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若狭トピックス

越前若狭のふれあい 特別号 NO.16 2012年7月30日現在

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平成23年東北地方太平洋沖地震の知見等を踏まえた原子力施設への地震動及び津波の影響に関する安全性評価のうち若狭湾沿岸における津波堆積物に関する追加調査結果の報告について
天正地震による大規模な津波を示唆する痕跡がないことを改めて確認

 当社、日本原子力発電株式会社、独立行政法人日本原子力研究開発機構の3社は、過去に発生した津波の痕跡に関する情報の蓄積を目的に、若狭湾沿岸における津波堆積物調査を実施しています。そうした中、平成23年11月11日に、原子力安全・保安院から天正地震に関する調査についてのご指示を受け、天正地震の年代を含む地層を採取し、試料分析等を行い、平成23年12月21日、原子力安全・保安院へ報告しました。
 その後、平成24年1月25日に行われた国の審議会の委員からのご意見を踏まえ、天正年間も含めた津波に関する痕跡データの更なる拡充を目的とした追加調査を実施し、追加調査結果(天正地震)を取りまとめ、平成24年6月21日、原子力安全・保安院に報告しました。

1.調査場所・調査箇所
○美浜町久々子湖東方陸域
(坂尻地区2箇所、久々子・松原地区5箇所、早瀬地区1箇所)
○敦賀市猪ヶ池内(6箇所)
2.調査方法
 ボーリングにより試料採取・分析し、津波堆積物の有無を確認しました。
陸上ボーリング 水上ボーリング(猪ヶ池)
陸上ボーリング
ボーリングマシンにより地下試料を採取します。
水上ボーリング(猪ヶ池)
基本的には陸上ボーリングと同じですが、フロート台船上で掘削を行います。

美浜町久々子湖東方陸域、敦賀市猪ヶ池

3.調査結果
(1)美浜町久々子湖東方陸域
○図1の8箇所の採取試料について、肉眼観察と炭素年代測定を行った結果、5箇所(ABCDE)について、天正年間を含む可能性がある地層に粘土やシルト(砂と粘土の中間粒度の砕屑物(さいせつぶつ))が含まれていることから津波堆積物の有無を判別できると判断し、X線CTスキャンを併用して、詳細な解析を実施しました。
○【地点BDE】 天正年間を含む可能性がある地層に、津波堆積物の指標となり得る砂層は認められませんでした。また、微化石分析等を実施した結果、BEは、わずかに海水性珪藻(けいそう)が認められましたが、淡水性珪藻がほとんどを占めていました。また、Dは海水性珪藻が認められず、淡水性珪藻のみが認められました。有孔虫(ゆうこうちゅう)、貝形虫(かいけいちゅう)、ウニは、いずれにも認められませんでした。
○【地点AC】 天正年間を含む可能性がある地層は耕作土でした。
(2)敦賀市猪ヶ池
○図2の6箇所の採取試料については、肉眼観察と炭素年代測定を行った結果、天正年間を含む可能性がある地層は、全箇所において主に腐植層(ふしょくそう)からなり、津波堆積物の有無を判別できると判断し、X線CTスキャンを併用して、詳細な解析を実施しました。
○【地点16】 天正年間を含む可能性のある地層には津波堆積物の指標となり得る砂層は認められませんでした。また、この6箇所について微化石分析等を実施した結果、天正年間を含む可能性のある地層では有孔虫、貝形虫、ウニは全く含まれず、一部でわずかに海水性珪藻が認められましたが、淡水性珪藻がそのほとんどを占めていました。
4.評価結果
 追加調査の結果、天正年間を含む可能性がある地層には、津波堆積物の指標となり得る砂層がないことや、微化石分析等を行った結果、古文書に記載されているような大規模な津波を示唆する痕跡はないと考えられ、「古文書に記載されているような天正地震による大規模な津波を示唆するものはないと考えられる」とする従来の評価を覆すものではないと判断しました。
5.今後の対応
 今回の報告に関する国の審議会の結果を踏まえ、追加調査を実施するなど適切に対応してまいります。
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