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若狭トピックス

越前若狭のふれあい 特別号 No.51 2024年3月5日現在

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原子力発電所の主要な設備は固い岩盤に建設し、最大の地震を想定し設計しています

○徹底した調査結果をもとに最大の地震動に耐えられるよう設計しています。
 原子力発電所の主要な設備は、徹底した地質調査や過去に発生した地震の調査などから考えられる最大の地震に耐えられるよう設計しています。
○耐震性の実証および耐震限界を把握しています。
 原子炉格納容器などの安全上重要な機器類については、世界最大級の振動台によって実証試験を行っています。実物大もしくは精密な模型を振動台にのせ、設計段階で想定した地震よりも大きな力で実際に揺らして耐震安全性を確認しています。
○強い地震を感知すると自動停止します。
 原子力発電所内には複数の感震器が設置されており、感震器が大きな揺れを感知し設定値を上回ると、原子炉を安全に自動停止する仕組みになっています。
 なお、当社の各原子力発電所の原子炉自動停止設定値は水平方向160ガル、鉛直方向80ガルとなっています。
原子炉格納容器試験、主蒸気配管試験
原子炉自動停止設定
○強固な地盤に建設しています。
 原子力発電所は、地盤を掘り下げて十分な支持性能を持った揺れにくい強固な岩盤に建設しています。
(固い岩盤と通常の地盤の違い)
 原子力発電所が設置されている固い岩盤に対して、一般住宅やK-NET※の強震計が設置されている通常の地盤では、地震による揺れが大きく増幅されます。
 このため、ハウスメーカーなどが示している住宅の耐震性の値や、K-NETの観測値と、原子力発電所で確認された値を単純に比較することはできません。平成28年4月に大きな揺れが観測された熊本地震では、4月14日の前震(マグニチュード6.5)において、熊本県益城町の地盤地表で観測された揺れの強さは1,580ガルでしたが、地下の固い岩盤の中では最大で237ガルでした。
強固な地盤に建設
堅固な地盤(岩盤)での揺れは表層地盤に比べ1/2~1/3程度
出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

※K-NET : 防災科学技術研究所が阪神・淡路大震災を契機として整備された、全国を約20km間隔で覆う1,000ヶ所の強震観測施設からなる観測網。現在、設置されている強震計は震度計の機能も有しており、気象庁による震度発表にも活用されている。

地震の揺れを表す単位「ガル」とは
 基準地震動や耐震性の評価では、地震の揺れを表す単位として「ガル」が用いられます。「ガル」は、地震によって生じる瞬間的な揺れの大きさを加速度で表したもので、速度が1秒ごとに秒速1cmずつ速くなる加速状態を1ガルといいます。原子力発電所の耐震設計では、人体の感覚や被害の程度を通じて揺れの強さを表す「震度」ではなく、物理的な揺れの大きさを示す単位の「ガル」を用います。こうして建物や設備ごとにどのような力がかかるかを解析し、十分な耐震性があることを確かめています。

福島第一発電所事故を教訓に強化された規制基準と自主的な安全性向上の取組み

 2011年に発生した、福島第一原子力発電所事故を教訓として、新たな基準が施行されました。
 新規制基準では、地震・津波への対策に加え、同様の事故を防ぐべく設計基準を強化しており、自然災害が多い日本の特徴を踏まえ、考慮する自然現象は地震、津波のほか火山・竜巻・森林火災など広範囲にわたっています。当社では新規制基準に基づいて許認可を受けた発電所に関し、シビアアクシデントへの対応、地震や津波、竜巻、火災等への対策や、自主的な取組みにより、プラントの安全性を向上させています。

○新規制基準を踏まえ想定している最大規模の地震の揺れと最大の津波高さ
 国の耐震指針では、「施設を使用している間に極めてまれではあるが、発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動」を「基準地震動」としています。
 この基準地震動の策定にあたっては、文献調査や、発生様式ごとの地震の調査、活断層の調査などを行った上で、発電所への影響が大きい地震動を評価しています。さらに、発生しうる地震すべてを事前に評価できるとは限らないため、震源を特定しない地震も考慮しています。
 津波についても、同様に様々な調査を行い、地震による津波に加え、地すべり、火山活動など地震以外の要因が組み合わさった場合の津波の大きさも考慮して、発電所ごとに想定される津波のうち、最も大きな津波の高さを想定しています。
 新規制基準施行以降、このようにして策定した基準地震動や想定した最大の津波高さに対し、原子力発電所は安全上重要な施設の機能が失われない設計や対策が求められています。
○津波への対策例
◆津波による衝撃を緩和し、浸水を防ぐ「防波堤、防潮堤、防潮ゲート」
防波堤、防潮堤、防潮ゲート
◆安全上重要な機器を守る「水密扉」
水密扉
○当社原子力発電所の基準地震動
当社原子力発電所の基準地震動
○当社原子力発電所で想定している最大の津波高さ
当社原子力発電所で想定している最大の津波高さ
○耐震性強化の対策例
◆強い揺れにも耐える配管サポートの設置
配管サポート

当社は、規制要求に留まることなく、自主的に新知見の反映に取り組むなど、積極的に安全性向上を図っております。
今回の能登半島地震に限らず、耐震評価等に反映すべき知見が確認された場合には、適切に対応してまいります。

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