原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

2014年2月19日


第5回 原子力安全検証委員会

 平成25年7月に一部の委員が交代(平成25年7月10日お知らせ済み)し、新委員が初めて参加して開催された第5回検証委員会では、「美浜発電所3号機事故の再発防止策の実施状況」、「安全文化醸成活動の実施状況」、「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況」について審議が行われ、その結果をお知らせいたします。


1.日 時 平成25年12月9日(月) 13時30分~16時30分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者(敬称略)
委員長  【社 外】 渡邉 一弘 (弁護士)
副委員長  【社 外】 邦夫 (京都大学名誉教授)
委員  【社 外】 安部 誠治 (関西大学教授)
 【社 外】 岩崎 日出男 (近畿大学名誉教授)
 【社 外】 加賀 有津子 (大阪大学教授)
 【社 外】 橋詰 武宏 (ジャーナリスト)
 取締役副社長
 執行役員
生駒 昌夫  
 常務執行役員 勝田 達規  

4.冒頭挨拶
    渡邉委員長挨拶骨子
     
当委員会は、社外の見識を含めた独立的な立場から、関西電力の美浜発電所3号機の配管破損事故に対して執られた再発防止策の有効性を検証することを目的として、平成17年4月に、「原子力保全改革検証委員会」として発足し、以後、18回にわたって、その「再発防止策」と「安全文化醸成活動」について、検証を重ねてきている。
その後、平成23年3月に起きた東京電力 福島第一原子力発電所事故を踏まえた、関西電力の「自主的・継続的な安全への取組み」をも、その検証の対象に加え、平成24年7月には、その名称を「原子力安全検証委員会」と改め、引き続き活動を行っている。
前回の委員会までに、新たに加えられた「自主的・継続的な安全への取組み」について議論を重ね、その取組み姿勢への助言等を行うことが、当委員会の目的に沿う、との整理がなされ、従前の検証活動に一区切りをつけることとし、4名の委員が交代された。
もとより、当委員会の継続性・連続性が維持される必要はあるが、今年7月には、新規制基準が施行されるなど、原子力発電を取り巻く環境も変わりつつあり、新たな委員が加わることによって、新たに検証活動を再スタートさせることには、意義深いものがある。
当委員会の議題は、「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の実施状況」、「原子力の安全文化醸成活動の実施状況」、「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況」の3つの柱であるが、本日は、「「安全文化醸成活動」の本年度の中間の状況確認が、適切に実施されているか」、「「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み」が、規制の枠組みにとどまらず、真に自主的・継続的に進められているか」といった視点から、審議したい。各委員からは、専門的あるいは社会一般の眼から忌憚のないご意見を頂き、活発な議論をしたい。
     
5.議事概要
    5-1.検証委員から頂いたご意見を受けた実施状況について
   検証委員から頂いたご意見に対する実施状況について、原子力安全推進委員会事務局から報告し、審議・了承。
<報告内容等>
   
5-2.美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について
        美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について、総合企画本部から報告。
<報告内容等>
 
<意見等>
風化防止のために、経験者の証言、ビデオを残して、経験していない人に思いを伝えることは大切である。(東副委員長)
事故対応の経験等を残すために、例えば経験者の口述記録やテレビの報道映像等を入れ、社員が見ることができるようにすることで風化防止の教材として活用できる。(加賀委員)
風化防止には、風化させないための取り組みが、効果を挙げていることを確認することが重要になってくるが、何らかの評価尺度を持つようにするとよい。(岩崎委員)
   
5-3.安全文化醸成活動の実施状況および監査結果について
       安全文化醸成活動の実施状況について、総合企画本部から、また、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。
     
<審議結果>
安全文化醸成活動の中間状況確認が実施され、重点施策は計画どおり進捗していた。特に、協力会社との意思疎通の強化を図る活動については、活動上の悩みがあるものの、各発電所で関係強化など新たな取組みも加えて工夫もしていたことを確認した。
安全文化評価の枠組みについては、福島第一原子力発電所の事故報告書等からの教訓を反映した後も、更に新規制基準の施行やプラント長期停止といった状況の変化を踏まえ、見直しが実施されていた。
今後、関西電力は、誰のための安全文化か、そして枠組みを見直した意味を理解し、平成25年度安全文化評価を適切に実施しているか、本委員会は引き続き確認していく。
<意見等>
不祥事等の問題を起こさないよう支えるのは、文化と、さらに言えば組織風土の二つである。本検証委員会でも、新委員も入られたことから色々と意見等を出しながら、ここはどういう説明になっているかと検証し、風化させないことが、この委員会の目的と理解して今後も進めていきたい。(渡邉委員長)
IAEA(国際原子力機関)が言う「安全文化の発展段階」において、最も高い「安全は常に改善できる」段階まで高めるには、現場の文化とトップの文化にずれが無いことが必要である。(渡邉委員長)
安全文化醸成上、一番基本的で重要なことは、現在の状態に対して「これでいいのか、これで十分なのか?」と、みんなが常に自問自答しながら、色々な事柄を注意深く見つめていることだろうと思う。そして、例えば協力会社の人が気づいたことも、それが関西電力の適切な部署に伝わり、取り上げられ、検討の機会が与えられねばならない。そのためには、組織内のいろんな階層間のコミュニケーションが日頃から成り立っている必要がある。関西電力もその事の重要性については充分に認識され、取り組んでこられたし、我々もそれを検証してきたつもりである。(東副委員長)
INPO(米国原子力発電運転協会)を参考にする等、よく勉強して安全文化評価の視点を整理できている。難しいことだが、これらの視点で絶えず考えることのできる社員を育てることが大切である。(安部委員)
発電所の作業をお願いしている協力会社の方々の安全文化抜きに発電所全体の安全文化の構築は難しく、どのように浸透させるかは、大きな課題である。(安部委員)
美浜3号機再発防止対策、安全文化醸成活動の重点施策、福島第一事故を踏まえた取組みなど、安全への取組みの背景、「取り組まなければならない」と考えた企業内の文化、つまり、一人ひとりがもっている様々な経験、中でも「こういう『思い』をもってこういう取組みをしている。」というこの「思い」が経験価値であり、残していくべきである。(岩崎委員)
継続されている安全文化醸成活動の中で、マンネリ化しないように新たな試みをされていることは意味があると思う。(加賀委員)
「トラブルは現場の些細なことや日常でうっかりすると見逃してしまいそうなところから発生する」ということを全従業員が留意し、現場をしっかりと見据えた上で、安全文化醸成の取組みを考えていただきたい。(橋詰委員)
安全文化の評価を数値化することは難しいだろう。評価の視点ごとによくディスカッションすることは大事だと思う。(橋詰委員)
    5-4.原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況および監査結果について
       原子力発電所における自主的・継続的な安全への取組みについて、原子力事業本部から、また、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。
<報告内容等>
  • ○原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み状況
     
<審議結果>
安全性・信頼性向上のための対策は、本年7月の新規制基準の施行後に追加された対策も含め、計画に基づき着実に実施している。さらに、安全対策の実効性を高めるために、過酷な条件を想定した多種多様な訓練等により、評価・改善を図る活動が実施されていた。
本年11月には、検証委員が美浜発電所を視察し、その取組み状況を確認した。
今後とも、関西電力が新規制基準の要求にとどまることなく、更なる安全への取組みを継続的に実施しているか、特に最新知見を取り入れた自主的取組みの進捗状況についても、本委員会は引き続き検証していく。
<意見等>
今後、被監査部門である原子力事業本部が、新規制基準に基づいて取り組んでいる状況とその基準を超えて自主的に取り組んでいる状況を区別していってほしい。また、その情報を監査部門に与えて、新規制基準に基づく取組みなのか、自主的な取組みなのか、監査の切り口が的確になるように工夫してほしい。(岩崎委員)
自主的・継続的な安全への取組みの目標を原子力事業本部で活発に議論することが重要で、その目標を共有して取り組めている状態が最初の一歩だと思う。(岩崎委員)
関西電力が自主的な対策として実施するものならば、それを自主的にどう運用していくかという計画を早い段階で示していくことが必要であり、監査としても確認していってほしい。(加賀委員)
    5-5.次回検証委員会の検証テーマおよび今後の進め方について
      次回検証委員会の検証テーマおよび視点について経営監査室から提案し、審議。
     
<審議結果>
次回(第6回)検証委員会の検証テーマと検証の視点については、以下のとおりとすることで了承。
検証テーマ 検証の視点
美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況
定着した再発防止対策が風化することなく、確実に取り組まれているか。
安全文化醸成活動の実施状況
見直された安全文化評価の枠組みを理解して、評価が適切に実施されているか。
重点施策が、計画通り実施されているか。
自主的・継続的な安全への取組み状況
新規制基準の要求にとどまることなく、 更なる安全への取組みが、自主的かつ継続的に進められているか。
 
<参考資料>

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