万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備

様々な厳しい状況を想定した訓練や教育を何十回、何百回と
繰り返し行い、万が一の重大事故に対応できるよう、技術力を
向上させています。
国や自治体等と連携する原子力防災訓練
原子力発電所、原子力事業本部ならびに本店(中之島)などをはじめ、国や自治体、メーカ、協力会社等の関係機関と連携した原子力防災訓練を行っています。当社においては、過酷な条件を想定し、訓練参加者に訓練シナリオを事前に開示しないブラインド形式で総合的な訓練を実施しています。日ごろから個別に実施している送水車や可搬式代替低圧注水ポンプなどを用いた事故収束活動の実効性や各対策本部における情報連絡体制の確認など、実践的かつ総合的に検証、確認することにより、緊急時対応能力の強化を図っています。
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緊急時参集訓練
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ヘリコプターによる資機材運搬訓練
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遠隔操作ロボットの操作訓練
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2022年度 原子力総合防災訓練
- [訓練日程]
- 2022年11月4日(金)、5日(土)、6日(日)の3日間
- [原子力総合防災訓練とは]
- 災害対策基本法に基づき、国、地方公共団体、原子力事業者等が、緊急時対応の検証や充実を目的に実施する訓練であり、当社も情報連絡、技術的検討、発電所支援等が円滑に行われることをあわせて確認しております。
- [2022年度 原子力総合防災訓練の概要]
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- 美浜発電所で重大な事故が発生するというシナリオで実施。
- 特定重大事故等対処施設の供用開始以降、国が主導する原子力総合防災訓練への参加は初。
- 国や地方公共団体等、約150機関、発電所の半径30キロ圏内の福井県、滋賀県、岐阜県にお住まいの地域住民も含めると3日間で約4,200人が参加。
- 「美浜地域の緊急時対応」に定められた避難計画の検証のため、地域住民が県外避難を実施。

- (訓練の様子)
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- 美浜発電所が地震によって外部電源を喪失したという想定の訓練で、「中国電力からの高圧電源車搬送・接続訓練」、「放水砲設置訓練」、「オンサイト医療チームによる初期医療体制構築」、「住民避難時のスクリーニング・除染訓練」、「災害対策支援拠点運営訓練」などを実施しました。
- 当社の原子力事業本部(福井県美浜町)に設置された緊急時対策本部では、社長の森が指揮を執り、テレビ会議を通じて各所と情報共有を行い、全社を挙げて、事故制圧や住民避難支援に向けた対応を実施しました。
- 美浜発電所では所内電源確保のため、電力事業者間の協力協定に基づき、中国電力より電源車を派遣し、接続訓練を実施しました。
また、オンサイト医療チームを東京から派遣し、発電所の初期医療体制を確立しました。
緊急時対策本部で指揮を執る社長の森(写真右)と副社長の松村(写真左)

当社では、このような訓練を踏まえて改善に向けた取り組みを進め、引き続き、設備面のみならず現場の対応能力を向上させるための教育・訓練を充実させ、原子力防災対策のさらなる向上に努めてまいります。
それぞれの役割に応じた教育・訓練
万が一の重大事故が発生した場合に備え、指揮者や運転員など、それぞれの役割に応じた、必要な教育や訓練を繰り返し行い、重大事故への対応能力や技術力の維持・向上を図っています。重大事故対応に係る教育や訓練の種類、対象者を福島第一原子力事故直後よりも拡充し、重大事故時のプラント挙動等を学ぶ机上教育の受講者数(延べ人数)や、重大事故対応手順等の習熟訓練の回数を大幅に増加させています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
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教育(延べ人数) | 約5,700 | 約5,400 | 約5,000 |
訓練(回) | 約6,100 | 約5,200 | 約10,700 |
発電所指揮者クラスを対象とした指揮能力向上のための机上演習
重大事故時のプラント挙動を模擬するツールによってプラント状態を可視化し、参加者がプラント状態を把握・分析することによって、事故の進展を予想し、事故収束に向けた検討・立案する実践的な机上演習
発電所員(緊急安全対策要員)を対象とした現場訓練
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電源供給訓練
送電線からの電力供給や非常用ディーゼル発電機が使用できない場合を想定し、電源車の起動訓練等を実施しています。また、夜間の訓練も実施しています。
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夜間における接続・起動訓練
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大容量ポンプ設置訓練
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原子炉に冷却水を注入するためのポンプの設置訓練
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放射線防護服やマスクを着用した悪条件下を想定した消防ポンプ設置訓練
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放射性物質の放出抑制訓練
格納容器の破損に至った場合を想定し、発電所外部への放射性物質の放出を抑制するための訓練を実施しています。 -
放射性物質の放出を抑制するための
放水砲を用いた格納容器への放水を想定した訓練
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重機によるがれき撤去訓練
津波等で発電所内にがれきが散乱したことを想定し、配備した重機でがれきを撤去し、人や車の通路を確保するための訓練を実施しています。
重機によるがれき撤去訓練
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電源を失った場合の運転操作訓練
発電所内ですべての電源を失った事態を想定し、運転員は厳しい状況の中、落ち着いて事態を安全に収束できるよう訓練を実施しています。
すべての電源を失った事態を想定したシミュレーターによる対応訓練