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コンプライアンス

コンプライアンス推進体制

当社グループでは、法令等遵守体制の抜本的な強化を図るため、外部人材を活用したコンプライアンス体制の再構築を行うこととし、2020年4月に、「コンプライアンス委員会」および「コンプライアンス推進室」を設置しました。
コンプライアンス委員会は、コンプライアンスに係る監督機能を強化するために、社長等執行から独立した、取締役会直下の委員会として組織され、委員長を含め過半数が社外委員で構成されています。コンプライアンス委員会参照
さらに、2023年7月には、グループ全体のコンプライアンス推進やリスクマネジメント等を一元的に進めるべく、「コンプライアンス推進室」に、行為規制、リスクマネジメント、内部統制等の機能を統合し、「コンプライアンス推進本部」を新設するとともに、コンプライアンス推進の最高責任者としてCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置しました。併せて、グループ全体のリスク管理をはじめとした内部統制について審議を行うために内部統制部会を新設しました。加えて、第一線職場を含めた事業部門における内部統制の実効性を高めるべく、各事業部門に内部統制・コンプライアンス担当を新設し、コーポレート部門との連携強化に向けた体制整備を図っています。
コンプライアンス推進本部は、法的知見を有するスタッフのほか、多様な職歴を有するスタッフで構成されています。当社グループのコンプライアンス推進計画の策定、実施および問題事象への対応を担うとともに、コンプライアンス遵守のための研修や、法令等遵守のためのコーポレート部門と連携した働きかけ、各業務部門等に対する取組み状況のヒアリング・指導を行います。
また、コンプライアンスに係る諸事象について、コンプライアンス委員会に報告、付議しています。そして、コンプライアンス委員会の指導、助言、監督のもと、社長等執行が具体的な取組みを行っています。
※リスクマネジメントの詳細について

コンプライアンス推進体制

<参考>コンプライアンス委員会の開催状況(2022年度)

コンプライアンス委員会は、四半期ごとの定期開催に加え、特に重大な問題事象発生時には、機動的に開催することとしています。
2022年度は、コンプライアンス上の問題事象に関する報告やコンプライアンス推進計画、コンプライアンスに係る研修等についての審議を中心に、計10回開催しました。

コンプライアンス推進の取組み

当社グループでは、コンプライアンス上のリスクを毎年評価し、対応すべきコンプライアンスリスク項目を選定しています。そのリスクに対しては、毎年度コンプライアンス推進計画として具体的な防止策を立案し、実践しています。
2023年度は、当社グループ全体で認識し、取り組むべきコンプライアンス推進の重点項目として、「法令等遵守および適正な競争環境の確保を徹底するための仕組みや実行組織の再構築」、「コンプライアンスに対するリスク感度の更なる向上」、「声をより上げやすく、コンプライアンス問題に対して組織で対応する職場づくり」「職場によりそった柔軟なコンプライアンス推進活動の実施」を挙げています。
今後、本計画を着実に実行するとともに、必要に応じて新たな取組みを加えていきます。

2023年度コンプライアンス推進計画

1.法令等遵守および適正な競争環境の確保を徹底するための仕組みや実行組織の再構築
◆内部統制・リスクマネジメント体制や仕組みの強化

グループ大のコンプライアンス推進やリスクマネジメント、内部統制の抜本的強化に向けた仕組み・ルール作りを行うとともに、一元的に実行・推進するための組織を再構築します。

2.コンプライアンスに対するリスク感度の更なる向上
◆研修の実施

知識の習得にとどまらず、日々の業務において真にコンプライアンスを徹底・実践するための実効的なコンプライアンス研修を、グループ各社役員・従業員を含む、グループ全体に対して実施します。

◆啓発活動の実施

コンプライアンス意識の向上につなげるべく、コンプライアンス委員会社外委員と従業員とのコミュニケーションや、社内外の事例紹介等を行います。

◆日常業務への浸透活動

日常業務におけるコンプライアンス問題事象の発生リスクを上司・部下間で確認し、認識を共有するために、法令・社内ルールに対する浸透活動を行います。

3.声をより上げやすく、コンプライアンス問題に対して 組織で対応する職場づくり
◆「心理的安全性」の高い職場に向けた取組み

部下が上司に気軽に相談・意見具申できる「心理的安全性」の高い職場づくり、上司・部下間のコミュニケーションの強化を行います。

◆職場の声を吸い上げる取組み

コンプライアンス推進責任者と、各所のコンプライアンス推進スタッフとのコミュニケーションを実施するとともに、本店・現場間のコミュニケーションを強化します。

◆内部通報の活用・促進に向けた取組み

社内リニエンシー制度の導入をはじめとする、内部通報の心理的ハードルを下げる仕組みづくりや、内部通報制度の一層の理解・浸透に向けた啓発活動を行います。

4.職場によりそった柔軟なコンプライアンス推進活動の実施
◆職場の取組みの共有

各所のコンプライアンス活動の推進に役立てるべく、業種、業務内容、従業員規模、勤務形態等に応じて、各部門やグループ会社間の情報交換会を実施します。

◆贈答・接待ルールに関する啓発活動

各部門とのコミュニケーションやQ&Aの充実等により、ルールの趣旨の浸透を図るとともに、よりわかりやすいルールとなるように、贈答接待規程の改正を検討します。

◆社内ルール等の適切な見直し

業務実態に合わない社内ルール・業務運用は規範意識の低下等を招くことから、定期的な見直し(簡素化・廃止等)を慫慂します。

コンプライアンス相談窓口

当社グループでは、関西電力グループ行動憲章において、コンプライアンス上の疑問や違和感を感じた際の、窓口への報告・相談について定めています。
当社が開設している「コンプライアンス相談窓口」は、公益通報をはじめとした各種法令違反、不適切な業務運営といった、職場においてコンプライアンス上疑問を感じることについて相談を受け付けています。当社グループ各社とその取引先の役員、従業員に加えて、それらを退任・退職した者の利用も可能で、コンプライアンス上問題となる行為の未然防止、早期発見および是正を図ることを目的としています。さらに、必要に応じ、事象に即した分野の専門弁護士が対応することとし、自らの判断でコンプライアンス委員会あるいは監査委員会に対処を求め、実効的措置を講じることができる仕組みとなっています。
窓口は匿名での相談を可能としたり、女性相談員を配置するなど、相談しやすい環境整備に努めており、相談したことによる相談者への不利益取扱いの禁止を徹底しています。相談者の秘密保護に細心の注意を払っており、相談者の氏名は、事実調査・対応に最低限必要な関係者にしか開示せず、当該関係者には守秘義務を課しています。また、事実調査を行うにあたっては、相談者の意向を確認しながら進めています。
窓口利用の重要性にかんがみ、当社各部門、グループ各社に対し、イントラネットやポスター、リーフレット等各種ツールにより、窓口の周知や活用の慫慂を継続的に行っています。

関西電力グループ コンプライアンス相談窓口

社内リニエンシー制度の導入をはじめとする相談窓口制度の充実・強化

社内リニエンシー制度の導入をはじめとする相談窓口制度の充実・強化

2023年5月に定めた業務改善計画を踏まえて、相談窓口制度の利用に対する抵抗感を払拭するため、相談後の対応の流れを周知するなど、さらなる活用促進に取組むとともに、社内リニエンシー制度を導入します。社内リニエンシー制度とは、従業員が会社に対し、自主的にコンプライアンス違反事象について報告等を行った場合、最終的な懲戒内容の軽減について考慮する取扱いです。法令違反や不適切な業務運営を早期に発見し、組織として対応するべく、相談窓口制度を充実、強化します。

コンプライアンス違反への対応

当社および関西電力送配電(株)では、2019年度に定めた業務改善計画を踏まえ、問題事象発生時の報告体制について整備し、役員、従業員の報告ルールについて社内規程に明記しました。
各部門の長は、その所管する部門等において、当社および関西電力送配電(株)の対外的信頼等に影響する、重大な法令違反(法令等により定められた手続きの遺漏含む。)や不正等のコンプライアンス上問題となる事象に関する情報を察知した際は、ただちにCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)に報告し、CCOは、当該事象に適切に対処するとともに、コンプライアンス委員会に報告し、指導、助言および監督を受けます。
また、役員は、コンプライアンス上問題となる事象、またはその発生のおそれを認識した場合、コンプライアンス委員会の社外委員および取締役会議長に報告することとしています。従業員については、同様の場合において、上司へ報告することとしており、また報告内容にかんがみ、社内外に設置するコンプライアンス相談窓口への報告が適切であると判断した際は、上位職位へ報告する代わりに当該窓口へ報告することも可能であり、当該窓口は、報告を受けた場合、必要に応じて関係部門または関係者と協力して調査、対応を行います。調査の結果、法令違反等が明らかになった場合は、関係各部門または関係者がすみやかに是正措置および再発防止策を講じることとしており、必要に応じて、関係行政機関への報告や、報道機関への公表等を実施します。CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)は、関係部門または関係者に対して、必要に応じてフォローアップを実施することとしており、是正措置や再発防止策が十分に機能しているか、コンプライアンス上問題となる行為が再発していないかなどを確認し、コンプライアンス上の問題行為が再発している場合は、当該部門やその他関係する部門などと、必要な対応について協議することとしています。

過去の違反事象への措置の一例

施工管理技術検定の実務経験要件の不備

2021年6月18日、内部通報窓口への通報を契機として、当社のグループ会社において、施工管理技術検定の受検資格である所定の実務経験を充足していない状況で受検・資格取得していたことが判明しました。コンプライアンス委員会の指導、助言も踏まえ、2021年7月30日に、客観的かつ徹底的な調査、原因の究明、再発防止策の提言を目的に第三者委員会を設置しました。
第三者委員会において、関西電力を含む15社に対し、在籍者3,372名、退職者704名を対象に、以下の3つの事項を調査しました。

  • ①技術検定試験の受検資格である実務経験要件の不備
  • ②実務経験要件に不備があった者が不備と認定された資格に基づいて現場の主任技術者または監理技術者として配置された物件の有無及び範囲
  • ③実務経験要件に不備があった者が不備と認定された資格に基づいて現場の主任技術者または監理技術者として配置された物件における施工品質第三者委員会による調査結果や、それを受けて策定した再発防止策については、2022年12月20日に公表しました。

各部門・グループ各社の特性に応じたコンプライアンスの推進

当社各部門•グループ各社のコンプライアンス推進

各部門・グループ各社が能動的にPDCAサイクルを機能させ、コンプライアンスを推進することで、「コンプライアンスが経営の基盤である」という考え方のグループ全体の浸透・定着を図っています。
具体的には、各部門では、基本方針や重点テーマ、各部門の事業・業務特性、経営環境の変化に伴い今後生じうるコンプライアンスリスク、社内外で過去に発生した不祥事などを踏まえ、自部門の「コンプライアンス推進計画」を策定し、推進の実践、評価および改善を図っています。
また、グループ各社では、基本方針、重点取組みを踏まえ、それぞれの事業特性、経営規模などの実態に即してコンプライアンスを推進しています。

各部門•グループ各社の活動に対する支援

コンプライアンス推進本部は、グループ全体のコンプライアンス推進を牽引するとともに、各部門、グループ各社の取組みをサポートしています。

海外贈賄防止に係る取組み

当社グループは、アジア・北米・欧州のほか、さまざまな地域でグローバルな事業展開を進めており、現地の法令やルールを遵守することがグローバル事業展開の大前提であると考えています。
特に、贈賄規制の強化が世界的な潮流であることから、外国公務員等に対する贈賄防止に関する社内規程を制定し、不正な意図を持った贈答接待などの禁止事項や遵守すべき事項を明確化するとともに国際事業本部を含む国際取引に携わる部門に対し、研修等を通じて、継続的に周知しています。引き続き、これらの取組みにより、不適切な贈賄防止に努めます。

コンプライアンス意識等に関する全従業員アンケート結果

当社および関西電力送配電(株)は「サステナビリティアンケート(2006年度より毎年実施)」を行っており、そのなかでコンプライアンス意識等に関する調査を実施しています。この結果を活用し、引き続き、企業体質の是正、コンプライアンスを重視する健全な組織風土の醸成に取り組んでいきます。

情報セキュリティ対策

方針・考え方

個人情報に対する意識の高まりやデジタル化の進展に伴うデータ利活用が加速する中、個人情報保護法により、個人情報を取扱う事業者が遵守すべき義務が強化されてきました。
当社グループは、お客さまをはじめとした社会の多くのみなさまからの信頼に応え、企業としての使命を果たしていくために、個人情報の適切な保護が重要な責務であると考えています。当社およびグループ会社が保有するお客さま等の個人情報については、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであることを十分認識し、個人情報保護法やガイドライン等を遵守するとともに、プライバシー権等の権利にも配慮した適切な取扱いを行います。
また、個人情報だけでなく業務情報の適切な取扱いを含む情報セキュリティについても、組織的対策、人的対策、物理的対策、技術的対策を実施しています。各対策については、社内外の事象や最新の技術・知見を取り入れて、適宜見直しをするなど改善に努めています。

体制

  • 所管役員 荒木 誠[関西電力(株)CISO(代表執行役副社長)]
  • 審議機関 執行役会議
  • 事務局 IT戦略室 サイバーセキュリティグループ(情報セキュリティ事務局)

取組み

情報セキュリティ研修受講率(2020年12月~2021年2月)98.9%

当社グループでは、入退室管理や情報システムのアクセス管理などの物理的・技術的な対策の強化に取り組むとともに、社内ルールの見直しや従業員への研修、標的型メール訓練など、組織的・人的対策も継続して実施することで、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。

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