原子力発電の安全性向上に向けた取組み
美浜発電所の安全対策

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美浜発電所だよりVOL.130 2026年9月発行

2026 vol.130 美浜発電所だより
2026年9月11日発行
美浜発電所長 鶴 一隆
美浜発電所長
鶴 一隆
美浜発電所3号機の状況について

 5月8日に発生した美浜3号機の高圧タービンからの蒸気漏れに伴い原子炉を手動停止し、地元の皆様にはご不安やご心配をおかけしましたことについて、心よりお詫び申し上げます。
 美浜発電所では、原因調査の結果を踏まえて様々な再発防止対策を決定し、全力で取り組んでまいりましたので、定期検査工程と合わせてご報告申し上げます。

【事象の概要】
  • 〇美浜3号機(定格熱出力一定運転中)において、5月8日4時8分に「高圧車室上下部メタル温度差大(-側)※1」の警報が発信しました。
  • 〇4時10分頃に運転員がタービン建屋内の監視カメラで状況を確認したところ、高圧タービン周辺より蒸気が漏れていることを確認したため、4時24分に原子炉を手動停止しました。
  • 〇その後、4時43分に蒸気の漏れが停止していることを確認しました。
  • 〇本事象による環境への放射能の影響はありません。
事象の概要
  • ※1:高圧タービンを覆うカバー(車室:上下2分割)自体の温度を測定しており、上部と下部の温度差が生じた場合に発信する警報。
    上部温度-下部温度で温度差を監視しており、-側(マイナス側)は下部に比べて上部の温度が低いことを示す。
【発電所での調査結果】
  • 〇高圧タービン車室※2上部の外面目視点検の結果、2つある上部車室閉止キャップのうち、調速機側の閉止キャップの母材に縦約1cm、横約8cmの損傷があることを確認しました。
  • 〇当該閉止キャップの肉厚測定(超音波計測)の結果、損傷箇所を中心に周辺の厚さよりも薄く、最も薄い箇所は約1mmとなっていました。(発電機側の閉止キャップにおいても、薄くなっている箇所があることを確認)
  • 〇当該閉止キャップの内面目視点検の結果、表面荒れがあることを確認したが、車室本体部で認められるようなクレーター状の減肉は認められませんでした。
発電所での調査結果
  • ※2:蒸気発生器で発生した蒸気で回転するタービンの羽根(動翼)や固定翼(静翼)を覆うカバー
調査結果を踏まえた再発防止対策の取組状況および3号機の定期検査工程について
【推定原因】
  • 〇キャップ部を含む高圧タービン排気室内の蒸気は、湿分を含み速度が速く、流れ加速型腐食(FAC)による減肉が進行し損傷に至りました。
  • 〇キャップ内面の目視点検で確認していた表面荒れは、減肉を示す劣化情報として認識せず、減肉の進行を適切に把握できていませんでした。

【再発防止策】

対策項目 対策内容
閉止キャップの損傷についての対策
  • ①調速機側および発電機側の上部車室閉止キャップを同仕様品の内面にステンレス鋼を溶接で肉盛りした耐食性向上対策を施したものに取り替えました。
    対策項目
  • ②保全指針の管理部位を高圧排気室と閉止キャップに分けて管理することとしました。
  • ③上部車室閉止キャップを含めた高圧タービン車室の目視点検記録については、設備の状態変化を客観的・継続的に把握し、判断プロセスを明確にするため、画像データを残すなど記録方法を見直しました。
目視点検結果から肉厚測定を実施できなかったことに対する対策 目視点検に関するガイドラインを新たに制定し、次のとおり明確に規定しました。
  • ・目視点検を実施するにあたり、図面類の確認により構造の特徴を把握します。
  • ・目視点検時において、外形の確認や図面との比較等により設備の厚みを把握し、表面様相を注意深く観察して減肉の有無を確認します。
  • ・目視点検時において確認された減肉については、超音波厚さ計等による肉厚測定を実施し、その結果や設計情報等により、肉厚が判定基準である必要最小厚さを満足していることを確認します。

閉止キャップの損傷についての対策

 他サイトを含めて保修業務にあたる社員を対象に、目視点検での着眼点、点検後の詳細評価の重要性他について、本事例を題材とした教育(トラブル事例研修)を実施します。
 なお、美浜発電所の保修業務にあたる社員については、目視点検の着眼点等について教育を実施済みです。

閉止キャップの損傷についての対策

水平展開  今回の事象を踏まえ、高温・高圧の蒸気や水が流れるすべての機器(184機器)を対象に保全が適切に実施されていることを改めて確認しました。
【美浜発電所における自主的な現場の安全確保に向けた重点点検】

今定期検査と並行して、労働安全の観点も含め発電所内の設備・機器について幅広く点検を行いました。

機械

①高温・高圧の蒸気・水が流れる機器の点検

流れ加速型腐食の可能性のある機器について、肉厚を確認する。

高温・高圧の蒸気・水が流れる機器の点検

②高温・高圧の蒸気・水が流れる配管端部(閉塞部)の点検

高エネルギー配管の端部(閉塞部)について、異常のないことを確認する。

高温・高圧の蒸気・水が流れる配管端部(閉塞部)の点検

③小口径分岐管のサポートの取付状態確認

高エネルギー配管における小口径分岐管の振動を定量的に評価されていない箇所について、サポートにゆるみがないことを確認する。

小口径分岐管のサポートの取付状態確認

④保温材の施工状態確認(屋外配管)

高エネルギー配管における屋外配管について、保温の施工状態(隙間等がないこと)を確認する。

保温材の施工状態確認(屋外配管)

⑤保温材の施工状態確認(高温設備)

安全通路近傍の高温設備の保温材に脱落等のおそれがないことを確認する。

保温材の施工状態確認(高温設備)

⑥ガス・油・薬品系統の健全性確認

ガス・油系統の劣化および、薬品系統の配管フランジのカバーの劣化や系統全体に異常がないことを確認する。

ガス・油・薬品系統の健全性確認

⑦屋外機器の架台点検

屋外機器の架台について、劣化がないことを確認する。

屋外機器の架台点検

⑧補助蒸気系統のドレントラップラインの配管点検

蒸気が間欠的に流れるドレントラップラインの配管について、異常がないことを確認する。

補助蒸気系統のドレントラップラインの配管点検

電気

⑨メタクラ・パワーセンターの点検

安全通路に近いメタクラ、パワーセンターの背面カバーについて、ボルトのゆるみ、隙間の有無について確認する。

メタクラ・パワーセンターの点検

計装

⑩高電圧供給計装設備の点検

高電圧供給されている計装設備(NIS、RMS等)に敷設されているアース線の目視点検を実施し、アース線の劣化等がないことを確認する。

高電圧供給計装設備の点検

土建

⑪「人」と「車」の通行範囲の安全確認(転落・落下防止)

「人」と「車」の通行する範囲において、墜落・落下等のリスクの有無について、確認する。

階段等の鋼製部分の支持部の劣化確認
「人」と「車」の通行範囲の安全確認(転落・落下防止)

トンネルや建屋室内の天井に関する剥落の兆候確認
「人」と「車」の通行範囲の安全確認(転落・落下防止)

【定期検査工程について】

 6月16日から開始している定期検査については、計画どおり進捗しています。
 また、高圧タービンからの蒸気漏れに関する各種対策の実施状況を踏まえ、9月15日に並列(送電開始)することといたしました。
 当社は、引き続き、安全を最優先に発電所運営に努めてまいります。

美浜発電所構内における使用済燃料 乾式貯蔵施設の設置計画に係る事前了解

 当社は8月28日、美浜発電所構内における使用済燃料乾式貯蔵施設の設置計画について、福井県および美浜町から「原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書(安全協定)」に基づく事前了解を受領しました。
 本計画に係る事前了解願いは、2024年2月8日に福井県および美浜町に提出したものです。
 これを受けて、美浜発電所の設計及び工事計画の認可について、8月31日に原子力規制委員会に対して申請を行いました。(高浜発電所(第一期)についても同様に、8月28日に事前了解を受領し、8月31日に原子力規制委員会に対して申請を行いました。)

設置理由:使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、さらに搬出までの間、電源を使用せずに安全性の高い方式で保管できるよう、発電所からの将来の搬出に備えて発電所構内に使用済燃料乾式貯蔵施設を設置します。

施設の概要
容量、設置位置等

容量 輸送・貯蔵兼用キャスク最大10基、使用済燃料 約100t

設置位置 美浜発電所3号機原子炉補助 建屋 北側付近

工期 2027年~2029年

貯蔵方式(個別格納方式)
  • ●輸送・貯蔵兼用キャスクに衝撃吸収カバーを取り付け、横向きの状態で架台に載せ、基礎等に固定しない方法を採用。
  • ●発電所敷地境界外での放射線量を低減するため、遮蔽用の鉄筋コンクリート製の格納設備をキャスクごとに設置。敷地境界外における空間線量率は、原子炉施設本体等からの線量を含めても目標値である年間50μSvを十分下回る。
  • ●この方式は、乾式貯蔵に係る規制が見直され※、安全性が確保された様々な貯蔵方式に対応したことを受けたもの。

  • ※:原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(2019 年3月制定)
輸送・貯蔵兼用キャスクの概要
安全機能

除熱機能:発生する熱をキャスクの表面に伝え、外気で冷却

閉じ込め機能:一次蓋、二次蓋の二重蓋で密封を維持し、放射性物質を閉じ込め

遮蔽機能:金属製の胴・蓋や中性子遮蔽材等により放射線を遮蔽

臨界防止機能:バスケットにより使用済燃料の間隔を保ち臨界を防止

堅牢性:地震時に作用する力、竜巻による飛来物の衝突、森林火災等の自然現象および地震等による格納設備損傷の影響に対しても安全機能が維持できる

輸送・貯蔵兼用キャスクの主な仕様

  • ※:キャスクを取り扱う既設クレーンの吊上荷重に収まるように軽量化するため、MSF-24P(S)型をベースに収納体数、収納燃料の発熱量や放射線量等を考慮し新たに設計したキャスク

当社は、引き続き、地元をはじめとする皆さまのご理解を賜りながら本計画を推進していくとともに、原子力発電所の一層の安全性・信頼性の向上に努めてまいります。

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