原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

これまでの「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「安全文化醸成活動」に加え、「自主的・継続的な安全への取り組み」についても確認・助言することから、これらを「原子力安全」と簡潔に表現し、名称を「原子力安全検証委員会」に変更いたしました。至近の取組みについては「原子力安全検証委員会」をご覧ください。
2005年6月24日



第1回 原子力保全改革検証委員会



 当社は、第1回「原子力保全改革検証委員会」を開催いたしました。
 本委員会は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止に係る具体的方策の実施について、社外の見識を含めた独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善状況に支えられた安全の確保をより確実なものとすることに資することを目的とするものです。

1.日 時 平成17年6月17日(金) 14時~17時
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者 (敬称略)
委員長  【社 外】 大森 政輔 (弁護士)
委員  【社 外】  由紀子 (都市生活研究所 所長)
   【社 外】 政野 澄子 (福井県女性エネの会 会長)
   【社 外】  慶次 (大阪大学名誉教授)
   【社 外】  宮村 鐵夫 (中央大学教授)
   取締役副社長 詳介  
   常務取締役   小笹 定典  
   常務取締役   篠丸 康夫  
   
(敬称略 社外委員名は五十音順)

4.議事概要
  【大森委員長挨拶】
    関西電力のこれまでの「安全第一」のモットーと原子力安全・保安院からの「安全文化の欠如」との指摘の間の落差は、関西電力の置かれている立場の深刻さを端的に表している。
    崖っぷちに立つ関西電力の原子力の信頼を取り戻すためには、再発防止対策を着実に実施し、安全文化が構築されたことを確認する必要がある。
    第3者的独立の立場から、忌憚のない意見を出し、必要な場合には勧告することを通じて、本委員会の活動が原子力の安全の確立に寄与するように努力したい。

  【審議・報告事項】
    (1) 原子力保全改革検証委員会の進め方について
       原子力保全改革検証委員会の運営に必要な会議に関する事項、検証に関する事項等を規定した規則について、提案。
      <審議結果>
  原子力保全改革検証委員会規則については、審議、了承。
 

    (2) 再発防止対策の実施状況の検証について
       原子力保全改革委員会事務局から、美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施計画の策定状況及び第1四半期の実施結果と第2四半期の予定について、報告、審議。
      <審議結果>
 美浜発電所3号機事故の再発防止対策は、着実に展開、実施されている。しかしながら、各対策の実施状況については、これから対策の内容を固める計画段階のものや、現場第一線への展開を始めた対策もあり、今後の実施状況を注意深く監視、検証していく必要がある。 
     
<意 見>  
基本行動方針「安全を何よりも優先します」に関して
膝詰め対話を通して出てきた意見を課題化し解決するプロセスを明確にし、組織的・具体的に取組むことが必要。
現場の意見を吸い上げる際、繁忙感につながるものを整理し吸い上げ、本当に必要な仕事は何かを十分検討し、不必要なものを整理していくことも大切である。また、意見を聞く際、現場第一線を良く知っている人が主導して定期的に今後も実施していくことが必要である。これに関連し、実施できないものについても、十分コミュニケーションをとっておくことが大事。
   
基本行動方針「安全のために積極的に資源を投入します」に関して
教育における工夫として、グループディスカッションにより、多様な考え方をブラッシュアップして共有化していくことが大切。
安全最優先と工程管理の調和は重要なテーマである。現場第一線に対しては、具体的な内容をつめて示す必要がある。
   
基本行動方針「安全のために保守管理を継続的に改善し、メーカ、協力会社との協業体制を構築します」に関して
保守管理の方針は、安全と経営資源を結びつける重要な役割を果たすもの。今回、その方針を変更した結果、資源配分が行われることになるので、そのプロセスを明確にして業務に展開し標準化していくことが必要。
メーカ、協力会社との協業にあたっては、技術戦略を明確にしたうえで進めていくことが大事。
安全のためには設備の面やコンピュータの活用など人間の力以外の面も十分に検討・対策していく必要がある。
   
基本行動方針「地元の皆さまからの信頼の回復に努めます」に関して
技術系社員も地元とのコミュニケーションに係わることは大切。その際、技術的な内容は一般の方にもわかりやすく、工夫したうえで説明していく必要がある。
福井への原子力事業本部の移転について、移転の結果、原子力の安全がより安心できるものになることが肝要。そのためには、社員の士気の維持、向上が重要でその面での環境整備も必要。
原子力事業本部の福井移転に伴い、子弟の教育の問題もある。検討の際、東海村の対応が参考になる。

    (3) 第1四半期の実施状況の監査結果に基づく検証について  
    「経営計画における安全最優先の明確化と浸透」の実施状況
品質・安全監査室から、標記監査テーマについて、報告、審議。
      <審議結果> 
 「経営計画における安全最優先の明確化と浸透」について、安全最優先の明確化は図られている。また、経営層と現場第一線との膝詰め対話の中で上位機関に対する忌憚のない意見が出されており、安全最優先の浸透に向けて膝詰め対話は順調に行われている。
      <意 見> 
膝詰め対話で出てきた意見については、その意味、背景を十分おさえて、対応を考えていく必要がある。
    2次系配管肉厚管理システムの充実
品質・安全監査室から、標記監査テーマについて、報告、審議
      <審議結果>
 「2次系配管肉厚管理システムの充実」について、再発防止対策は適切にルールに展開されている。一方、ルールに基づく業務の実施においては、変更管理の帳票発行遅れなどの不備があった。これらの不備は対策されているが、その背景に業務の繁忙感があり、この繁忙感に対する対策を今後、注意深く監視していく必要がある。

    (4) 第2四半期の計画に関する検証テーマと検証の視点について
       再発防止対策全体の進捗状況を検証するとともに、品質・安全監査室が、監査を行う検証テーマと検証の視点について提案、審議。
      <審議結果>
  第2四半期の計画に関する検証テーマ、検証の視点については、次のとおりとすることで了承。
     
 テーマ  視 点
労働安全活動の充実 発電所、協力会社への聞き取り調査による意見が適切に抽出されているか。抽出された意見に対して、適切な対応が行われているか。
メーカ、協力会社との協業 メーカ、協力会社との技術情報連絡会等で出された技術情報などが活用されているか。
(地元との)コミュニケーションの充実 これまでの対話活動との役割の相違が明確になっており、計画に基づき、双方向のコミュニケーションが効果的に実施されているか。
      <委員の増員の提言>
 委員会として、関西電力に対して、労働安全など、安全についての見識や知見をお持ちの方に委員として参画いただくことを提言することについて了承。

<配付資料>
・再発防止対策の実施状況総括(4~6月実績と7~9月予定)
・再発防止対策の実施状況(4~6月実績と7~9月予定)
・再発防止対策実施状況のポイント

大森委員長 宮村委員、宮崎委員、政野委員、篠崎委員(左から)
大森委員長 宮村委員、宮委員、政野委員、篠委員
(左から)
第1回原子力保全改革検証委員会
第1回原子力保全改革検証委員会
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用語解説

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