使用済燃料対策ロードマップの見直しについて
美浜発電所だよりVOL.124 2025年4月発行
●使用済燃料対策ロードマップの見直しについて
日頃より美浜町の皆さまには、発電所の運営にご理解、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。
当社は、使用済燃料を県外搬出するための使用済燃料対策ロードマップを、2023年10月に策定し、日本原燃六ヶ所再処理工場への搬出、使用済MOX燃料再処理実証研究に伴う仏国への搬出、中間貯蔵施設の操業に向けた取組みを実施してまいりました。しかし、再処理工場の竣工目標の変更に伴い、今年2月に使用済燃料対策ロードマップを見直し、福井県および各立地町等に報告しました。
この度(3月24日)、福井県杉本知事(以下、福井県知事)より新しい使用済燃料対策ロードマップに関するご理解をいただきました。
新しいロードマップに従って搬出することにより、使用済燃料は各発電所の管理容量以下で推移し、将来的には使用済燃料貯蔵量が減少する見通しです。
今後、このロードマップに従い使用済燃料の県外搬出を確実に進めてまいります。
2025年3月24日、福井県知事より新しい使用済燃料対策ロードマップに関するご理解をいただきました。
3月24日の福井県知事と当社森社長との面談では、森社長より当社のロードマップの着実な実行に対する決意や、ロードマップの実行状況を福井県や福井県議会に定期的に説明し、ご意見をいただく機会を設けることなどをお伝えしました。
その後の福井県知事と武藤経済産業大臣との面談において、ロードマップの着実な実行に対する国の対応や大臣の決意が示されたことや、県議会、立地町等のご意見を踏まえ、福井県知事から新しい使用済燃料対策ロードマップに関するご理解をいただきました。
杉本知事と面談する森社長
◎使用済燃料対策ロードマップ (太字は今回見直した内容)
- 六ヶ所再処理工場の2026年度中の竣工に向け、関西電力を中心に、審査・検査に対応する人材を更に確保
- 2027年度から再処理開始、2028年度から使用済燃料受入れ開始。再処理工場への関西電力の使用済燃料の搬出において、2030年度までの3年間で198tを搬出(全体再処理量の約6割)。その後も必要量を確保し搬出するよう取り組む
- 使用済MOX燃料の再処理実証研究のため、2027年度から2029年度にかけて高浜発電所の使用済燃料約200tを仏国オラノ社に搬出、データ充実化が必要になったことを踏まえ、さらに200t関西電力から搬出容量枠を確保し、まず2030年度から100tを搬出する
- 中間貯蔵施設の他地点を確保し、2030年頃に操業開始
- 中間貯蔵施設の操業を開始する2030年頃までの間、六ヶ所再処理工場および仏国オラノ社への搬出により、使用済燃料の貯蔵量の増加を抑制
- あらゆる可能性を組み合わせて必要な搬出容量を確保し、着実に発電所が継続して運転できるよう、環境を整備する
- 本ロードマップの実効性を担保するため、今後、原則として貯蔵容量を増加させない
- 使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、さらに搬出までの間、電源を使用せずに安全性の高い方式で保管できるよう、発電所からの将来の搬出に備えて発電所構内に乾式貯蔵施設の設置を検討
〈使用済燃料貯蔵量推移見通し(2025年2月時点)〉
今回見直したロードマップに従って、六ヶ所再処理工場、仏国(200t+追加100t)へ搬出することで、使用済燃料貯蔵量は管理容量以下で推移し、将来的には使用済燃料貯蔵量が減少する見通しです。
※管理容量:使用済燃料ピットの貯蔵容量から1炉心分を除いたもの。下図の管理容量は運転中プラントの合計を示しています。
- <前提条件>
- 2024年度末貯蔵量は見込値、発生量は2025~2027年度運転計画に基づき評価、2028年度以降年間平均発生量
- 六ヶ所再処理工場:2026年度竣工、受入量:2028~2030年度130-110-90t、その後段階的(200t-400t)に増加し、2033年度以降800t当社搬出量は2028~2030年度全体受入量の60%、2031年度以降20%
- 仏国への搬出:2027~2029年度70-70-60t、追加分100t:2030・2031年度70-30t
注)・期末貯蔵量は2024年度末貯蔵量をもとに2年間毎に発生量を加え、搬出量を引いたもの
・四捨五入の関係で7基合計と各発電所の合計値が合わない場合がある
当社は引き続き、必要な搬出容量の確保に取り組み、使用済燃料を着実に搬出することにより、原子力発電所を安定的に運転できる環境を整えてまいります。
●美浜発電所3号機の状況
美浜発電所3号機は、2025年3月2日から約4ヶ月の予定で第28回定期検査を実施中です。
総決起大会を開催しました
2月25日に第28回定期検査に伴う総決起大会を開催しました。
当日は小雨が降る中、当社および協力会社の従業員約800名が参加し、定期検査の安全な完遂を誓い合いました。
廃止措置計画の第2段階であり、2次系設備および原子炉周辺設備の解体撤去作業中です。
この訓練は、発電所への通行ルートが自然災害等により使用できなくなったことを想定し、緊急時対策本部要員が指定されたルート(陸路・海路・空路)にて発電所に参集するための訓練です。
今回は、発電所の社員24名が敦賀市の拠点から馬背峠を越える陸路での訓練を行い、約4時間かけて発電所に到着しました。

当社は、原子力災害対策の充実に向けた取組みとして、新たに緊急時対策所を美浜町の原子力事業本部に建設することとしました。本施設は、美浜発電所、高浜発電所および大飯発電所の原子力災害発生時の事故収束活動の支援を統括する施設です。これにより、当社原子力事業に対する信頼向上を図るとともに、地域の皆さまが求める安全安心の確保につなげてまいります。
また、本施設については、地震や大雨などの自然災害発生時に一時避難所として、帰宅困難な地域の皆さま向けに開放することも検討し、安全で安心なまちづくりに貢献したいと考えています。
当社は、2024年12月3日に本店(大阪市)で、社外有識者の方々を主体とする原子力安全検証委員会※1を開催しました。
委員会では、「美浜発電所3号機事故※2再発防止対策の取組状況」、「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実(ロードマップ)」等について審議していただきました。
委員の方からは、「2024年10月発生の美浜発電所3号機の海水管漏洩のトラブルについては、その事象の安全重要度を関係者が共有し、適切に対応することが重要である。リスクインフォームド・パフォーマンスベース※3が国際的に確立された考え方である。事業者として、実効性ある安全確保を達成すべく、事業者の考え方や技術評価について発信してほしい」等のご意見をいただきました。
当社は、今後も社外有識者のご助言をいただきながら、原子力発電のたゆまぬ安全性向上に取り組んでまいります。
※1:原子力安全検証委員会…「美浜発電所3号機事故再発防止対策」、「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み」、「原子力の安全文化醸成活動」についてご助言等をいただくための社外有識者を主体とした組織。
※2:美浜発電所3号機事故…2004年8月9日の美浜発電所3号機タービン建屋での2次系配管破損事故。
※3:プラントの現物、現実を正しく把握し、色々な要素と一緒にリスク情報を意思決定に使っていく。