原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

これまでの「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「安全文化醸成活動」に加え、「自主的・継続的な安全への取り組み」についても確認・助言することから、これらを「原子力安全」と簡潔に表現し、名称を「原子力安全検証委員会」に変更いたしました。至近の取組みについては「原子力安全検証委員会」をご覧ください。
2005年10月14日



第2回 原子力保全改革検証委員会



 当社は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止に係る具体的方策の実施について、社外の見識も含めた独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善状況に支えられた安全の確保をより確実なものとすることに資することを目的として、「原子力保全改革検証委員会」を設けております。
 第1回検証委員会では、再発防止対策全体に係る実施計画の策定状況及び第1四半期の全体の実施結果について検証するとともに、「2次系配管肉厚管理システムの充実」や「経営計画における安全最優先の明確化と浸透」についても重点検証テーマとして検証した結果、各対策の実施状況については、これから対策の内容を固める計画段階のものや、現場第一線への展開を始めた対策もあり、今後の実施状況を注意深く監視、検証していくことといたしました。
 今回の第2回検証委員会では、第2四半期における再発防止対策全体の実施結果を検証するとともに、「労働安全活動の充実」、「メーカ、協力会社との協業」、「地元とのコミュニケーションの充実」についても重点検証テーマとして、検証を行うことといたしました。その結果についてお知らせいたします。

1.日 時 平成17年10月7日(金) 14時~16時45分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者  
委員長  【社 外】 大森 政輔 (弁護士)
副委員長  【社 外】  慶次 (大阪大学名誉教授)
委員  【社 外】 黒田 (日本ヒューマンファクター研究所 所長)
   【社 外】  由紀子 (都市生活研究所 所長)
   【社 外】 政野 澄子 (福井県女性エネの会 会長)
   【社 外】  宮村 鐵夫 (中央大学教授)
   【社 外】 向殿 政男 (明治大学教授)
   取締役副社長 齊藤 紀彦  
   常務取締役   小笹 定典  
   常務取締役   篠丸 康夫  
     
(敬称略 社外委員名は五十音順)
4.議事概要
  【大森委員長挨拶】
    黒田先生、向殿先生が新しく委員となった。宜しくお願いしたい。
    委員長の補佐等の観点から副委員長ポストを設けることとし、宮委員に就任いただくこととなった。
    美浜3号機事故が発生してから、すでに1年以上が経過した。8月5日の 「安全の誓い」の石碑の除幕式に、委員会を代表して参列してきたが、このような事故を、二度と起こしてはならないという思いを再確認すると共に、当委員会の責務の重さを、一層深く感じた。
    本件のような事故を起こさないためには、再発防止対策が確実に実施され、安全最優先の考えが、現場第一線、協力会社に浸透することが何よりも重要である。
    本日は、第2四半期の実施状況を踏まえ、再発防止対策がより実効あるものに改善されるよう、委員の皆様から忌憚のない意見を賜りたい。

  【審議・報告事項】
    1.第1回検証委員会での意見に対する取り組み方針について
       第1回検証委員会で委員の方から頂いた意見に対する取り組み方針について、報告、了承。
     
<意 見>  
現方針通り、しっかり遂行していくことが必要である。
    2.再発防止対策の実施状況の検証について
    (1) 第2四半期の実施状況
       原子力保全改革委員会事務局から、第2四半期の全体の実施状況について、報告、審議。
      <審議結果>
 第1四半期において計画段階のものや現場第一線への展開を始めたばかりの対策もあったが、現時点においては、すべての再発防止対策が計画を完了し実施段階に入っている。また、2次系配管肉厚管理システムの充実等、第1四半期に監査した対策については、着実にPDCAをまわし、実施されている。
 労働安全衛生マネジメントシステムの導入、地元・協力会社等とのコミュニケーションを重点検証対象とした各対策についても計画通りに進捗しており、改善を加えつつ取り組みが進められている。
 しかしながら、実施段階に入った再発防止対策の中には、実施を開始したばかりのものもあり、第一線職場において再発防止対策が確実に浸透されていることを引き続き検証していく必要がある。 
     
<意 見>  
再発防止対策は時間をかけるものとそうでないものを仕分けして、オーバーロードにならないようにし、結果を長期的にどうフォローしていくかを明確にすることが望まれる。
関西電力は地元とのコミュニケーションは一生懸命行っているが、最近、トラブルが多いので、しっかり取り組んでほしい。
再発防止対策での取り組みを継続して実施するためには、表彰するなどのプラスのインセンティブが大切である。
    (2) 第2四半期の検証テーマの実施状況と監査結果
    労働安全活動の充実
       原子力保全改革委員会事務局から、「労働安全活動の充実」全般の取り組み状況について、また品質・安全監査室から、「労働安全衛生マネジメントシステム導入・水平展開の発電所等における実施状況」の監査結果について、報告、審議。
      <審議結果>
 労働安全活動の充実への取り組みは、計画に基づき着実に進捗している。
 労働安全衛生マネジメントシステムは、各発電所において改善に取り組みながら計画に基づき着実に導入されている。また、試運用から本格実施につなげるプロセスは、事業本部主体に評価、改善を行っていくなど明確化が図られている。
 しかしながら、本格運用はこれからであり、労働安全のさらなる充実を図り実施につなげているかという観点から引き続きモニタリングを行っていく必要がある
     
<意 見>  
労働安全衛生マネジメントシステムを道具にして関電の安全文化を形作っていくことが望まれる。
労働安全衛生マネジメントシステムの中に、原子力安全を含めた方式というものを新しく考えていく必要があるのではないか。
安全意識の向上に関して、関電社員と協力会社の意識のギャップなど様々な切り口から関電が主体となって原因を調査し、安全意識の高揚策につなげていくことが必要ではないか。
労働安全衛生マネジメントシステムの本格実施に移行すると、協力会社側の関係者が増えるので、どのように支援していくかが重要。
原子力は1次系については原子力安全の面で取り組みが進んでいるが、2次系とか労働災害という面では遅れていると思う。労働安全活動の一層の充実を図ることが望ましい。
定検前準備作業の取りやめについては、リスクアセスメントを活用して検討すべきではないか。
労働安全の観点において、設備の安全が第一で、それができてから人間系の話をすべきではないか。
    メーカ、協力会社との協業
       原子力保全改革委員会事務局から、「メーカ、協力会社との協業」全般の取り組み状況について、品質・安全監査室から、「メーカ、協力会社との対話活動強化の発電所等における実施状況」の監査結果について報告、また社外委員から、協力会社との技術情報連絡会に出席いただいた折のコメントを頂き、審議。
     
(社外委員コメント) 
協力会社が業務を受託して仕事を進めるうえで必要な情報を、関西電力が明確に定義して出していくことが望ましい。
協力会社から出てくる改善提案に対する水平展開とフォローアップの考え方を明確にして協業してほしい。
協力会社との協業に当たっては、協力会社の技術、スキルをどのように高めるのかという視点も考慮してほしい。
      <審議結果>
 メーカ、協力会社との協業への取り組みは、計画に基づき着実に進捗している。
 協力会社との対話活動の強化は、取り組みを評価する方法の明確化が課題であるが、抽出した意見に対する迅速かつ確実な対応や水平展開のプロセスは充実を図り実施されている。
 しかしながら、対話活動の強化以外の対策は計画の策定を完了し、一部実施を開始しているが、大半の実施は17年度下期からであり、引き続きモニタリングを行っていく必要がある。その中で、技術情報連絡会については、当社および協力会社から忌憚のない意見が交換され、双方向のコミュニケーションの場として、運用を通して、さらに有効に機能するよう継続的に改善していく必要がある。
     
<意 見>  
協力会社への要求は、協力会社に知恵を出していただくよう協力会社の力量に応じた要求としていくという考え方が大切である。
    地元とのコミュニケーションの充実
       原子力保全改革委員会事務局から、「地元とのコミュニケーションの充実」の取り組み状況について、品質・安全監査室から、「同取り組みの発電所等における実施状況の監査結果」について、報告、審議。
      <審議結果>
 地元とのコミュニケーションの充実は、技術系社員の対話活動への参加や、地元からのご意見を発電所運営・経営に活かし地元に回答するプロセスの充実を図り実施されている。
 しかしながら、地元とのコミュニケーションは継続的活動であるため、引き続きモニタリングを行っていく必要がある。
     
<意 見>  
地元とのコミュニケーションについては、今回の事故が原子力発電所が運転開始してから最大の事故であることに鑑み、第三者的立場で効果を慎重に把握するなど、工夫することが必要である。
効果の把握はもちろん重要であるが、関西電力としては短期的に効果が有る無しに係わらず、理解獲得活動は、やらなければならないものと考える。ただし原子力に対する理解獲得は学校教育の問題としても考えていく必要があるので、本委員会の対応だけでは解決できない面がある。
地元とのコミュニケーションも大切だが、電力消費地に対しても、関西電力の取り組みについて、きっちり伝えていくことが大切。
技術系社員に対して、地元とのコミュニケーションに参加した際、どのようなギャップを感じたかについてアンケート等でフォローしてほしい。
地元とのコミュニケーションにおいては、安全は客観的であり、安心は主観的であるといった関係にあることを意識して、今後、安全と安心の関係について理解を深めていく必要があるのではないか。
    3.第3四半期の計画に関する検証テーマと検証の視点について
       品質・安全監査室から第3四半期の予定を報告、同室が監査を行う検証テーマと検証の視点について提案、審議。
      <審議結果>
 第3四半期の計画に関する検証テーマ、検証の視点については、第一線職場を支援する仕組みが構築され着実に実施されているかという観点から、次のとおりとすることで了承。 
     
テーマ 視  点
発電所保守管理体制の増強等 発電所保守管理体制の増強が適切に行われたか。また、技術アドバイザー等の役割が明確化され、機能しているか。
積極的な資金の投入 協力会社、メーカからの意見等が検討会等に適切にインプットされ、投資計画の策定に適切に反映されているか。またその仕組みが適切に発電所に展開されているか。
安全の確保を基本とした工程の策定 協力会社からの意見を適切に汲み上げて現状の問題点を分析し、定検工程策定、変更のプロセスを明確化しているか。また着実に実施しているか。
原子力事業本部の福井移転 発電所に対して直接的、積極的な支援が行われているか。

<配付資料>
・ 第1回検証委員会での意見に対する取組方針について
・ 再発防止対策の実施状況総括(7月~9月実績と10月~3月予定)
・ 再発防止対策の実施状況(7月~9月実績と10月~3月予定)
・ 再発防止対策の実施状況のポイント
・ 「労働安全活動の充実」の実施状況について
・ 「メーカ、協力会社との協業」の実施状況について
・ 「地元とのコミュニケーションの充実」の実施状況について

向殿委員、宮村委員、政野委員、篠崎委員、黒田委員(左から) 大森委員長、宮崎副委員長(左から)
向殿委員、宮村委員、政野委員、
委員、黒田委員(左から)
大森委員長、宮副委員長(左から)
第2回 原子力保全改革検証委員会
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用語解説

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