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若狭トピックス
関西電力 高浜発電所3号機は、2011年1月21日、プルサーマルによる本格運転を開始しました。
プルサーマルとは、原子力発電所で使用したウラン燃料(使用済燃料)を再処理することで得られたプルトニウムとウランを混合した燃料(MOX燃料)を現在の原子力発電所(軽水炉)で使用することです。
今回は、原子炉へのMOX燃料装荷から本格運転開始までと今後の取り組みなどについて、高浜発電所の長谷所長に話を聞きました。
※1 定期検査の最終段階である調整運転中に行う経済産業省の最終検査(総合負荷性能検査)終了後に運転すること。

高浜発電所3号機でプルサーマルによる本格運転を無事に開始することができたのも、地域の皆さまをはじめ多くの方々のご理解とご協力があってのことであり、心より感謝しています。
プルサーマル計画は、これまで多くの関係者の皆さまや諸先輩方が努力を積み重ねてきたものであり、その結果としてこの瞬間に立ち会うことができ大変嬉しく思っています。当社のプルサーマルは、当初の計画では1999年に開始する予定でしたが、BNFL問題※2などがあり、実現には長い時間を要しました。しかしその後、品質保証体制を強化した上で、プルサーマル計画の準備作業を再開し、MOX燃料の製造、輸送、受入、装荷−。こういった一つひとつのステップを確実に進めてきた結果が、今回の本格運転開始につながったのです。
今は、高浜発電所にその瞬間が訪れたことに感謝するとともに、安全・安定運転を継続させることに対し、決意を新たにしているところです。
※2 1999年、当社がイギリスのBNFL社に、MOX燃料の製造を依頼し、品質保証のための製品検査で、BNFL社の作業員が測定済みデータを流用するという改ざんがあったことが判明した問題。
経済産業省からMOX燃料の使用前検査合格証を受ける長谷所長(右)

MOX燃料といっても、ウラン燃料と大きさや形に違いはなく、同じ方法で炉心へ装荷します。ただ、MOX燃料を使用するにあたり、一部の機器のホウ素濃度を上げるなどの変更があるので、社内のマニュアルを作り変え、それを用いた徹底的な教育を行いました。装荷当日は、機器の取り扱いに慣れ、知識を身に付けた当社社員や協力会社の皆さんが信念を持って、落ち着いて行動しました。
また、従来から原子炉内ではウラン燃料が燃えることにより、その一部がプルトニウムに変化し、ウラン燃料とともに燃焼しています。とはいえ、プルトニウムを含むMOX燃料を使用する際には、炉心に装荷する割合を最大でも4分の1程度とし、配置を十分に考慮することで、ウラン燃料のみで運転するときと同じように安全性を確保しています。今回は、原子炉に装荷した燃料157体のうちMOX燃料は8体装荷しています。
今回装荷したMOX燃料は、いずれ使用済燃料になりますが、その取り扱いはウラン燃料と同じで、発電所内の使用済燃料プールで適切に保管します。
原子炉内へMOX燃料を装荷する様子
使用済燃料プール