<審議結果> |
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関西電力は、平成16年12月以降、労働災害の危険性を低減し、作業者の安全確保に資するため、労働安全衛生マネジメントシステムを、美浜、高浜、大飯各発電所に導入してきた。高浜発電所では平成17年7月から試運用を開始し、その後、各定期検査ごとに運用結果を評価し、本格運用に向けた改善につなげている。 |
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その中で、リスクアセスメントについては、協力会社と連携して、順次、実施対象工事を拡大し、作業における安全の作り込みにつなげている。協力会社の設備改善提案などの情報についても、活用に工夫を加え、確実に反映を行なっている。 |
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以上のことから、労働安全衛生マネジメントシステムが発電所に浸透し、その運用状況は自律的なPDCAを廻す段階にあると言える。 |
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また、労働安全連絡会の開催等、原子力事業本部の各発電所に対する補完活動も着実に実施されている。 |
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今後とも、労働安全衛生マネジメントシステムを推進していくにあたり、さらにPDCAを廻しながら、原子力発電所に適応した独自の労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、もって原子力発電所の安全を確保することを期待する。 |
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<意見> |
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労働安全衛生マネジメントシステムは完成すると非常に良い結果が得られると思う。標準的な仕組みを単純にあてはめるのでなく、原子力発電所に適した労働安全衛生マネジメントシステムとするよう工夫していって欲しい。(大森委員長) |
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労働安全マネジメントシステムについては、リスクアセスメントを始め個々の要素は運用されているが、ヒューマンファクターの分析、フィードバックなどシステム全体として、今後、効果的に運用していく必要がある。特に、ヒューマンファクターに関連するトラブル(労働災害含む)については、その背景要因まで踏み込んで分析することが重要であり、専門家組織について原子力安全システム研究所(INSS)との連携も含めて検討することが今後の課題である。(宮 副委員長、黒田委員) |
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労働安全衛生マネジメントシステムの推進にあたり、原子力事業本部は業務の背景、根拠を確実に押さえ、発電所では、わかりやすさ、シンプルさを基本としたルールで業務を実施するということが大切である。
(宮村委員
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労働安全衛生マネジメントシステムは、スキルレベルの向上を図りながら、あるいはPDCAを回しながら取り組むことが重要。アンケートの設問項目である「理解度」に関して「自分でできる」レベルとか、一番上では「人に教えられる」レベルとかあるので、設問も工夫して進めてほしい。
(宮村委員)
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運転中プラントへの立入制限に係る検討にあたっては、協力会社のトップだけでなく、作業員の方々の意見も聞いて進める必要がある。(篠 委員) |
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プラント設備のリスク評価として、危険性および有害性に対して、影響レベル、安全設計レベル、点検レベルで評価しているが、厳密にはその事故の大きさと発生頻度の組み合わせにより、リスクを評価し、リスクの大きいものから安全対策をとることに留意して評価する必要がある。
(向殿委員)
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リスクアセスメントの対象となる作業の単位を明確にして、アセスメントの結果を残すようにしていけば、かなりのものがその組み合わせで対応できるようになるだろう。あとは工事内容に変化があった場合に、変化点のみに着目すればよいことになる。将来的にはこのようなことも考えて、改善を進めていって欲しい。(宮村委員) |
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リスクアセスメント実施により抽出された改善策の内容をみると、注意喚起などの人への対策が主として実施されているが、順番としては、まず本質安全設計をし、その次に安全装置をつけてリスクを低減し、それでも除去できないリスクに対して、人に対する対策を打つべきである。いくら注意をしても人間は間違いを犯すものであることを認識する必要がある。(向殿委員) |
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改善提案の内容をみると、手すりやタラップなどの追加設置が行われているが、作業安全のために設備を多く設置したために、かえって不安全になることも考えられる(例:近道行動)ので、そのバランスを良く考える必要がある。(向殿委員) |
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ハット・ヒヤリ事例については匿名で収集しているが、良い提案に対しては報奨し、インセンティブを与える必要がある。匿名では報奨できないので、記名式で“気がかり”として提案者の体験に基づかない事例として収集することも必要であり、気がかり事例を積極的に収集することが重要である。(向殿委員) |