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原子力事業本部
若狭トピックス
原子力規制委員会から運転期間延長の認可書を
受け取る森中原子力事業本部長代理(右)
平成28年6月20日、当社は、原子力規制委員会より、高浜1、2号機について60年までの運転期間延長の認可をいただきました。
当社は、運転期間延長認可申請にあたり、原子炉容器や原子炉格納容器などの点検(特別点検※1)を行うとともに、安全を確保する上で重要な機器・構造物(容器、ポンプ、配管、弁、電気設備、建屋等)に対する経年劣化を想定した健全性評価(劣化状況評価)等を実施した結果、60年間の運転に問題がないことを確認しました。
当社は、これら運転期間延長認可申請に必要な書類(「特別点検結果報告書」※2、「劣化状況評価書(高経年化技術評価)」※3、および「保守管理に関する方針書(長期保守管理方針)」※4)を原子力規制委員会へ提出し、現地調査を含めた審査を受け、運転期間延長を認可されたものです。
また、高浜1、2号機は、運転期間延長の認可に先立ち新規制基準への適合に必要な原子炉設置変更許可、工事計画認可についてすでに許認可をいただいています。
運転開始日 | 運転延長期間(最大) | |
高浜1号機 | 1974年11月14日 | 2034年11月13日 |
高浜2号機 | 1975年11月14日 | 2035年11月13日 |
※1 特別点検…法に基づき、原子炉容器、原子炉格納容器、コンクリート構造物に対して劣化状況を把握するために実施した詳細な点検
※2 特別点検結果報告書…特別点検の結果を取りまとめた報告書
※3 劣化状況評価書(高経年化技術評価)…延長しようとする運転期間における重要な機器・構造物の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を取りまとめた報告書
※4 保守管理に関する方針書(長期保守管理方針)…劣化状況評価結果を踏まえ、今後実施する保守管理に関する方針を取りまとめたもの
原子力発電所の運転期間は40年ではないのですか。
以前は、法律など原子力発電所の運転期間を定めたものはありませんでした。
現在では、法律が改正され、運転期間が40年とされていますが、加えて最長20年延長できるしくみとなっています。
福島第一原子力発電所事故以前は、法律など原子力発電所の運転期間を定めたものはありませんでした。約1年ごとに定期検査を実施し、運転期間が30年目を迎える前(その後は10年ごと)に60年までの運転を想定した重要な機器・構造物に対する健全性評価(高経年化技術評価)を行って、国の審査を受けることで運転を継続できるしくみとなっていました。
福島第一原子力発電所事故を踏まえた新規制基準では、これまでの制度に加え、40年を超えて運転するにあたっては、原子炉容器、原子炉格納容器、コンクリート構造物について詳細な特別点検を実施し、その結果も踏まえた60年までの運転を想定した重要な機器・構造物に対する健全性評価と長期の保守管理方針に対して認可を受けることが必要となりました。
高浜1、2号機は、新規制基準に基づいて、60年までの運転を想定しても十分に安全が確保されることが確認され、最長60年までの運転期間の延長について原子力規制委員会に認めていただきました。
●資源の乏しい日本において「エネルギーの安定供給」「経済性」「地球環境問題への対応」の観点から原子力発電の果たす役割は大きく、政府が昨年7月に策定した「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度における電源構成のうち、原子力発電は20~22%と一定の割合を確保することが明記されました。一方で、現存する全ての原子力発電所が40年で運転を終了すると、2030年度の原子力発電による発電電力量は約15%となります。当社は、2030年度のエネルギー構造における原子力のあるべき姿である20~22%を確保するためにも、安全性の確保を大前提として40年を超えたプラントの運転が必要だと考えています。

●米国の原子力発電所は、運転開始時に40年の運転期間が認可されていますが、これは、原子力発電所の採算性(減価償却)の観点によるもので、技術的観点によるものではありません。
●運転期間はその後20年の更新が可能であり、稼動中の99基のプラントのうち、約8割の81基が60年の運転認可を取得済みであり、うち38基はすでに40年を超えて運転しています。さらに、80年までの2回目の運転認可更新についても検討されています。