<審議結果> |
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平成19年度、関西電力は、安全文化の再構築に資するため、安全文化評価の仕組みを策定し、試行を行ってきた。 |
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下期には、上期に具体化させた評価の仕組みを充実させて、年度の評価を実施した。また、その試行を通じて明らかになった安全文化に係る課題に対しては、重点施策を策定し、適切に対応していくこととしている。 |
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また、この仕組みには、「安全を最優先することが明確であるか」など、美浜3号機事故の反省点から抽出された評価の具体的視点や「安全最優先の取組みに関する社員・協力会社アンケート」などの指標が織り込まれており、再発防止対策の効果を継続的にフォローしていくことが可能な仕組みとなっている。 |
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平成20年度は、平成19年度の試行結果を踏まえ、この取り組みを本格運用することとしており、関西電力は、安全文化の醸成状況を自ら評価し、課題を抽出し、自律的に改善する仕組みを整えたと言うことができる。 |
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<意見> |
[評価の視点・指標] |
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評価の3本柱(トップのコミットメント、コミュニケーション、学習する組織)において、社内、協力会社、地域等ステークホルダーごとに評価の視点を整理していくと、安全文化評価の取組みが社会ともつながってくる。(宮村委員) |
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評価指標を、計画に対する達成状況を示す指標と達成した結果が最終的にどういう結果に結びついたかという指標に整理しておくと、問題があったときもPDCAを廻しやすい。(宮村委員) |
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法令順守(コンプライアンス)は当たり前であり、安全文化も同様で、プラント安全、労働安全と同列の関係ではなく、階層構造があるのではないか。よく整理して位置づけてはどうか。(向殿委員) |
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ハットヒヤリは必ずあるものであり、安全文化の醸成が進んだから件数が減るものではないので、収集活動を続けて欲しい。(向殿委員) |
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労災件数について、火力・水力との比較を行ったり、関電と協力会社の比率のデータを取りつづけることが、安全文化を見る良い指標になる。
(向殿委員)
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[教育] |
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(トラブル発生件数に関して)プラント安全の教育の仕方が不十分ではないかと思う。「must do」(やらなければならないこと)や「better to do」(したほうがよいこと)の教育はやるが、「must not do」(やってはいけないこと)やクリティカルなことの教育が足りないのではないか。すなわち、リスク感性が足りないとしきりに言うが、リスク感性を養う教育が不十分ではないか。作業責任者や棒心クラスになると失敗経験も多いのでわかっている。これをどうやって引き出して伝えていくかである。
(黒田委員)
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今の教育現場の状況や世代的に仕事観が変わってきていることを踏まえ、若い世代が自ら学習できる仕組み、モチベーションを上げる仕組みをどう考えるかが大切だと思う。また、繁忙感の中で主体的、能動的に学習することができるのかという点についても留意する必要がある。(篠 委員) |
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若手社員に対する教育にあたっては、やってみせて、やらせてみせて、ほめるなどして辛抱強く自ら学ぶ姿勢を育てるところからはじめてほしい。
(篠 委員)
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[トラブル等の再発防止・未然防止] |
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人間は間違えるものであるという発想で、重大な事故につながる作業には、ハードウエアにて対策をとることが重要である。(向殿委員) |
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トラブルの原因が運用面の悪さであっても、その根本の原因には設備面での悪さが潜んでいることが多い。ヒューマンエラーであっても設備が悪いから起こることもあるので、運用面だけでなく設備面での対策もよく検討することが大切である。(向殿委員) |
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安全については、設備やシステムでできるだけ対応するとしても、人に頼らざる得ない部分は残るため、どのような間違いが起こるのかよく検討しておいて、教育、標準化、コミュニケーション等を活用して改善に努めてほしい。(宮村委員) |
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[全般] |
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安全文化は、皆に安心してもらうための安全のレベルを上げる上向きの理念であると思う。「学習する組織」の評価において、守りだけでなく、もっと積極性や夢が表に出てくるように体系立ててやってほしい。
(向殿委員)
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今後の原子力を支えていく人材確保に繋がるものとして、原子力の夢や新規性を見せることが必要である。これは、関西電力だけの問題ではなく原子力全体の問題であると思っている。(宮 副委員長) |
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(安全文化評価に関する取組みについて)時間が経ったり、人が替わると風化しやすいものなので、原子力安全文化推進委員会のような委員会を社内に残すことは良いことである。また、このような安全文化に関する取組みがモデルケースとなることを期待している。(宮 副委員長) |
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安全文化の醸成は、皆が肩を張らずに楽な自然な状態でやっていないと長続きはしないものである。そういう点で今の取組みを見ていると本当に長持ちして楽にできるのかなという気がするところがたくさんある。色々工夫はされているが、人が変わったり、不景気になったりと色々状況が変化しても、取組みが長持ちするのかという目で見てみることが必要である。(黒田委員) |
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文化というのは、20年くらい後になって評価が出てくるようなものであり、それを今、安全文化ということで色々なことをやろうとしていることは素晴らしいことだと思う。(黒田委員) |
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安全は事業目的ではなく、その目的を達成するための方法論であって、その優先順位において、どこに位置するか(最優先)ということが重要である。そして、現場の者が、色々な事を決心する時に迷わないように、第一、第二、第三は何かという順序をきちんと知っていることが大切であり、そのためには、コミュニケーション、トップマネジメントが必要で、これが安全文化を構成するものである。このことを理解する必要がある。
(黒田委員)
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関西電力のような大きな組織では、社内外とのコミュニケーションが悪くなることがあるので引き続き留意した活動をしてほしい。(向殿委員) |
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これまで多くの資源を投入し、取り組んできた美浜発電所3号機事故再発防止対策(安全文化再構築活動)の考え方、経験を、CSRレポート等を通じて社内外のステークホルダーと共有していってほしい。
(宮村委員)
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