共有化を通じて、協力会社と一体となった保守管理の改善に取組んでいることを確認した。
以上のことから保守管理の継続的な改善活動は、発電所においても、自律的に進む段階にあると言える。今後とも、これらの取組みが風化することなく協力会社と一体となって実施され、関西電力の安全文化として定着されることを期待する。
   
<意見>  
関西電力として、恒常的な、長持ちする、しかも効果がある安全の戦略を作っていくことが必要である。(黒田委員)
大飯発電所ではマイプラント意識を醸成するための良い取組みを行っているが、それだけで十分ではない。最終的には小さなトラブルも起こさないという成果に結びつけることが大切である。また、安全な発電所作りを協力会社と力を合わせてやっていることを地元の方々に理解して頂くことも大事である。(篠委員)
製造業では各部門にいた品質保証の担当者を減らすと、当座は問題ないけれども時間が経過するとともに品質トラブルが増加してくる例が見られるが、今回の水平展開に関して新たに設けられた仕組をどう維持していくのか、元に戻らないような仕掛けを是非考えてほしい。 (宮村委員)
「役割分担チェックシート」により、協力会社との協業体制の改善を進めていることは評価できる。さらに、業務プロセスと標準類との関係の整理・整頓、効果的な活用方法、チェック項目の的確な表現などについて工夫を図り、保守管理体制の自律的で継続的な改善に資していただきたい。(宮村委員)
大飯発電所では協力会社との対話活動で受けた要望に対し、発電所で対応可能なものについてはよく対応している。発電所だけでは対応しにくい経営的な部分に関する要望についてもきちんと受け止め、発電所から経営層にきっちりと伝えて対応していくことを期待する。(篠委員)
協力会社からの意見・要望の評価基準として、「直ぐにできるもの」「直ぐにできないもの」という整理もあるが、「直ぐに対応すべきもの」「時間をかけて対応すべきもの」という整理の方が関電としての価値判断を織り込めるので本来のマネジメントとしては良い。(宮村委員)
3サイト間の良好事例の水平展開も含めて、情報の共有化は美浜事故の再発防止対策のキーポイントとして徹底して実施して欲しい。 (宮副委員長)
駆け込み寺的な位置づけで、何でもCAPに報告する文化を育てていくことは良いことである。(宮村委員)
情報源、コミュニケーションのルートが多様化して形成されている。今後、これらを整理整頓することが必要になってくると思う。作った背景や狙い、個々の活用方法や相互の関連を整理し、重複性や補完性を明確にしておくとよい。(宮村委員)
整理されていない情報が過多にあり過ぎると、ないに等しくなる。またスクリーニングをし過ぎると重要情報を見落としてしまうこともあり得る。経験豊かな専門の人間がスクリーニングする等、情報の管理をきちんとやってほしい。(宮副委員長)
各種情報については、断面、断面における評価だけではなく、時系列的なトレンドという観点からの分析にも留意して取り扱うようにしてほしい。(宮村委員)
リスクの事前抽出シートは、今までと変えた場合にどういう問題が起こりうるかを過去の経験に基づいてスクリーニングしていくという良い工夫である。新規要素・変更点リストといった形で表現すると、スクリーニングの背景、関連が透明化されてくる。仕事の進め方と帳票を工夫するとさらによい。(宮村委員)
原子力研修センターで、失敗例を展示し教訓(負の遺産の活用)として自ら学んでいることや、実機を使った補修作業の訓練を行なっていることについて、もっとPRしたら県民の安心につながるのではないか。(宮副委員長、政野委員)
調達管理の重要性に関する教育においては、受講者に業務の課題を持ってきてもらって考えさせると効果が出てくる。また、受講後教育結果がどのように業務で活かされているのかフォローアップすることも重要である。(宮村委員)
    (2) 定検工事における再発防止対策の実施状況と監査結果
       原子力保全改革委員会事務局から、定検工事における再発防止対策の取り組み状況について、また経営監査室から、同取り組みの監査結果について、報告・審議。
     
<審議結果>  
大飯発電所2号機第20回定期検査において、作業環境の改善等による作業者の安全・安心の確保、技術アドバイザーの改善活動等を通じた確実な発電所運営など、再発防止対策が現場第一線で自律的に実現されている。
また、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)活動によるマイプラント意識の向上や、表彰制度の工夫など、再発防止対策を支える自律的な取組みが図られていることを現地検証において確認した。
以上のことから、美浜発電所3号機事故再発防止対策は、大飯発電所において現場第一線まで浸透し、継続的改善が自律的に進む程度の段階にあることを確認した。
今後とも、これらの取組みが継続的に実施されることが重要であり、定期検査工事における再発防止対策の取組状況について検証していく。
   
<意見>  
大飯発電所の5S活動は良い活動であり、あまり無理せず根気良く、時間をかけながらやっていくことが重要である。(宮副委員長)
人間の基本行動を教育しなおしていくためには、5S活動等の活動のなかで、皆にわかるようにほめる等、ほめ方を工夫していくことが重要である。(黒田委員)
大飯発電所では5S活動などを通してマイプラント意識を協力会社と一体感をもって醸成しながら、良いことは褒め、競い合って良い循環を作り出している。最終的にはそれが自然に行動に現れ、さらに身についた美しいしつけになることを期待しており、また、この良い循環をより大きな輪にしていって欲しい。(篠委員)
5S活動においてしつけが大切であるが、その基本は挨拶である。チームワークを保ち、このしつけと清掃がしっかりとやられていれば、コミュニケーションもしっかりできて、不具合点も見つけやすくなる。(宮村委員)
協力会社の表彰制度は、美浜3号機の事故以前から実施されており、再稼動しても着実に実施されると思うが、発電所で働く人が緊張感を持ってやっていくためのさらなる環境作りを今後とも考えて欲しい。(篠委員)
大飯発電所の協力会社評価制度は、パフォーマンスだけでなくインプット、プロセスを加点主義に取り入れ、絶対値だけでなく相対的な進歩も評価しているなど、非常によい取組みである。是非、改善を加えながら継続的に進めていってほしい。(宮村委員)
配管等の図面は、変更を確実に反映させ、最新のものを書類としてきちっと残しておいて欲しい。(宮副委員長)
例えば、助言内容の分析により保修要員として不十分な分野に対する教育を充実・強化するなど、技術アドバイザーの知識・経験をダイレクトコミュニケーションを通じて移転していけるよう、マネジメントを工夫してほしい。(宮村委員)
進捗率という数値目標では、分子にばかり目がいきがちであるが、分母が明確かあるいは分母の定義が妥当かなど、分母にも目を向けることが大切である。(宮村委員)
       
    5-3.前回検証委員会以降の再発防止対策等の実施状況について
   原子力事業本部から美浜発電所3号機の点検状況等について報告。
     
    5-4.平成18年度第3四半期の検証テーマと検証の視点について
       経営監査室から平成18年度第3四半期の検証テーマ、検証の視点について提案・審議。
      <審議結果>
平成18年度第3四半期の検証テーマ、検証の視点については、次のとおりとすることで了承。
       
     
検証テーマ 視  点
高経年化対策 高経年化対策が、長期的な視野に立って、適切に推進されているか。

<配付資料>
・ 第5回原子力保全改革検証委員会で頂いた意見への対応状況
・ 保守管理の継続的改善について
・ 定検工事における再発防止対策の実施状況
・ 美浜発電所3号機事故再発防止対策実施状況について
・ 美浜発電所3号機事故 再発防止対策の実施状況(平成18年4月~10月実績と今後の予定)
・ 美浜発電所3号機の点検状況について

向殿委員、宮村委員、政野委員、篠崎委員、黒田委員(左から) 大森委員長、宮崎副委員長(左から)
向殿委員、宮村委員、政野委員、
委員、黒田委員(左から)
大森委員長、宮副委員長(左から)
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用語解説

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