原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

2013年2月26日


第3回 原子力安全検証委員会

 当社は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止策について、社外の有識者を主体とした独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善に支えられた安全の確保をより確実なものとすることを目的として、平成17年4月に「原子力保全改革検証委員会」を設置しました。
 さらに平成24年4月に社長が決意表明した「原子力発電の自主的・継続的な安全への取り組み」についても、同委員会として、確認・助言していくことから、同年7月に「原子力安全検証委員会」へ名称変更いたしました。
 前回の第2回検証委員会では、原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況については、「推進体制を構築し、本年4月に策定した『大飯3,4号機における更なる安全性・信頼性向上のための対策』を着実に実施していた。」、安全文化醸成活動の中間状況確認については、「『プラント安全』、『労働安全』、『コンプライアンス』の結果について特段の問題は見受けられなかった。」旨の評価を頂きました。
 第3回検証委員会では、「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況」について審議が行われ、その結果をお知らせいたします。

1.日 時 平成25年1月31日(木) 13時30分~16時30分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者(敬称略)
委員長  【社 外】 佐藤 信昭 (弁護士)
副委員長  【社 外】 邦夫 (京都大学名誉教授)
委員  【社 外】 加賀 有津子 (大阪大学教授)
   【社 外】 小松原 明哲 (早稲田大学教授)
   【社 外】  田中 健次 (電気通信大学教授)
   【社 外】 増田 仁視 (公認会計士)
   取締役副社長  井狩 雅文  
   取締役副社長 生駒 昌夫  
 

4.冒頭挨拶等
    佐藤委員長挨拶骨子
     
昨年10月の第2回原子力安全検証委員会の開催以降、12月には、私を含め数人の検証委員が大飯発電所を訪問し、運転中の3、4号機安全性向上対策の実施状況について、いくつかの現場を視察した。今後の委員会での検証活動に生かしていければよいと思う。
また最近では、原子力規制委員会の下で、新しい安全基準作りが進められているといった報道に接している。国際標準や福島第一の事故の教訓を踏まえた、時代に見合った新しい基準が策定されることを期待している。
今回は、「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み」が検証対象となる。
原子力発電を取り巻く厳しい状況の中で、原子力発電所の安全性・信頼性向上対策や福島第一事故の教訓・新知見の反映などの取組みが、真摯に、自主的かつ継続的に進められているかという観点で見ていくことが大切である。
これまでと同様、各委員からは、専門的あるいは総合的な観点から忌憚のないご意見を頂き、活発な議論をしたい。
     
5.議事概要
    5-1.第2回検証委員会で頂いた意見に対する対応状況について
   第2回検証委員会で委員の方から頂いた意見に対する対応状況について、原子力安全推進委員会事務局から報告し、審議・了承。
<報告内容等>
   
5-2. 原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況および監査結果について
        原子力発電所における自主的・継続的な安全への取組みについて、原子力事業本部から、また、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。
<報告内容等>
 
<審議結果>
安全性向上対策
「大飯3,4号機における更なる安全性・信頼性向上のための対策」については、検証委員が大飯発電所3,4号機を視察するなどし、着実に取り組まれてきている様を確認した。
事故報告書等からの知見反映
福島第一原子力発電所事故の各種調査報告書から安全性向上対策のチェック・レビューはもとより、意識、企業風土などの安全文化にかかる指摘事項を抽出・議論し、安全文化評価の枠組みへの反映を進めていた。
今後とも、関西電力は、国内外の最新知見を活かすなどし、更に原子力発電の安全性の向上に自主的・継続的に取り組むことにしており、その状況を本委員会は確認していく。
<意見等>
(原子力安全)
美浜3号機事故後においては労働安全面を意識して安全活動を行い、福島第一発電所事故後は、より原子力安全を意識した安全活動を行っているが、安全最優先では、原子力安全と労働安全は区別するものではなく、どちらも重視すべきだと思う。(東副委員長)
安全最優先では、原子力安全と労働安全は、どちらも重視すべきであり、相乗効果があるはずで、どちらを優先するのかという両天秤にかけるものではない(田中委員)
原子力安全は最終的には技術で確保するものなので、経済や市民感情の問題とは明確に識別した上で、世界最高水準の安全性を導いていくという考え方を望む。(小松原委員)
(更なる安全性向上対策)
世界原子力発電事業者協会(WANO)から、ベストプラクティスとして言われたことをそのまま受け入れるのではなく、関西電力としては、今のやりかたの方が良いと考えているという事があれば、逆に提案していくぐらいの姿勢があることが、狙いとしている更なる安全性の向上につながると思う。(田中委員)
集まる情報と集める情報は違うと言われているとおり、海外からレビューを受けることは受け身であり、自主的な活動につなげるためには、海外のいろいろな取組みについて、自分達の目で、もっと活用できるものがあるのではないか、という視点で見ていくことが期待される。(田中委員)
前回の委員会での指摘に基づき、監査側が安全対策を規制の枠組みと自主的な取組みとに整理しているが、このような整理は対策を実施する側が実施して、常に皆で共有し、個々の安全対策をどういう位置付けで進めているのか分かることが大事で、それが、自主的な活動につながると思う。(田中委員)
(原子力安全推進協会)
原子力安全推進協会(JANSI)が「前身の日本原子力技術協会(JANTI)と代わり映えしない」と受け取られないためにも、新組織としてどのような成果を出していくのかをアピールしていくことが必要である。(佐藤委員長)
事業者の自主規制と国の規制というダブルチェックが働いていることが、国民の信頼を高めると思う。そのため、独立組織として設立した原子力安全推進協会(JANSI)が強い権限を持ち、JANSIから指摘されたことを事業者はきっちり受け止めていくということをアピールしていくことが大事である。(増田委員)
(福島第一発電所事故、他産業等から学ぶ)
福島第一発電所事故を踏まえた安全文化面に関する検討については、突き詰めると東京電力という組織はなぜあのような事故を起こしてしまったのか、という話になると思う。真実をつきつめる必要はなく、推察で構わないので、その中から教訓を学び取ってほしい。(小松原委員)
福島第一発電所の事故とは違う図式で起こった重大事故、例えば、他産業でのトラブル(笹子トンネル事故、ボーイング787のトラブル)などから学びとることも必要である。(小松原委員)
安全に関わる専門家等の中で言われていることを参考にしてほしい。
テロや異常気象といった新たな脅威への備えが必要。
当たり前の日々の活動を抜けなく、マンネリ化せずにやっていくという地道な安全への取組みの継続方法の検討が必要。その中で、今までとは違う気質と思われる新入社員の指導のし方の検討が必要。
「想定外」と「想定を超える」という言葉を明確に区別した上で、何を想定して安全対策・体制を構築してきたかを今一度考え、想定を超えた時に何が起こるか、どのようにそれに備えるかの検討が必要。(小松原委員)
(安全文化評価の視点等への反映)
安全文化評価の「あるべき姿の例」で「分かりやすく伝えることができるかを常に追求している」という文言について、「実施または試行している」などの文言を追加し、また、実際に行動している事例を基にして、より提供すべき情報や方法論を追求しているニュアンスがあれば、より実態に則したものになる。(加賀委員)
安全文化評価の視点12をアクシデントマネジメントの主旨が入るように「トラブルの未然防止」から「更なる安全性、信頼性の向上」に見直しているが、具体的に何を評価するのかイメージできるような表現について、今年度評価も踏まえて再検討が必要である。(田中委員)
安全文化評価の視点12のあるべき姿の例にスローガンである「規制の枠組みにとどまることなく、世界最高水準の安全性を目指して」が出てくるのは、違和感がある。あるべき姿の例なので、具体的な例が入るべきである。(田中委員)
    5-3.次回検証委員会の検証テーマおよび検証の視点について
       次回検証委員会の検証テーマおよび視点について経営監査室から提案し、審議。
     
<審議結果>
次回(第4回)検証委員会の検証テーマと検証の視点については、以下のとおりとすることで了承。
     
検証テーマ 視  点
美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について
再発防止対策が、風化することなく、確実に定着しているか。
安全文化醸成活動の実施状況について
安全文化評価および重点施策が、適切に実施されているか。
福島第一事故の教訓を安全文化評価の枠組みに取り入れるプロセスと活動は適切に進められているか。
原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況について
規制の枠組みにとどまらず、更なる安全への取組みが、自主的かつ継続的に進められているか。
第3回 原子力安全検証委員会 佐藤委員長、東副委員長(左から)
第3回 原子力安全検証委員会
佐藤委員長、東副委員長(左から)
<参考資料>
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用語解説

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