原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

安全文化

組織・人が安全確保のために示す行動姿勢(意識や行動)であり、「トップのコミットメント」、「コミュニケーション」、「学習する組織」の3本柱が重要。この3本柱はIAEA(国際原子力機関:International Atomic Energy Agency)をはじめとする一般的な知見で、安全文化において重要とされている要素を包含。当社は、これらの国内外の知見に、美浜発電所3号機事故や東京電力福島第一原子力発電所事故の反省・教訓等を踏まえた要素を取り込み、評価の視点を設定。

一次冷却系

原子炉の炉心で発生する熱を原子炉冷却材で除去するための回路で、原子炉を含めた冷却回路を一次冷却系という。炉心で熱を受け取った一次冷却材は、蒸気発生器(熱交換器)に入り、パイプを通じて別の系統の冷却材(二次冷却材)に熱を伝え、温度が下った後、再び炉心に戻っていく。一次冷却系は放射性物質を含むので原子炉格納容器内に格納されている。

一次冷却材

原子炉を直接冷却し、熱を取り出すことに用いられる流体(原子炉冷却材)。加圧水型軽水炉(当社の原子力発電所)では、軽水(水)を用いており、放射性物質を含む。

エロージョン・コロージョン

金属材料の腐食が物体の流れにより加速される現象。材料表面に流体が衝突することなどによる侵食と化学的な作用による腐食との相互作用によって起きる減肉現象。

オリフィス

物体の流れている管路の断面を絞って狭めるもの。流量を測定するために設置するものを「流量計オリフィス」という。

技術アドバイザー

原子力発電所が法令や技術基準適合性の判断を行う際の技術的判断の統括者。

技術基準

ここでは「発電用火力設備の技術基準」と「その解釈について」のこと。 原子力の蒸気タービンおよびその他付属設備などの2次系設備についても適用されている。

CAD

computer aided design の略。コンピューターを利用して行う機械や構造物の設計・製図。

救急法救急員

傷病者が発生したときの適切な応急手当の知識と技術(人工呼吸や心肺蘇生術等)を持っている者。日本赤十字社が認定するもの。

減肉管理規格

ここでは「配管減肉管理に関する規格(2005年版)」と「加圧水型原子力発電所配管減肉管理に関する技術規格(2006年版)」のこと。原子力・安全保安院(当時)が、配管の肉厚管理について統一的な指針に基づいた管理が必要として、(社)日本機械学会に策定を要請したもので、策定にあたって当社は、長年の運転実績に基づくデータを提供するとともに策定メンバーとして参画した。

サリー事故

米国サリー原子力発電所2号機で昭和61年12月に発生した事故。
定格出力運転中のところ原子炉が自動停止、その後タービン建屋にある給水ポンプ入口配管が破断した。破断部付近の配管内面は著しく減肉しており、この事故で作業員8名が火傷、うち4名が死亡した。

情報管理専任者

原子力発電所に水平展開の必要な事象について、運用、設備などの改善の必要性を提言、改善状況を確認し実施を促す者。

タービン建屋

タービン発電機や2次系設備を収納している建屋。

調達管理

物品の購入、工事の請負、業務の委託などに関する管理。

点検リスト

スケルトン図(配管のルートを立体的に表したもの)や点検管理票といった点検に必要な資料の総称。

二次冷却系

蒸気発生器(熱交換器)を介して一次冷却系から熱を受け取って蒸気をつくるための回路で、主蒸気・タービン系とも呼ぶ。蒸気発生器(熱交換器)内で一次冷却材から熱を受け取って蒸気を発生させ発電機のタービンに送る。放射性物質を含む一次冷却系とは隔離されたタービン建屋内に格納されている。

二次冷却材

原子炉の炉心で熱を受け取った一次冷却材から、蒸気発生器(熱交換器)を介して熱を伝達される流体(冷却材)。加圧水型軽水炉(当社の原子力発電所)では、軽水(水)を用いており、放射性物質を含まない。

品質保証システム

品質(原子力安全)に影響を与える活動を体系的に実施するための管理の方法を定め、品質に影響を与える全てのプロセスについて、これを計画し、実施し、評価し、改善するというP-D-C-Aサイクルを廻す仕組み。

PWR管理指針

PWR(加圧水型軽水炉)プラントの2次系配管について、減肉状況を管理するために点検対象、方法などを取り決めたもの。

福井県エネルギー研究開発拠点化計画

福井県を原子力と地域産業が共生する全国的なモデルケースとするため、研究開発機能の強化、人材の育成、産業の創出・育成を柱としたもので、福井県が策定した計画。

復水配管(2次系配管)

発電するためにタービン・発電機を回した蒸気を海水で冷やし、水にもどしたものを復水といい、その復水を送る配管。なお、加圧水型軽水炉(当社の原子力発電所)の復水には放射性物質は含まれていない。

保守管理システム

点検、試験、補修、取替えおよび改造の対象範囲を定め、その計画を策定・実施し、結果について確認・評価を行うとともに、必要時には是正処置を講ずるための管理システム。

マネジメントレビュー

品質マネジメントシステムを運用した結果、その適切性、妥当性および有効性について、あらかじめ定められた間隔で経営者自らが確認し、必要に応じて改善していく活動。

労働安全衛生マネジメントシステム

設備や作業上の潜在的な危険性を排除低減し、継続的に安全衛生水準の向上をはかる仕組みであり、厚生労働省の指針に基づいて運用する。

用語解説

事業概要