美浜発電所3号機 第26回定期検査 実施中
美浜発電所だよりVOL.113 2021年11月発行
美浜発電所3号機 第26回定期検査 実施中
美浜発電所3号機は、10月23日から約13ヶ月の予定で第26回定期検査を実施しています。定期検査前の10月22日には総決起大会を行い、「チーム美浜」が一丸となって、この定期検査を無事故・無災害で完遂する決意を新たにしました。今後も安全最優先で発電所運営に取り組んでまいります。
- <定期事業者検査※を実施する主な設備>
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原子炉本体
核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設
原子炉冷却系統施設
計測制御系統施設
放射性廃棄物の廃棄施設
放射線管理施設
原子炉格納施設
その他発電用原子炉の附属施設※定期事業者検査 : 原子炉等規制法で定める、原子力発電所における主要な設備に関して、電力会社が定期的に行う検査
<第26回定期検査総決起大会の様子>
※新型コロナウイルス感染症対策を施しながら実施
【美浜発電所3号機 本格運転開始後、約3ヶ月で定期検査に入った経緯】
現在の規制では、発電所施設・設備の詳細設計にあたる工事計画の認可日から5年以内に特定重大事故等対処施設(以下、特重施設)を設置する必要があります。美浜発電所3号機における設置期限は2021年10月25日となっており、期限までの工事完了が困難であることから、10月23日に運転を停止し、定期検査を開始しています。現在実施している定期検査とともに、特重施設の設置についても、安全最優先で工事を進めてまいります。美浜発電所3号機の運転再開は、特重施設運用開始後の2022年10月20日を予定しています。
1.主要工事等
- ①原子炉照射試験片取出工事
- 中性子照射による原子炉容器の部材の粘り強さの低下度合いを確認するとともに、将来にわたる原子炉容器の健全性を確認するため、原子炉内部に設置している照射試験片が入った試験用のカプセルを取り出します。(今回で5回目)
- ②原子炉容器供用期間中検査
- 原子炉容器溶接部等の超音波探傷検査を行い、原子炉容器の健全性を確認します。
- ③電気配線貫通部改良工事
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原子炉格納容器内の放射線監視装置に接続されているケーブルが通る原子炉格納容器の電気配線貫通部(2箇所)について、信頼性向上のため、より過酷な条件での健全性が確認されている最新型式のモジュラー型の電気配線貫通部に取り替えます。
- ④A所内変圧器取替工事
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A所内変圧器コイルの絶縁性能が経年劣化の傾向にあるため、予防保全策としてA所内変圧器を新品に取り替えます。
(もう1台のB所内変圧器は取替済み)※所内変圧器:発電所運転時に所内の電源をまかなうため、発電した電気の一部を所内用の電圧に変える装置
- ⑤格納容器サンプ水位計取替工事
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格納容器サンプに設置している浮力式水位計が製造中止となったことから、今後の保守性を考慮し、差圧式水位計へ取り替えます。
※格納容器サンプ:空調ユニットで発生する凝縮水などを回収するため、原子炉格納容器内の下層部に設置されているタンク。
通常運転中の水位は40%~70%であり、水位が70%になれば水中ポンプで液体廃棄物処理系へ移送する。
2.設備の保全対策
- <2次系配管の点検等>
- 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,530箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。また、過去の点検において、今回の定期検査で取り替えることを計画していた部位1箇所と、今後の保守性を考慮した部位115箇所の合計116箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えます。
<配管の肉厚測定の様子>
3.燃料集合体の取り替え
燃料集合体全数157体のうち48体を取り替える予定です。
美浜発電所1、2号機 廃止措置の状況について
美浜発電所1、2号機の本格的な解体に向け、放射性物質による影響のないタービン建屋内機器の解体・撤去工事を実施しています。また、新燃料の搬出作業についても順次実施しております。
美浜町原子力懇談会を開催しました
<美浜町原子力懇談会の様子>
10月12日、原子力事業本部(美浜町郷市)において、町内の各種団体の代表の方々と当社社長の森本をはじめとする役員が意見交換する「美浜町原子力懇談会」を開催しました。
ご出席いただいた皆さまからは、発電所運営に対する安全性へのご意見や地域振興・リプレースに対するご要望等をいただきました。
ご意見等に対し、社長からは、「この半世紀の中で、地元の皆さまに熱い思いを持っていただいていることに感謝申し上げます。今後の地域共生という観点については、地域の皆さまと意見を交わせる場を持つことは大切と考えています」「今後も安全で安心な美浜発電所の運営に徹底して取り組んでまいります」とお応えしました。
福井県原子力総合防災訓練に参加しました
10月29日・30日に、福井県が主催する原子力総合防災訓練に参加するとともに、当社としても、社長の指揮のもと訓練を行いました。
訓練では、若狭湾を震源とした地震により外部電源が喪失後、原子炉冷却材の漏えいが発生。さらに設備故障等により非常用炉心冷却装置による原子炉への全ての注水が不能となり、全面緊急事態となる事象を想定。美浜発電所構内では対策本部を設置し、福井県等関係機関への通報連絡訓練、事故制圧対応訓練等を実施しました。福井県との連携を図りながら、各手順が的確かつ円滑に実施できることを確認しました。また、北陸電力株式会社志賀原子力発電所が所有する高圧電源車を美浜発電所へ搬送し、当社所有の接続装置(アタッチメント)※を介して電源接続盤に接続する訓練を実施し、他の原子力事業者と協力・連携して事故制圧活動ができることを確認しました。
当社では、今後とも原子力発電所の安全を確保することはもちろんのこと、緊急時対応の継続的改善に努めてまいります。
※電源車から発電所電源へ電気を供給するためにケーブルを接続する接続口の仕様が異なる場合、接続を可能とするための中間的な接続部位のこと。
<美浜発電所対策本部の様子>
<電源車接続訓練>
<重機によるがれき
除去訓練の様子>
<大容量ポンプ接続訓練の様子>