<審議結果> |
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平成21年度の安全文化評価では、協力会社の評価への参加を各発電所へ展開するなど仕組みの充実を図り、課題抽出につなげている。 |
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また、前年度評価に基づく重点施策は着実に実施されており、中長期にわたって取り組みが必要な若手社員育成策や協力会社への取組について、引き続き対応を進めていくこととしている。 |
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一方で、評価プロセスにおいて、一時期に膨大な資料の収集、整理が集中することから、過度な負担にならないよう効率化も検討していくこととしており、活動を息長く継続していく必要があることから、こうした検討にも注目していきたい。 |
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これら安全文化評価の仕組みは、品質マネジメントシステムと相俟って、美浜3号機事故再発防止対策の風化防止に寄与していくことが期待される。 |
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さらに、この仕組みがその運用の中で、安全文化を担う一人一人のレベルでも活かされ、仕事につなげられていくことを期待する。 |
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<意見等> |
[安全文化全体] |
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安全文化を醸成していくというのは、単に倫理的な側面だけではなくて、事故による損失を回避するという意味で経済的な面のメリットもあるのではないかと思う。人も時間も費やして安全性を高める活動をするが、それは実益的なものにもつながっているという認識も重要ではないか(東副委員長)。 |
○ |
現代人のリスク感性が低下しているなど、世の中が変化してきており、このような変化を視野に入れながら、個々の施策のPDCAを回すことが大切である(小松原委員)。 |
○ |
一件重大な労働災害があっても個別に十分な分析をし、十分な対策を実施していれば、一年を通じた評価において必ずしも「改善の余地あり」とする必要はない。一年を通じた14の視点の評価とそのような個別の事象の評価とは別に考えてみてはどうか(田中委員)。 |
○ |
安全文化評価では、統計的なトレンドを見ることと、個別にどのような意見があったかなどを見ていく必要があり、これらをどのようにかみ合わせていくのかを、もう少し考えていくとよりよいものになると思う(田中委員)。 |
○ |
安全に取り組んでいく上でコスト意識は大事なことであるが、広く考えると、自分だけではなく、周りの人や地域の人の安全にもつながり、最終的には自らも幸せになれる。そのようなところと全体の安全文化とは一致していると思うが、どのような仕組みを取り入れたら皆がそのように考え、全体がこのようになっていくかは、重要な課題である。そういった仕組みは現在の色々な取組みの中で、今後できあがっていくと思うので、この調子で進んで行っていただきたい(田中委員)。 |
○ |
地域の方の声に対し、どのようなアクションをとったのか、どのような結果になったのか、どのような課題が残っているのか、といったことも安全文化評価の側面に入ってくると良いのではないかと思う(田中委員)。 |
○ |
大きなロードマップのうえに安全文化醸成活動の取り組みを位置づけるなどして、全体を俯瞰できるようにするとともに、個々の取り組みが社員、地域、協力会社等にとって、どのような意味、重要性、メリットがあるのかをわかりやすく説明できるような方策を考えられてはどうか(槇村委員)。 |
○ |
企業会計の仕組みの中では、内部統制に関して、日常業務になるべく負担をかけずに通常業務をしながら自動的に内部牽制が働くという仕組みをいかに作るのかを考えている。安全文化を根付かせるためには、将来的には安全文化評価のシステムにもこのような考え方を取り入れられないかという感じがしている(増田委員)。 |
[協力会社との関係] |
○ |
「現場に足を運んでいるか」について、関西電力の社員と協力会社の社員との間に意識の乖離がある。関西電力の社員が、協力会社の人たちが必要とするときに現場にいて、協力会社の人たちのニーズを正しく理解し、コミュニケーションを図りながら一緒に考えることは、安全や技術力の向上にもつながる活動だと思うので、工夫しながら進めてほしい(東副委員長)。 |
○ |
現場において協力会社が頼りにできる関電社員とはどのようなものなのかを考え、関西電力の技術者として必要なものを強化するプログラムを作っていく必要があるのではないかと思う(小松原委員)。 |
○ |
安全文化の現場第一線への浸透にあたっては、作業員に原子力発電所で働くことにおいて、安全の持つ特別な意味や、関電が望む理想的な作業員像、すなわち、やってほしいことを明確にした上で、それらを「ここはこういうものだ」というようにはっきりと伝える方法をよく考える必要がある(小松原委員)。 |
○ |
関電社員ならびに協力会社社員に必要とされる「危機感受性」と「現場力」について、従来からの対策も含めて具体的に整理し直して、それが向上するような具体的な施策(教育などの場合では到着目標を明確にする、具体的な行動指標にするなど)を計画的に実施する必要がある(小松原委員)。 |
○ |
協力会社の力量維持、向上に関して、工事の発注先である協力会社の決算書を入手して経営状況を確認していることは大切なことである。というのは、赤字決算などで経営が安定していないと、力量向上や技術伝承など本来使用されるべきところにお金が使われなくなってしまうことになる(増田委員)。 |
○ |
協力会社と関電の安全意識のレベルを合わせていくことが必要である。その点、協力会社との意思疎通の活動では、突っ込んだ分析をするとともに、協力会社の人達の意識に積極的に入り込んで、意識喚起をしようとする熱意がうかがえており、今後も続けてほしい(増田委員)。 |
○ |
協力会社との意思疎通の活動では、原子力発電所で仕事をするということは、普通の作業場での仕事とは違って世間からは特に注目されているのだということや、少しのミスやトラブルも発電所の停止につながるという意識をしっかりと持ってもらうことが大切である(増田委員)。 |
[トラブル・労働災害関係] |
○ |
労災の原因を分析して適切な対策を講じる取組みを続けてほしい。特に、転倒などの雑災害が多いことについては、若手社員は、子どもの頃から正しい歩き方や足の踏ん張り方などを学んでいないために起こっている可能性がある。他産業の最近の労災の実情や取り組み事例なども参考にするとよいと思う(小松原委員)。 |
○ |
地元にとっては、安全文化について、検証委員会で評価して大丈夫ですと言っても、法令上のトラブルが散見されてくると、安全文化なんてあったものではないということになるので、現在、安全文化評価の結果評価の中で実施されている組織要因も含めたトラブルの分析とそのフィードバックは大切だと思う(増田委員)。 |
○ |
原子力発電所では、トラブルが起きてもシステム上きちんと感知、チェックされて、危険が広がらない仕組みになっているということが伝わるメッセ-ジが少ないと感じているので、情報の発信時にはこの点を心がけてほしい(増田委員)。 |
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原子力に限る話ではないが、最近は、作業がかなり細分化しているので、自分がやっていることが全体の中でどのような位置づけになっているのかという、全体の中で自分をみる機会がなくなってきている。自分が何かトラブルを起こした時に、それがどこまでどのように波及するかについて、あまり意識していないので、個々の作業が他の作業にどのように影響を与えるのかということを理解してもらう工夫が大切だと思う(田中委員)。 |
[その他] |
○ |
若手社員の育成策として、保修新規配属者を対象とした勉強会は、発電所で主体的に取り組まれている良い事例だと思う(槇村委員)。 |
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広報誌などにおいては、どのようなことが掲載されたかによって、読者の反応が違うと思う。情報提供のタイミングなど、どのように社会に伝えていくかという観点も大事だと思う(槇村委員)。 |
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前年度やや問題であったものがどのように改善されたかを監査で確認することは、自分達がどのように考えて活動しているかを確認することであり、重要である。考えていくことが文化である(田中委員)。 |