原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

これまでの「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「安全文化醸成活動」に加え、「自主的・継続的な安全への取り組み」についても確認・助言することから、これらを「原子力安全」と簡潔に表現し、名称を「原子力安全検証委員会」に変更いたしました。至近の取組みについては「原子力安全検証委員会」をご覧ください。
2011年11月30日



第17回 原子力保全改革検証委員会



 当社は、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止策について、社外の有識者を主体とした独立的な立場からその有効性を検証し、継続的な改善に支えられた安全の確保をより確実なものとすることを目的として、平成17年4月に「原子力保全改革検証委員会」を設置しました。
 前回の第16回検証委員会では、美浜発電所3号機事故再発防止対策については、「再発防止対策の29項目全ての歯止め方策が完了し、日常業務として取り組まれることになるが、今後とも再発防止対策が風化することなく、自律的に実施されているかを本委員会で継続的に確認していく」、また、平成23年度の安全文化評価結果および重点施策の実施状況については、「評価の仕組みが有効に機能し、根付いてきたものと考える」「今後、トラブルや労働災害を更に低減させていくために、安全文化評価に基づく息の長い改善活動が期待される」旨の評価をいただきました。
 第17回検証委員会では、平成23年度の安全文化中間状況確認結果および重点施策である若手社員育成策の充実・強化について、検証が行われました。その結果をお知らせいたします。


1.日 時 平成23年11月11日(金) 13時30分~16時55分
2.場 所 関西電力株式会社 本店
3.出席者
委員長  【社 外】 佐藤 信昭 (弁護士)
副委員長  【社 外】 邦夫 (京都大学名誉教授)
委員  【社 外】 小松原 明哲 (早稲田大学教授)
   【社 外】  田中 健次 (電気通信大学教授)
   【社 外】 増田 仁視 (公認会計士)
   取締役副社長  井狩 雅文  
   取締役副社長 生駒 昌夫  
     
(敬称略 社外委員名は五十音順)

4.冒頭挨拶等
    4-1.佐藤委員長挨拶骨子
     
前回5月の検証委員会以降、原子力発電所の再稼動に向けて、福島第一原子力発電所の事故の影響を受けた新たな安全確認の手続きが開始されているが、依然として、再稼動した発電所はなく、不透明な状況が続いている。
また、将来的な日本のエネルギーの選択において、「減原発」「脱原子力依存」といった風潮も高まりつつあり、原子力発電を取り巻く環境は大変厳しいものになっている。
本検証委員会では、美浜発電所3号機事故の再発防止対策の実施状況、長期的な安全文化の醸成状況の検証を行ってきて、関西電力の安全文化の醸成が相当進んで来ていると考えてもよい状況にあったと思う。
しかしながら、福島第一原子力発電所の事故や事故を端緒とする原子力を取り巻く環境の激変を受けて、今後、その影響、教訓等が関西電力の安全文化醸成活動にどのように取り込まれていくかについて、見ていく必要がでてきたのではないかと考えている。
本日は、平成23年度上期の安全文化醸成状況についての「中間状況確認」、また先日高浜発電所を視察した際に意見交換を実施した「若手社員育成策の充実、強化」の状況を検証し、その後、「大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)一次評価結果と安全確保対策」について報告していただくこととしている。
各委員においては、専門の立場あるいは大局的な見地から忌憚のないご意見をいただき、活発な議論をしたい。
     
5.議事概要
    5-1.第16回検証委員会で頂いた意見に対する対応状況について
   第16回検証委員会で委員の方から頂いた意見に対する対応状況について、原子力保全改革委員会事務局から報告し、審議・了承。
    5-2.美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について
        美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について、原子力保全改革委員会事務局および経営監査室から報告。
 
<意見等>
原子力監査グループの体制見直しについては、今後、その効果等の確認を行い、引き続き、監査にふさわしい体制を求めていく姿勢を期待したい (小松原委員)。
    5-3.安全文化醸成活動状況および監査結果について
   安全文化中間状況確認結果および4つの重点施策のうち、若手社員育成策の充実・強化を除く3つの重点施策の実施結果について、原子力事業本部から、また、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。引き続き、若手社員育成策の充実・強化の実施結果について、原子力事業本部から、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。
     
<審議結果>
関西電力の平成23年度安全文化醸成活動については、 「プラント安全」、「労働安全」、「社会の信頼」の中間状況の確認結果において、特に新たに取り組むべき課題が見受けられないことから、引き続き、これまでの重点施策に取り組まれたい。
今回のテーマである「若手社員育成策の充実、強化」については、平成20年度から継続して取り組まれ、指導員を指名し、OJTにより育成するペアリング等の各種施策が、各発電所で効果を発揮しつつある。検証委員会としても、9月の高浜発電所視察時に育成担当等との懇談を実施し、熱心に 指導方法を工夫している様を確認した。
平成23年度下期以降、関西電力において、福島第一原子力発電所事故の影響、問題点を把握し、教訓などを継続的に得るとともに、それが安全文化醸成活動に、どのように取り入れられていくか、そのプロセスを確認していく。
<意見等>
[安全文化醸成活動]
安全文化醸成活動においては、現在の何も起こっていない安全な状態を続けていけば良いというだけではなく、この安全な状態の中にあっても、何か新たな事故や危険の可能性が隠れていないか探り出そうと継続的に努力することも極めて重要である。そのためには、何か気がかりなことが出てくれば、些細な事であっても、皆で議論をして改善につなげていくことが大切である(東副委員長)。
より一層の安全のために、自らの判断により、困難な工事に積極的に取り組む関西電力の姿勢は、重要な文化になっていると思う。今後ともその文化を失うことなく、定着させていくことを期待する(小松原委員)。
津波が到来したが冷温停止することができた女川原子力発電所等の事例や、福島事故の対応支援のため関西電力から派遣された社員が、直接、現地で見、肌で感じたことから得られる教訓を、安全文化の醸成活動に活かしていくことも大切だと思う(小松原委員)。
プラントが長期に止まっていることで、定検作業のサイクルが乱れ、リスクが生じる恐れもあるが、しっかりとした安全文化が構築されておれば、自分達で高い意識を持って主体的に対応できると思うので、引き続き安全文化の維持、改善に努めてほしい(田中委員)。
今後、発電所の長期停止が続いていくのであれば、所員や協力会社社員のモラール等も含めて安全文化醸成活動に悪影響がないかなどにも着目するとよい(増田委員)。
関西電力が安全対策の説明をする際には、規制要求を満足しているから大丈夫という説明だけでなく、過去に蒸気発生器取替に予防保全的に取り組んだように、規制要求レベルをさらに踏み込んで対策を講じているような説明をしていくことがよいと思う(増田委員)。
[若手社員育成策の充実・強化]
若手社員育成の充実・強化のための各施策については、育成担当役付等に加えて、育成対象である若手社員の意見・評価等も踏まえながら、長期的にもフォローして、更なる改善に努めてほしい(小松原委員)。
教育では、押し付ける教育ではなく、個人になぜその教育が必要であるかを考えさせ、自分で計画を立て進めるような仕組みにすることが大切である(田中委員)。
    5-4.報告事項について
       原子力事業本部から、大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)一次評価結果と安全確保対策について報告。
     
<意見等>
福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策が進められていることは理解した。各発電所のより一層の安全確保に努められたい(佐藤委員長)。
    5-5.平成23年度下期の検証テーマと検証の視点について
       平成23年度下期の検証テーマと検証の視点について経営監査室から提案し、審議。
     
<審議結果>
平成23年度下期(第18回検証委員会)の検証テーマと検証の視点については、以下のとおりとすることで了承。
     
検証テーマ 視  点
美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況
再発防止対策が確実に定着しているか。
安全文化の醸成状況
平成23年度安全文化の評価状況
福島第一原子力発電所事故の問題点、事故から得られた教訓等がどのように捉えられ、安全文化醸成活動に取り入れられていくか。

<配付資料>
議事次第 [PDF 10.7KB]
第16回原子力保全改革検証委員会で頂いた意見への対応状況について [PDF 22.5KB]
美浜発電所3号機事故再発防止対策の実施状況について [PDF 959KB]
安全文化醸成活動の実施状況について [PDF 285KB]
重点施策の実施状況について [PDF 554KB]
平成23年度安全文化重点施策「若手社員育成策の充実、強化」の実施について [PDF 96.3KB]
大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)一次評価結果と安全確保対策について [PDF 257KB]
 

増田委員、田中委員、小松原委員(左から) 佐藤委員長、東副委員長(左から)
増田委員、田中委員、小松原委員(左から)
佐藤委員長、東副委員長(左から)
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