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美浜発電所だよりVOL.123 2024年12月発行

●美浜発電所の状況について

美浜発電所

1,2号機:廃止措置工事実施中
(原子炉周辺設備の解体撤去作業を実施中)

3号機:定格熱出力で運転中
(2025.3~定期検査予定)

3号機の状況は「美浜発電所3号機 1次系冷却水クーラ海水系統戻り母管の減肉に関する原因と対策について」にて説明します

●美浜発電所新管理者ごあいさつ

2024年7月の人事異動で新体制となった美浜発電所新管理者よりごあいさつ


副所長 五味 俊一(ごみ しゅんいち)

 平成14年~17年、私の社会人生活のスタートをここ美浜発電所で過ごしました。
今回、それ以来となる約20年ぶりに美浜発電所に戻ってこられたことをとてもうれしく思います。その間、大規模な安全対策工事を実施したこともあり以前とは大きく変わったことが多いですが、変わらず素晴らしい景色に囲まれた世界一美しい原子力発電所で再び仕事ができることに誇りと喜びを感じています。
 発電所の中の仕事だけでなく、地域の方とのふれあいも大切にしていきたいと思います。

 副所長 五味ごみ 俊一しゅんいち


●使用済燃料対策ロードマップに係るご報告について

 当社は、原子力発電所から出る使用済燃料の搬出を着実に実施していくための使用済燃料対策ロードマップを昨年10月に公表しました。

 このロードマップに示した具体的な取組みの一つとしている、日本原燃が青森県六ケ所村で建設中の再処理工場は、2024年度上期のできるだけ早い時期の竣工としていましたが、8月に日本原燃は、これを見直し、新たな竣工目標を2026年度中とすることを公表しました。これに伴い、当社のロードマップについても見直しが必要になりました。

 ロードマップにもとづく取組みについて、計画どおりに使用済燃料の県外搬出ができなくなり、誠に申し訳なく、心よりお詫びを申し上げます。

 ロードマップは見直しますが、六ヶ所再処理工場の確実な竣工に向けて、引き続き、当社を中心にオールジャパン体制でしっかりと日本原燃を支援します。また、使用済MOX燃料再処理実証研究のための仏国オラノ社への使用済燃料搬出、中間貯蔵施設の取組みは、引き続き着実に進めてまいります。

 当社の使用済燃料対策ロードマップの見直しには、日本原燃による竣工後の暫定操業計画が必要となりますが、速やかに検討を行い、今年度のできるだけ早い時期に見直します。

●美浜発電所3号機 1次系冷却水クーラ海水系統戻り母管の減肉に関する原因と対策について

 定格熱出力一定運転中の美浜発電所3号機において、10月5日、C-1次系冷却水クーラの海水系統戻り母管に塩の析出がみつかりました。この原因を調査するため、当該母管の肉厚を測定した結果、微小な穴とその周辺に減肉を確認したことから、原因調査のため10月15日にプラントを停止しました。なお、本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
 今回の事象の調査結果を踏まえた原因と対策について、お知らせいたします。

事象概要

(1)工場調査の結果

・当該配管内表面を詳細観察した結果、微小な穴の周辺にライニングの剥離を確認しました。また、剥離部の配管内表面に凸凹状の模様があり、薄い錆の付着を確認しました。
このことから、キャビテーションによるエロージョンが発生したと推定しました。
また、断面を観察した結果、微小な穴の周辺の配管内表面が全体的に減肉し、穴の内部は、内面から外面につぼ状であること確認しました。
このため、局部腐食が配管内面から外面に進行し貫通に至ったものと推定しました。

※:液体の急激な圧力低下によって、局部的に気泡が発生(キャビテーション)し、圧力回復によって、気泡が消滅する際に衝撃圧が作用し材料が損傷する事象

(2)流動解析の結果

・当該配管内の流動解析を実施した結果、ライニングの剥離が認められた当該配管内の上半面は、バタフライ弁下流に位置しているため、直管部と比較し流速が速く、圧力低下が生じ、キャビテーションによるエロージョンが発生する可能性があることを確認しました。

(3)ライニングの剥離に係る調査

・当該配管のライニング施工について調査した結果、第27回定期検査(2023年7月~)において、ポリエチレンの剥離が確認されており、その補修の際にエポキシ樹脂系ライニングを採用していたことを確認しました。化学成分や厚さ、硬さ等を確認した結果、施工に問題はありませんでしたが、エポキシ樹脂系のライニングは、これまでの知見からキャビテーションによるエロージョンに対して耐久性が低いことを確認しました。

(4)エポキシ樹脂系ライニングを採用して補修した経緯の調査結果

・美浜3号機が1976年に運転開始した以降、1次系冷却水クーラの海水系統の配管では、ゴムライニングまたはエポキシ樹脂系ライニングを施工し、当該配管ではゴムライニングを採用していました。
このうち、エポキシ樹脂系ライニングの補修頻度が多かったこと等から、第14回定期検査(1995年2月)において、保守性向上のため当該箇所をポリエチレンライニングが施工された配管に取替えしました。

・当該配管については、母材に有意な減肉がなく腐食も無かったことから、当該箇所は厳しい流況ではないと認識していました。
ポリエチレンライニングでの復旧は、工場においてライニング全面の張り替えが必要となり、重量物である配管の搬出入など計画外の作業も伴うため、他の補修方法についても検討した結果、他の海水系統でも使用実績があり、現地施工が可能なエポキシ樹脂系ライニングを採用したものです。

配管減肉の推定メカニズム

①C-1次系冷却水クーラ下流のバタフライ弁の流路縮小による圧力低下(流速増加)によって、弁体端部で気泡が発生。(キャビテーション)

②その下流では、流路が拡大することで、圧力が回復(流速が低下)し、配管上半面付近で気泡が消滅し、衝撃圧により、ライニングが削られた。(キャビテーションによるエロ―ジョン)

③ライニングに部分的な剥離が生じ、母材と海水が接触した。その後もキャビテーションによるエロ―ジョンが継続し、母材の減肉が進行した。

④その後、局部的な腐食により貫通に至った。

○推定原因

 前回の第27回定期検査において、当該配管のライニングをポリエチレンライニングからキャビテーションによるエロージョンに対して耐久性が劣るエポキシ樹脂系ライニングで補修しておりました。当該箇所は、バタフライ弁の下流で流路が狭くなり圧力が低下する環境にあり、キャビテーションによるエロージョンが発生したことでライニングが剥がれ、配管母材の減肉が進行したところに局部的な腐食が生じ、貫通に至ったものと推定しました。

○対策

 11月15日、当該配管をポリエチレンライニングが施工された配管に取り替えました。
 また、ライニングの標準的な補修方法や過去のライニング不具合情報をまとめたガイドラインを作成し、社内標準に反映しました。これに加えて補修方法にかかる設計根拠や過去知見確認の重要性を再認識することを目的に、設備保修の担当課員を対象としたトラブル事例研修を実施します。

○美浜3号機の現況

 当該配管は、ポリエチレンライニングが施工された配管に取り替えて健全性を確認し、1次系冷却水クーラの海水系統を復旧いたしました。
 その後、11月21日に原子炉を起動し、同日に発電再開、11月24日に定格熱出力一定運転に復帰しています。

ミライスイッチ

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