原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

これまでの「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「安全文化醸成活動」に加え、「自主的・継続的な安全への取り組み」についても確認・助言することから、これらを「原子力安全」と簡潔に表現し、名称を「原子力安全検証委員会」に変更いたしました。至近の取組みについては「原子力安全検証委員会」をご覧ください。
2008年11月26日



第11回 原子力保全改革検証委員会



 当社は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止策について、社外の有識者を主体とした独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善に支えられた安全の確保をより確実なものとすることを目的として、平成17年4月に「原子力保全改革検証委員会」を設置しました。
 平成20年5月に開催された第10回検証委員会では、安全文化評価の試行について検証を行なうとともに、3年間の再発防止対策の総括評価を行ない、そのうえで、委員会の所期の使命は一先ず達成できたとして、それまでの委員による活動に一区切りを付けることとしました。
 その後、検証委員会は今後原子力安全文化の醸成状況に対しても助言等を行っていくこととし、新委員による最初の委員会となる今回の第11回検証委員会では、安全文化評価の実施状況及び重点施策の実施状況を中心に検証を行ないました。その結果についてお知らせいたします。

1.日 時 平成20年11月7日(金) 13時30分~16時40分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者
委員長  【社 外】 佐藤 信昭 (弁護士)
副委員長  【社 外】  中込 良廣 (京都大学名誉教授)
委員  【社 外】 小松原 明哲 (早稲田大学教授)
   【社 外】  田中 健次 (電気通信大学教授)
   【社 外】 槇村 久子 (京都女子大学教授)
   【社 外】  増田 仁視 (福井経済同友会代表幹事)
   常務取締役   井狩 雅文  
     
(敬称略 社外委員名は五十音順)

4.冒頭挨拶
  【佐藤委員長挨拶骨子】
    当委員会は、美浜発電所3号機事故の再発防止策の有効性を検証することを目的として、平成17年4月に設置され、これまで10回開催してきた。
    第10回委員会では「関西電力の安全文化の再構築は自律的に進められている」と評価し、いわゆる旧メンバーによる委員会の所期の使命は達成されたことから一区切りをつけることとした。
    これを受け、私ども新メンバーによる最初の委員会が本日開催される。もとより、検証委員会としての継続性、連続性はあるが、メンバー構成も変わったので、新たな視点から、ものを申せばよいと思う。いずれにしても再発防止対策が風化していないか、安全文化の醸成が着実に進められているかの2点をしっかり見ていくことが重要である。
    本日は、昨年度に試行した安全文化評価の発電所への展開状況、重点施策の実施状況と監査結果の報告を関西電力から受けて審議する。各委員の専門の立場から忌憚のないご意見をいただき、活発な議論をしていただければ幸いである。
       
5.議事概要
    5-1.検証委員会規則の見直しについて
   検証委員会規則の改正案について経営監査室から提案し、審議・了承。
    5-2.第10回検証委員会で頂いた意見に対する対応状況について
        第10回検証委員会で委員の方から頂いた意見に対する対応状況について、原子力保全改革委員会事務局から報告し、審議・了承。
    5-3.再発防止対策の実施状況について
   再発防止対策の実施状況について、原子力保全改革委員会事務局から報告。
     
<意見>  
福井県民にとっては、再発防止対策に書かれている内容が、事故当時は十分でなかったということは驚きであった。それらの対策が日常業務に落とし込まれて風化防止に努めることは大切なことである。(増田委員)
    5-4.安全文化の醸成状況について
    (1)  安全文化評価の実施状況と監査結果
   安全文化評価の実施状況について原子力保全改革委員会事務局から、また、安全文化評価の監査結果について経営監査室から報告し、審議。
     
<審議結果>  
関西電力は、原子力安全文化の醸成に継続的に取り組んでいくため、これまでの試行を踏まえ、安全文化評価の仕組みを整備しており、各発電所では、それぞれ工夫しながら活動を開始している。
今後、本日の審議も踏まえて、安全文化の醸成およびその状況が継続的に評価され、必要な施策が取られる予定であり、その進捗状況を検証していくこととする。
<意見>
安全文化評価の枠組みに関しては、現在設定されている枠組みにこだわることなく、新委員からもう少し違った角度での意見が出てくればそれも織り込んだ枠組みとして、検証していくことも必要だと思う。(増田委員)
福井県民にとっては、原子力発電所の安全に関して関心の高い問題は、高経年化である。今後、安全文化を議論していく際に、その安全文化の中に高経年化がどのような形で関わってくるのか関心がある。(増田委員)
安全文化の話をするときには、発電所の社員、協力会社の作業員の「実はなあ」と言う生の声を聞き、対応していく事が非常に大切である。自発的にやるのと、言われて嫌々やるのとでは、大きな違いがある。人の心を汲んだ取組みが安全文化だと思うので、今後も対話活動を進めていただきたい。(中込副委員長)
発電所の現場で実際に作業を行なっている協力会社といかにコミュニケーションをとっていくかが、安全文化醸成のためには大切なことであるので、協力会社が話しやすい雰囲気作りに引き続き努めてほしい。(槇村委員)
発電所では協力会社を含めて安全文化の醸成活動を行うことが重要であり、美浜発電所で協力会社と一緒になって安全文化について議論し、その醸成状況を評価しようとしているところは評価できる。今後、各発電所でうまくいった取組みがあれば、他の発電所への展開を検討してはどうか。(田中委員、槇村委員)
安全文化の評価の枠組みは、非常に優れていると思うが、航空会社では委託会社を含めて皆が飛行機を飛ばす喜びをベースとして共有しているように、原子力発電所でも電気を起す喜びのようなものがベースにあり、それが皆に共有され、その上に、今の枠組みが構築されているという理解でよいか。(小松原委員)
黒四発電所には、自然に立ち向かい、克服し、共生しているというドラマがある。原子力発電所でも、働いている人の喜びや社会的な貢献、働いている人同士の人間関係といった人間くさい部分があるはずなので、そこに戻って考えることが、働く人のモチベーションを高めることになり、安全文化にもつながると思う。(槇村委員)
原子力に携わる人は、もっと自分の仕事に愛着を持ち、自信を持ってほしい。そのような気持ちでもって原子力を他の人に伝えていくことが大切であり、その気持ちを伝えることが安全文化構築の第一歩であろう。(中込副委員長)
一般の方に安全を分かってもらうためには、関西電力の社員、協力会社の皆さんが、安全最優先の文化を持ち、皆がそういう意気込みでやっていることを伝える事が大切である。(中込副委員長)
原子力発電所で働く人達のモチベーションを維持していくためには、原子力発電所の将来像に関するビジョンを打ち出すことも大切である。(増田委員)
安全文化の醸成活動は日本では関西電力がリードしていってほしい。時期が来たら関電の取組みをIAEAにアピールしたらよいと思う。これがスタンダードとなって世界に広まることを期待したい。(中込副委員長)
安全文化の醸成活動は関西電力の活動ではあるが、このような活動を通じて学んだことを広く発信をしていただくと日本全体の安全の基盤強化にも繋がっていくと思う。そのような視点を是非持っていただきたい。(小松原委員)
    (2) 重点施策の実施状況と監査結果
       重点施策の実施状況について原子力事業本部から、また、重点施策の監査結果について経営監査室から報告し、審議。
     
<審議結果>
19年度の安全文化評価の試行結果から出てきた重点施策は、着実に進められているが、その経過と実効性について、下期に引き続き進捗状況を確認していくこととする。
<意見>
全体的に計画や実施内容はしっかりしているが、その進捗状況について見えるようにして皆で共有しあうところが弱い気がする。(田中委員)
重点施策の取組みは、現場サイドの視点で具体的・詳細な内容となっており評価できる。今後、これらの取組みを確実に実行することで安全文化の基盤ができると思う。(槇村委員)
現場の自律的な取組みを重視しているが、現場の人たちが他の人たちの色々なものを参考にする場があれば、もっと意見交換ができ、自分たちで交流していけるかもしれない。安全文化を定着させるためには、現場レベルでのそういう仕組みを作ることも検討してほしい。(田中委員)
経験の浅い作業員や若年層への教育については、世代のギャップといったこともあるので、作業責任者等、指導する立場の人に対して、指導の方法やコミュニケーションの仕方などについて示していくことも大切である。(小松原委員)
「上司から部下への問いかけ」は、大切なことである。風化して実施しなくなることのないように、常に声かけをすることが大切である。(中込副委員長)
「上司から部下への問いかけ」に関して、確かに自分の経験でも、学生に対して、「やって当然」ということはあえて確認しないこともある。今回、意識的に問いかけをするようにしたことは、上司・部下の両方の意識喚起のため大事なことだと考える。(槇村委員)
「ポジティブ情報のより積極的な発信」として、「越前若狭のふれあい」に安全文化に関する掲載があるが、字数が多すぎると思う。色々なことを言いたいという気持ちはわかるが、あまりにも真面目に盛りだくさんに記載しているように思う。(中込副委員長)
「ポジティブ情報のより積極的な発信」に関連して、今は世界的にも原子力に追い風が吹いており、原子力に関する情報をもっと欲しいという状況を踏まえれば、原子力に夢を持たせるような広報が必要であると思う。(増田委員)
    5-5.その他報告事項について
       その他報告事項として、原子力事業本部から、「大飯発電所3号機原子炉容器Aループ出口管台溶接部の傷に対する対応」及び「MOX燃料調達に関する定期監査計画」について報告。
    5-6.平成20年度下期の検証テーマと検証の視点について
       平成20年度下期の検証テーマと検証の視点について経営監査室から提案し、審議。
      <審議結果>
 平成20年度下期の検証テーマと検証の視点については、次のとおりとすることで了承。
       
     
検証テーマ 視  点
美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況
  日常業務における再発防止対策の実施状況
  再発防止対策の品質目標への展開・管理状況
   
再発防止対策が日常業務として定着しているか
品質目標として運営計画の中で適切に実施されているか
発電所員の意識の上で事故の風化が起こっていないか
 
安全文化評価の実施状況
  H20年度の安全文化評価結果
  H21年度の重点施策の方向性
   
各発電所の自律的な評価結果が原子力部門全体の評価結果に反映されているか
各発電所において評価結果に基づき改善が図られているか
評価結果に照らして、H21年度の重点施策の方向性は適切なものとなっているか
評価の過程において、原子力安全文化推進委員会及び同ワーキンググループが有効に機能しているか
 
重点施策の実施状況
  H19年度の安全文化評 価試行結果に係る課題への対応状況
   
個々の重点施策が計画的に進捗しているか
今年度の実施結果について評価を行い、次年度計画に反映させているか
原子力安全文化推進委員会及び同ワーキンググループが、重点施策の進捗管理に、有効に機能しているか
 
 
<配付資料>
・ 第10回原子力保全改革検証委員会でいただいた意見への対応状況 [PDF 17.0KB]
・ 美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況 [PDF 585KB]
・ 安全文化評価の実施状況 [PDF 68.7KB]
・ 重点施策の実施状況 [PDF 1.01MB]
・ 大飯発電所3号機原子炉容器Aループ出口管台溶接部での傷に対する対応
 [PDF 227KB]
・ MOX燃料調達に関する定期監査計画 [PDF 21.7KB]

増田委員、槇村委員、田中委員、小松原委員(左から) 佐藤委員長、中込副委員長(左から)
増田委員、槇村委員、田中委員、小松原委員(左から)
佐藤委員長、中込副委員長(左から)
第11回原子力保全改革検証委員会
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