原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

第18回 原子力安全検証委員会

 第18回原子力安全検証委員会では「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況」および「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」について審議が行われましたので、その結果をお知らせいたします。

※2018年下期の進捗状況については、2019年5月20日にお知らせ済み。

1.日 時
2019年6月5日(水) 13時30分~17時15分
2.場 所
関西電力株式会社 本店(大阪市北区中之島)
3.出席者(敬称略)
(委員長) [社 外] 渡邉 一弘わたなべ かずひろ (弁護士)  
(副委員長) [社 外] 山口 彰やまぐち あきら (東京大学教授)  
(委 員) [社 外] 荒木 孝治あらき たかはる (関西大学教授)  
  [社 外] 小澤 守おざわ まもる (関西大学教授)  
  [社 外]  田中 嘉久たなか よしひさ (元福井県中小企業団体中央会専務理事)  
  [社 外] 松本 真由美まつもと まゆみ (東京大学客員准教授)  
  取締役副社長
執行役員
土井 義宏どい よしひろ
  常務執行役員 月山 將つきやま すすむ
(幹 事) 経営監査室長 阿川 毅あがわ つよし
4.冒頭挨拶
渡邉委員長挨拶骨子
  • ○本年5月1日、元号は「平成」から「令和」に替わった。この機会に改めて振り返ってみると、当「原子力安全検証委員会」は、その前身である「原子力保全改革検証委員会」が発足した平成17年4月から、美浜発電所3号機事故のような事故を2度と起こさないという想いを原点に、関西電力が行う再発防止対策、原子力の安全文化醸成活動について検証し、平成24年6月からは、委員会名を現名称に変更するとともに、これまでの検証事項に加えて、東京電力福島第一発電所事故をも踏まえた関西電力の原子力発電の更なる安全性の向上を目指した多種多様な取組み、とりわけ、その自主的・継続的な安全への取組みに対し、社外の眼で、中立的かつ客観的な立場から、様々な意見や助言を申し上げてきた。
  • ○元号が替わり、時代は節目を一つ超えたと言われているが、原子力発電に対する社会の見る目には、依然として厳しいものがある。原子力発電の安全性向上を目指した不断の努力とこのような取組みについての社会の理解に努めていくことの必要性・重要性に変わりはないと言わなければならない。本委員会に期待されている「美浜発電所3号機事故を真摯に反省し、二度と起こさない」という決意を原点に、「関西電力における原子力発電の安全性向上の取組みを、社外の眼で検証・確認する」という役割もまた変わることなく、むしろ今後益々ましていくのではないかと思う。
  • ○さて、本日の委員会では、検証テーマ「原子力発電の安全性向上に向けた取組状況」に基づき、
    • 原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組み
      (ロードマップ)」の取組状況及び監査結果
    • 美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組み状況および監査結果
    • 2019年度検証計画
    について検証・審議する。
  • ○どうか各委員の皆さんにおいては、ご専門分野の眼から、または社会一般の眼からご覧いただき、活発かつ忌憚の無いご意見、ご助言を賜りますようお願いする次第である。
5.議事概要

5-1.「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」の取組状況および監査結果
「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」の2018年度下期の取組状況について経営企画室から、また同監査結果について経営監査室から報告し、審議。

<報告内容等>

5-2.美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況および監査結果
美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況について原子力事業本部から、また同監査結果について経営監査室から報告し、審議。

<報告内容等>
<意見>

(労働災害)

  • ○労働安全は人命などと同じくリスク概念として上位にあるものだから、安全対策の中に外せない施策もあると考える。効果が低いとして止めると、土台が崩れてしまう項目があるような気がする。座標軸をもう1つ加えるのは難しいかもしれないが、安全を支える基本的な施策は外して、見直すほうがよいと思う。また、協力会社にも丁寧に説明し、理解を得る必要がある。(渡邉委員長)
  • ○労働災害について、全体を最適化することを検討されるのはとても良いことだと思う。簡略化が目的ではなく、きちんと対策の効果があがることが重要である。活動計画は担当する者が見れば分かるが、労働災害撲滅のために現場第一線では何をやることが目的でこの項目が上がっているのか、例えば研修の目的は何なのかといった観点で整理することが重要ではないか。(山口副委員長)
  • ○労働災害に関して、熱中症も作業の中で起こっているので、これを含めて評価するべきではないか。(小澤委員)

(協力会社との意思疎通)

  • ○規則やルールというのは生きたものであり、状況を見ながら変えていくものである。このため、発電所ごとに違う考え方、手順でやってきたので、職種毎に統一化されても、また同じようなことになる。現場のルールを統一するのも一つの方法だが、そもそもの運用を決める際の上位にあるルールの定め方についても考慮すべきではないか。(山口副委員長)
  • ○協力会社アンケートは効果的でよく分かるが、その他の記名あるいは匿名の情報の中で隠れたリスクを発見できる可能性がある。それらを吸い上げるシステムを整えることも有効なのではないか。また素晴らしい提案があれば褒めることも有効であり、放置されることがないようにお願いしたい。またこういう取組みを発信することも検討してほしい。(田中委員)

(社員育成策)

  • ○特定のスキルを身につけるための教育は、将来に亘って、どういう能力を持った人材がどれぐらい必要か見えていないと、どのように教育してよいかわからないので、このように明確に実践され始めたのは非常に良い。将来の状況を予測しつつ、それを人材の育成教育にフィードバックして、必要な人材がきちんと確保されている状態が継続するよう、今後も進めていただきたい。(山口副委員長)
  • ○育成計画策定に関して、各ラインの課題に応じた進め方のイメージが示されているが、既に実施されているものと完成していないものが混在しており、「知識スキルの精査・絞込みによる優先事項の明確化」や「ノウハウの文書化」の完成時期がわからない。(松本委員)
  • ○多くの熟練技術者が退職する環境下で、若手への技術伝承や人材育成を図る必要がある。また、必要な熟練技術者が定着しているかを確認していく中で、退職者への対応は非常に重要な課題になると思うが、退職する熟練技術者の再雇用等についてどのように考えているのか。(松本委員)

(安全文化評価)

  • ○安全文化評価に関して、「適切」等の表現があるが、個々の取組みにおいて何が適切なのか定義するのは非常に難しいので、全体としてベターな方向に向かえば良いのではないか。(小澤委員)

(ロードマップ)

  • ○ロードマップ報告書は、検証委員からの改善事項を反映し、どんどん良くなっているように思う。このように一般の方にとってより解りやすく読みやすくということを念頭に、今後とも不断の創意工夫に努めてほしい。(渡邉委員長)
  • ○QRコードは、より詳しい情報にアクセスでき、とても良いアイデアで大変素晴らしい。(山口副委員長)
  • ○ロードマップ報告書の最後のページにある、ありたい姿と3年間の取り組み項目というのは、非常に大事であると思う。どういうものをゴールとして目指しているか、それについて3年間どこを重点化してやるのかが一目で見える。構成の話なのでいろんな考え方あると思うが、最初の方でアピールしていただくのが良いと思う。(山口副委員長)
  • ○ロードマップ報告書の中には良好事例が盛り込まれているが、機会をとらまえていろいろな場で良好事例をどう発信し、展開していくかを検討してはどうか。(山口副委員長)
  • ○実施したことを列挙しているが、PDCAサイクルを回している様がわかるように工夫する余地があるのではないか。(荒木委員)
  • ○ロードマップ報告書の中で、オーバーサイトについて、他の電力会社からの指摘で有益な教訓等が得られた実績があれば、盛り込むことも検討してはどうか。(小澤委員)
  • ○ロードマップ報告書について、取組んだ結果、どう良くなったのか分かるように工夫されたい。例えば、取組み結果を大きく掲載し、インパクトを持たせるだけでも印象は違う。(小澤委員)
  • ○発電所見学会を対象としたリスクコミュニケーションの結果、40年超運転について不安が軽減されたのは大変素晴らしい。40年超運転に向けてぜひしっかり取り組んでいただきたい。(山口副委員長)

以 上

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