原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

第20回 原子力安全検証委員会

 第20回原子力安全検証委員会では「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況」および「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」について審議が行われましたので、その結果をお知らせいたします。

※2019年度下期の進捗状況については、2020年5月22日にお知らせ済み。

1.日 時 2020年6月3日(水) 13時30分~17時00分
2.場 所 関西電力株式会社 本店(大阪市北区中之島)
関西電力株式会社 東京支社(千代田区内幸町)
関西電力株式会社 地域共生本部(福井市大手)
3.出席者(敬称略)
(委員長) 【社 外】 渡邉 一弘 わたなべ かずひろ (弁護士)  
(副委員長) 【社 外】 山口 彰 やまぐち あきら (東京大学教授)  
(委 員) 【社 外】 荒木 孝治 あらき たかはる (関西大学教授)  
【社 外】 小澤 守 おざわ まもる (関西大学名誉教授)  
  【社 外】  田中 嘉久 たなか よしひさ (元福井県中小企業団体
中央会専務理事)
 
  【社 外】 松本 真由美 まつもと まゆみ (東京大学客員准教授)  
  関西電力
送配電株式会社
取締役社長
土井 義宏 どい よしひろ
  常務執行役員 岡田 達志 おかだ たつし
(幹 事) 経営監査室長 阿川 毅 あがわ つよし
4.冒頭挨拶
渡邉委員長挨拶骨子
  • 〇新型コロナウイルスの感染拡大により、全国に対して発出されていた緊急事態宣言は、医療関係者の献身的なご努力と、全国民をあげた外出自粛や営業自粛等の励行により、懸念されていた感染爆発・医療崩壊は阻止されているとの判断から、去る5月25日には解除されたが、なお第2波感染拡大の発生等が懸念されるなど、予断を許さない状況にあることは、皆様ご存じのとおりである。
  • 〇そして、このような状況下においても、電力、ガス、流通など社会インフラ事業に携わる方々は、国民生活の基盤を支えるという強い使命感を持って、昼夜業務に取り組んでいただいている。
    こうした皆様に対しては、この場を借りて、衷心から感謝の意を表したいと思う。
  • 〇改めて申すまでもなく、当委員会の設置目的は、美浜発電所3号機2次系配管破断事故を契機として
    • ・社外の見識による独立的な立場から、事故の再発防止策を検証すること
    • ・原子力安全文化醸成活動、そして福島第一原子力発電所事故を踏まえた原子力発電の自主的・継続的な安全への取組みについて助言を行い、これら継続的な改善に支えられた安全の確保をより確実なものとすること
    にある。
  • 〇既に各委員はご承知のとおり、誠に残念なことながら、昨年9月から10月に続けて美浜・高浜・大飯の各発電所において、3件の重傷災害が発生し、本年3月には、高浜発電所において、原子力部門では美浜3号機事故以来となる死亡災害が発生した。
    3月30日に公表された『ステークホルダーのみなさまに対する社長宣誓』には、「安全最優先」と「社会的責任の全う」が関西電力の経営の基軸、とされている。
  • 〇このような状況下にあって、いかなる状況にあっても、原子力安全への取組みに後退や足踏みがあってはならず、「美浜発電所3号機事故を真摯に反省し、二度と起こさない」という決意を原点に、「関西電力における原子力発電の安全性向上の取組み」を、社外の眼で検証・確認するという当委員会の役割は、今後とも変わりなく求められていくものと思う。
  • 〇なお、昨年発覚した経営陣の金品受け取り問題に関しては、第三者委員会による報告書が本年3月14日に公表され、また、関西電力からは、3月30日には、経済産業大臣へ業務改善計画が提出された。
    そして、失なわれた社会の信頼を回復するべく、再発防止のためのさまざまな対策が検討され、実施されているところと聞いている。
  • 〇本日の審議に入る前に、それらの再発防止対策の実施状況と新型コロナウイルス感染対策の状況について報告いただき、当委員会の検証対象と関連するものがあれば、内容に反映していきたいと考えている。
  • 〇さて、本日は、検証テーマ「原子力発電の安全性向上に向けた取組状況」に基づき、
    • ・原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組み(ロードマップ)」の取組状況及び監査結果
    • ・美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組み状況および監査結果
    • ・2021年度検証計画
    について検証・審議する。
  • 〇委員の皆様には、従前同様、ご専門分野の眼から、また社会一般の眼から、ご検証頂き、忌憚のないご意見、ご助言を賜るようお願いする。
5.議事概要

5-1.「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」の取組状況および監査結果
「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」の2019年度下期の取組状況について経営企画室から、また同監査結果について経営監査室から報告し、審議。

<報告内容等>

5-2.美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況および監査結果
美浜発電所3号機事故の再発防止対策の取組状況について原子力事業本部から、また同監査結果について経営監査室から報告し、審議。

<報告内容等>
<意見>

[労働災害]

  • 〇高浜の一酸化炭素中毒事故とトラック後退中の死亡事故は、基本動作不遵守などが原因であり、元請会社のトンネル工事の施工能力や安全管理体制に問題があると思われる。(田中委員)
  • 〇仮に外国人労働者がいるとした場合、発電所内の工事での彼等への対応は元請会社任せなのか。関電として、日本語で表記された注意喚起文書などへの配慮を行うことが重要と思う。(松本委員)
  • 〇重篤災害に至った要因を重大リスクとしているが、リスク分析の過程で見出されるものもあるのではないか。例えば、TBMやKY、三者合同リスクアセスメントは、その日の実際の作業やリスク対策を踏まえた上で、実態として何が重大なリスクなのかを考える機会であり、日々発生する様々な作業を対象に、実態に応じた重大リスクを抽出していってほしい。これまでの災害の分析にしっかり取り組んでいるのは理解するが、それでも死亡事故が発生していることを踏まえ、元請会社の問題だけではなく、社内のリスク分析に問題がないか改めて検討をお願いしたい。(山口副委員長)
  • 〇リスクアセスメントが各現場で行われているが、そこで抽出したリスクやこれに対する対策は、他山の石として他現場でも共有されるべきではないか。他所の異なる現場で起こった災害は、対岸の火事としか意識されず、自分達には関係ないと思ってしまわれては意味がない。(渡邉委員長)
  • 〇今年の夏は非常に暑くなる予想で注意散漫になる恐れがあるが、暗い中での作業ではライトやセンサーのほかに、言葉による注意喚起などの警告を行ってもらいたい。(松本委員)
  • 〇車両後退中の事故は重篤な災害に繋がりやすいが、運転者に万全の注意を求めるのは難しい。一度車外に出て車止めを外さないと運転できないような手順を面倒だが設けるなど、手順としてリスクを回避する方策を講じることが必要である。(小澤委員)
  • 〇人間の行動を支援するシステム、および安全を守る視点での標準作業を設定しておくことが必要。今回、事故に至る様々な不幸な要因がある。誘導員の行動も大きな要因の1つであるが、発破監視など他業務と兼務させていることにも問題があった。被災された方がなぜ道路の真ん中に立っていたのかは不明であるが、安全の視点からの立ち位置の標準化等が必要。(荒木委員)
  • 〇2019年の事故も、4月以降の機電労働災害を見ても、どの事故も現場作業員一人一人の小さな不注意が原因となっている。機電の事故はどれも軽微事故だが、例えば脚立の倒れによる作業員落下事故でも、打ち所が悪ければ重大事故につながりかねない。自らの命、身体は自分で守ると意識して作業に携わってもらうことが大事で、安全意識徹底のさらなる取組みをお願いしたい。(田中委員)

[安全文化評価]

  • 〇協力会社アンケート結果を見ると想定の範囲内であるが、関電が協力会社の人や仕事に関心があるということを伝えるには有用と思うので、結果に一喜一憂することはない。協力会社の方々が関電の職場で働くことに誇りを感じられるように、気を引き締めなければならない。(小澤委員)
  • 〇人材育成は本当に重要な問題で、原子力の職場がもう少し輝かないと若い人が集まらない。意欲に燃えた社会インフラを支える気概を持った人材を集める工夫を考えてもらいたい。(小澤委員)
  • 〇各発電所から繁忙感を訴える声があるが、要員再配置に加えて、新たな人材獲得は検討しないのか。(松本委員)
  • 〇協力会社アンケート結果を見ると全体として低下傾向にあるものがいくつかあり、もう少し分析すべきである。アンケート結果を見ると関電の声が意図しているほど届いていない可能性がある。また「学習する組織」とあるが、その指標となる提案や表彰件数が顕著に減少している発電所があり、こうした傾向の客観的な評価・分析ができていない。(荒木委員)
  • 〇重点施策の方向性として多くは継続実施となっているが、もう少し取組み内容と、それによって生じる効果まで分析すると良い。具体的な業務改善内容はこれから検討すると思うが、どのように課題にフィードバックするのか分析を進めてほしい。(山口副委員長)
  • 〇金品問題に関して、社員のモチベーション対応とは具体的に何を実施するのか。原子力安全については、各々が自分の責務を果たすべきと伝えるのが良いのではないか。身を引き締めて安全確保に努め、なすべきことに取り組む姿勢を社会に示すことが重要。(小澤委員)
  • 〇金品問題が、原子力安全や労働安全の取組みへの社員のモチベーションに影響に与えると抽象的に決めつけるのではなく、そのことについて社員個々の具体的な声を聴くことによって判断することが必要ではないか。(渡邉委員長)
  • 〇金品問題は深刻で、社内で問題点の指摘、改善の試みが少なからずあったはずだが、何十年も隠されてきたもので、組織風土に問題があったと捉えざるを得ない。例えば、規範意識、モラル意識の高い人を評価し登用するなど組織風土改革が必要。法令、基準の遵守、社会的規範、モラルに対する高い意識は、原子力発電事業の安全文化を支える基盤であり、しっかりと取り組んでいただきたい。(田中委員)

[美浜発電所3号機事故の再発防止対策]

  • 〇社員の安全に対する意識については、継続的に行われているアンケートの結果から高いレベルで維持されており、「安全の誓い」の日の取組み等の効果が表れていると評価したい。(山口副委員長)
  • 〇二次系配管管理業務体制の見直しについては、新しい体制で実際に業務を行ってみた結果でうまく回るかどうかを評価し、柔軟な対応をお願いしたい。また、要員数が少なくなるが、新たな体制でも要員の力量が維持されるよう留意してもらいたい。(小澤委員)
  • 〇二次系配管管理に必要な業務量評価を行い、データに基づいた理にかなった方策が提案されていると思う。(山口副委員長)
  • 〇監査報告で更なる改善のための提案として指摘されている点は、協力会社あるいは現場の作業員とのコミュニケーションに関連するものである。今後、重点的に取り組んでほしい。(山口副委員長)

[その他]

  • 〇これから夏を迎え、工事の現場でマスクを着用していると相当つらい作業になるという懸念がある。熱中症対策をよろしくお願いしたい。(田中委員)

以 上

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