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若狭トピックス

越前若狭のふれあい 特別号 NO.37 2016年3月22日現在

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大津地方裁判所において、高浜発電所3、4号機の運転禁止を求める仮処分命令申立てが認められました。決定は、当社の主張を踏まえないものであって、到底承服できないことから、大津地方裁判所に対し、不服申立てを行いました。
当社は、早期に仮処分を取り消していただくよう高浜発電所3、4号機の安全性の主張、立証に全力を尽くします。

 平成28年3月9日、大津地方裁判所において、高浜発電所3、4号機の運転禁止を求める仮処分を認める決定が下されました。本決定については、当社の主張を裁判所に理解いただけず、極めて遺憾であり、到底承服できるものではありません。しかしながら、決定に従い、速やかに電力需給状況や高浜発電所3号機を安全に停止させる体制等の検討を行い、同年3月10日、稼動中の高浜発電所3号機を安全に停止しました。なお、当社は、この決定には到底承服できないことから、同年3月14日、大津地裁に対し、不服申立てを行いました。

当社がこれまでに大津地裁に提出した主張・立証資料(計14通、約840ページにわたる主張と、計219通、約6,380ページの立証資料を提出)
当社がこれまでに大津地裁に提出した主張・立証資料(計14通、約840ページにわたる主張と、計219 通、約6,380ページの立証資料を提出)

《決定の評価》
  • 福島第一発電所の事故の反省や国内外からの指摘を踏まえて策定された新規制基準を全面否定し、安全性の基礎とはならないと一方的に断じている
  • 当社から詳細な主張・立証を行っているにも関わらず、裁判所は根拠を示さず不当に無視
  • 科学的、技術的根拠を示すことなく当社が主張立証責任を果たしていないとの判断にすりかえ

《争点ごとの裁判所の判断と当社の見解》

争点 裁判所の判断 当社の見解
判断の枠組み
  • ●福島第一発電所事故を踏まえた原子力規制行政の変化、高浜3、4号機に関する具体的な規制強化内容、関電の対策内容についての主張・立証が必要。原子力規制委員会が設置変更許可を与えた事実のみをもって、主張・立証があったとすることはできない。
  • ●関電がこれらの主張・立証を尽くさない限り、申立人の人格権が侵害されるおそれがあると考えるべき。
  • ●新規制基準の制定過程、高浜3、4号機の新規制基準適合性審査の内容および具体的な安全対策について詳細に主張・立証。新規制基準への適合のみを根拠として、安全であると主張しているわけではなく、裁判所は主張を誤認。
  • ●福島第一発電所事故を踏まえた原子力行政の変化といった点についてまで当社に主張・立証を要求、これが尽くされていないから人格権侵害のおそれがあるとの判断は極めて不合理。
過酷事故対策
(新規制基準の制定経緯)
  • ●福島第一発電所事故の原因を津波としてよいか不明。
  • ●新規制基準の策定にあたり、津波対策以外の対策が検討されたのか不明。
  • ●以上より、新規制基準は公共の安寧の基礎とは言えない。
  • ●原子力規制委員会や各種事故調査委員会は、福島第一発電所事故の原因は津波であると指摘。
  • ●原子力規制委員会は、新規制基準の策定にあたり、津波のみならず、地震、竜巻、火山等に対する対策や過酷事故対策も検討済。
  • ●以上より、新規制基準は合理的。
過酷事故対策
(非常用電源)
  • ●関電は、外部電源を喪失した場合に備え、ディーゼル発電機等の非常用電源を用意しているが、申立人が示すように、ディーゼル発電機の起動失敗例は少なくなく、また、空冷式非常用発電装置の耐震性能を認める資料が未提出。
  • ●外部電源を喪失した場合に備え、ディーゼル発電機は高い信頼性があり、ディーゼル発電機の起動失敗事例に対して、必要な対策を実施済で、国も確認済。また、福島第一発電所事故以降に設置した空冷式非常用発電装置が基準地震動に対し耐震性を持つことは当社、原子力規制委員会が確認。
過酷事故対策
(使用済燃料ピット)
  • ●使用済燃料ピットの冷却設備は、新規制基準においても、耐震性の低いBクラスに分類。
  • ●使用済燃料ピットの冷却設備も安全性に関わる重要な施設として安全性審査の対象とすべき。
  • ●基準地震動により使用済燃料ピット自体が一部でも損壊し、冷却水が漏れ、減少する場合、減少速度を超える速度で冷却水を注入し続ける必要があるが、漏水速度を検討した資料等が提出されていない。
  • ●新規制基準では冷却設備はBクラス。新規制基準の要求を超えて、冷却設備にSクラスの設備と同等の耐震性を持たせている。
  • ●冷却設備、補給設備は、既に原子力規制委員会の安全性審査の対象。
  • ●使用済燃料ピットは耐震Sクラス。基準地震動によってピット自体が損壊することはないと確認。
地震
(震源断層の調査)
  • ●震源断層の調査は、発電所周辺の全てで地中深くまで徹底的に行われていない。
  • ●このような調査に基づいて断層をより長く評価したり、複数の断層が連動すると評価したりしても、余裕を持たせた評価とは言えない。
  • ●発電所周辺は地中の地震活動の痕跡が地表に現れている地域であって、文献調査や地質構造調査等の詳細な調査により、震源断層を適切に把握。
  • ●その上で、断層の長さや連動性等を安全側に評価。十分に余裕を持ったものと評価。
  • ●原子力規制委員会も、震源断層に関する当社評価の妥当性を確認済。
地震
(地震動評価)
  • ●関電が用いる評価式が概ね最大の地震動を導くものか疑問。基準地震動は不十分。
  • ●断層長さや連動性等を安全側に評価した上で信頼性の高い評価式を用いて、基準地震動は、十分に大きいと評価。
  • ●原子力規制委員会も、基準地震動の妥当性を確認済。
津波
  • ●天正地震(16 世紀)による大津波の研究報告が近年あり、関電の津波堆積物調査等の結果から、大津波が発生していないとは言い切れない。
  • ●一般的に大津波があれば沿岸の広い範囲に痕跡が残るが、適切な調査地点で津波堆積物調査、文献調査、神社聞き取り調査により、過去1万年に大きな津波が生じていないことを確認。
  • ●原子力規制委員会も、津波評価の妥当性を確認済。
原子力災害対策
  • ●関電は、事故発生時の責任は誰が負うのかを明確にするとともに、避難計画を含む安全確保対策にも意を払う必要があり、その点に不合理な点がないことを示すべき。
  • ●国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準を策定すべき。
  • ●事故発生時の原子力災害対策は、防災基本計画と原子力災害対策指針により、国、地方公共団体、事業者の責務を明確に説明。
  • ●国、地方公共団体等との連絡体制を整備し、住民の避難等に際して、移動手段や資機材の提供、要員の派遣等の支援を実施。
  • ●国の積極的な関与の下、避難計画が検討され、この計画を「高浜地域の緊急時対応」は、原子力防災会議で具体的かつ合理的であると評価。

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