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原子力事業本部
若狭トピックス
- 当社の中間報告
- 当社は、原子力安全・保安院から平成24年7月18日に大飯発電所敷地内破砕帯の調査についてご指示を受け、8月6日から大飯発電
所の敷地内で破砕帯の活動性等の調査・評価を実施しており、10月31日に中間報告を原子力規制委員会に提出しました。
中間報告時点では、後期更新世以降(約12〜13万年前以降)、破砕帯は活動していないとする当社のこれまでの評価を覆すような結果は出ていません。
中間報告(11月2日の現地調査時のデータ含む)
(下図参照)
1、2号炉背面山頂トレンチの
調査状況(東側)
陀羅山トンネルの
剥ぎ取り調査状況
- 1、2号炉背面山頂トレンチ、大飯発電所3、4号機増設時のトレンチ調査※1位置(既往トレンチ)付近でのボーリング3箇所でF−6破砕帯※2に相当する破砕帯を確認しました。
- 1、2号炉背面斜面(北側)付近(a.山頂トレンチの北側)のボーリングでは、F−6破砕帯は認められませんでした。
- 陀羅山トンネルの底盤剥(は)ぎ取り調査※3の結果、F−6破砕帯は認められませんでした。
- F−6破砕帯の観察結果では、破砕帯は全体的に固結しており、一般的な活断層の特徴(連続性のあるシャープなせん断面等)を有していませんでした。
- F−6破砕帯を分析した結果、破砕部の粘土は、地下深く(高温環境)で生成したものであり、古い時代の活動を示すものでした。
a〜cより、F−6破砕帯は、1、2号炉背面斜面(北側)付近より北、陀羅山トンネルより南には延伸しないと考えています。
d〜eより、現在、F−6破砕帯の活動性について、トレンチ調査、ボーリング調査等により、さらにデータ収集・分析を行っていますが、中間報告時点では、F−6破砕帯について後期更新世以降の活動を示唆するものはないと考えています。
- 原子力規制委員会での審議状況と追加調査の実施
- 当社は、11月2日に原子力規制委員会の有識者による大飯発電所敷地内破砕帯の現地調査を受けました。その後、11月7日の原子力 規制委員会の有識者会合で、さらに慎重に審議するために必要な追加調査のご指示を受け、11月22日に追加調査計画を原子力規制委員 会に提出し、調査に着手しました。
有識者会合での審議
原子力規制委員会による
現地調査
台場浜トレンチの破砕帯ができた原因が活断層なのか地すべりなのか、また、トレンチやボーリングで確認されたF−6破砕帯の連続性について結論付けるには情報が不足しているとして、さらに慎重に審議するために必要な追加調査のご指示を受けました。
《有識者会合での当社の説明》
- 台場浜トレンチ内に見える「地層のずれ」は、ボーリング調査や海岸露頭調査等により、台場浜トレンチの蛇紋岩(じゃもんがん)の中で発生した小規模な地すべりの末端であると判断している。
- 台場浜トレンチで確認した破砕帯と、山頂トレンチで確認したF−6破砕帯は、ボーリング調査の結 果、別々の破砕帯であると判断している。
- F−6破砕帯のブロックサンプリング試料を分析した結果、破砕帯に含まれる粘土鉱物は最近の断層 活動によるものではないこと等により、F−6破砕帯については「活断層ではない」と判断している。
原子力規制委員会からの追加調査の指示内容
- ○台場浜トレンチで確認された破砕帯を再度詳しく観察できるようにトレンチを深堀りすること
- ○破砕帯の成因が断層か地すべりかを確認するために、台場浜トレンチ付近を追加掘削すること
- ○上記と併せて、台場浜トレンチの破砕帯の部分をさらに山側に掘り進めること
- ○更なる情報の取得のため、大飯発電所3、4号機増設時のトレンチ位置(既往トレンチ)に近い箇所で再度トレンチを掘削すること
追加調査計画
- 1.実施内容(右図参照)
-
台場浜トレンチ付近(破砕帯ができた原因等の確認)
台場浜トレンチを東側に1m程度、西側に40m程度延長、山側(南側)に5m程度拡幅と、台場浜トレンチ周辺でのボーリング調査を実施既往トレンチ南側
既往トレンチの南側で群列ボーリング※4(破砕帯を覆って堆積している地層の年代を確認)と、ボーリング調査(破砕帯の連続性の確認)を実施
トレンチ調査計画については、追加調査結果に基づいて別途策定予定山頂トレンチ付近(破砕帯の連続性等の調査)
山頂トレンチの北側への延長と、北側でのボーリング調査を実施
- 2.今後の対応
- 現在、準備が完了したものから順次追加調査に着手しており、その結果を原子力規制委員会に報告する予定です。なお、最終報告につ いては、今回の調査結果を踏まえ、既往トレンチの南側でトレンチ調査を実施した後、結果を原子力規制委員会に報告する予定です。
- ※1 トレンチ調査…敷地内にトレンチ(溝)を掘り、破砕帯を覆って堆積している地層の変位等を実際に目視で確認する調査
- ※2 F−6破砕帯…大飯発電所1、2号機と3、4号機の間の地下をほぼ南北に走っている破砕帯。破砕帯とは、主に断層活動により、断層沿いの岩盤が砕かれて礫状になった部分
- ※3 剥ぎ取り調査…陀羅山トンネルは、大部分が基盤岩内にあることから、底盤のコンクリートを取り除いて基盤岩内の破砕帯の有無を調査
- ※4 群列ボーリング…複数のボーリングにより、地層の状況を連続的に確認する調査
- ※5 地表踏査…現地を歩いて目視で地質の状況を直接確認する調査
- ※6 海上音波探査…調査船から音波を出し、海底下の地層中からの反射波を観測し、振動の到達する時間を解析して海底下の地質構造を把握する調査
- ※7 海底地形調査…調査船から海中に音波を出し、海底面からの反射波を確認し、振動の到達する時間から海底面の地形を把握する調査(測量)