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原子力事業本部

越前若狭探訪

▲佐伎治神社の境内を勇ましく練る神輿

▲若者がきりりと華麗な立ち回りを演じる「太刀振」

　今年は、若狭で最大級の夏祭り、高浜七年祭（しちねんまつり）（平成14年に祭り全体が県無形民俗文化財に指定）が開かれる年。6月23日（日）から29日（土）までの7日間、若狭高浜は祭り一色に染まる。

　七年祭は、氏子数が約1千世帯という佐伎治（さきち）神社（高浜町宮崎）の式年大祭（しきねんたいさい）。巳（み）年と亥（い）年が祭りの年で、その年を含めて7年目ごとに行われることから七年祭と呼ばれる。

　京都・八坂（やさか）神社の祗園祭（ぎおんまつり）と同じく、かつて疫病の原因と考えられた怨霊（おんりょう）や疫神（えきじん）を神事・芸能によりなだめ、退散を願う御霊会（ごりょうえ）で、伝染病が流行する梅雨から夏にかけて行われてきた夏祭り。安土桃山時代の紀行文（１５６９）に「高浜祗園会（ぎおんえ）」が記されていることから、今から450年前にはすでに行われていたとみられる。

　七年祭の見どころは、威勢のよさを競い合う3基の神輿。旧高浜地区を東山、中ノ山、西山の3区域に分け、1基当たり90～130人という大勢の男衆が担ぐ。そのクライマックスは、最終日夕刻の鳥居浜、3基の神輿が激しくもみ合った後、一転して静寂のなかを神輿が海に入る。七年祭では、この「足洗いの儀」により、怨霊や疫神が海に帰っていくとされる。

　さらに、それぞれの山ごとに約半年にわたって練習を積んできた多彩な奉納神事・芸能（お田植（たうえ）、太刀振（たちふり）・大太鼓、獅子神楽（ししかぐら）・囃子（はやし）、屋台囃子・子供踊りなど）は見ごたえがある。これらは佐伎治神社境内のほか、町内各所を巡りながら上演される。

▲七年祭のクライマックス、最終日夕刻に鳥居浜で
　激しくもみ合う3基の神輿

▲神輿が海に入る「足洗いの儀」

　「太刀振」は、刀や薙刀（なぎなた）、槍（やり）などを持ち、芝居の場面を若者や子供たちが華麗に演じるもの。化粧をして歌舞伎役者のように立ち回る武者振り、粋（いき）姿に観衆から盛んな拍手が送られる。

　「お田植」は、鍬（くわ）を手にした若者や早乙女（さおとめ）役の子どもたちが、豊作を祈願する謡（うたい）をうたいながら農耕の所作を行う。祭り2日目以降は、7基の曳山（ひきやま）で少女たちの踊りなども披露される。

　祭りの主役は、若者たち。七年祭の年には町を挙げて、ひたすら祭りにのめり込む。ふるさとを離れている人たちも戻って神輿を担ぐ。心意気と熱気で沸き立つ7日間だ。

▲7基の曳山が佐伎治神社のほか町内各所を巡り、
　少女たちの踊りなどを披露

▲農耕の所作を行い、豊作を祈願する「お田植」神事

6月23日（日）「神幸祭（しんこうさい）」

● 午前8時半から佐伎治神社にて神幸祭祭典執行、お田植神事奉納。
● 午前9時半から同神社で太刀振、神楽を奉納。
● 午後1時、神輿3基が佐伎治神社を順次出発、町内巡行。

24日（月）「巡行祭」

● 午前9時、曳山7基が佐伎治神社に集合。順次、神前で屋台囃子、子供踊り・太鼓を奉納。例年、午後3時過ぎから町内巡行。
● お田植、太刀振、神楽が町内巡行。

25日（火）「巡行祭」

● お田植、太刀振、神楽、曳山が町内巡行。

26日（水）「中日祭（ちゅうにちさい）」

● 午前9時から神輿3基が各山の区域を巡行。

27日（木）「巡行祭」

● お田植、太刀振、神楽、曳山が各山の区域を巡行。

28日（金）「巡行祭」

● 夜、曳山、にわか、踊り等が巡回。

29日（土）「還幸祭（かんこうさい）」

● 午前9時、神輿3基が本町通りに集合。町内を巡行し、午後3時に佐伎治神社へ。還幸祭祭典の後、午後4時から太刀振を奉納。
● 午後5時半、神輿3基が佐伎治神社を順次出発、鳥居浜海岸へ。砂浜で神輿がもみ合い、午後6時20分「清祓（きよはら）いの儀」執行後、「足洗い」。神社へ還幸。

【問い合わせ】（一社）若狭高浜観光協会 0770-72-0338　http://www.town.takahama.fukui.jp/7nenmatsuri/

【参考文献】『平成13年度企画展図録高浜七年祭かざる・まつる・まもる』（高浜町郷土資料館・平成13年発行）

【取材協力】佐伎治神社、高浜町文化遺産保存活用協議会