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かんでんトピックス

エネルギー基本計画についてお知らせします
2025年2月、政府はエネルギー政策の基本的な方向性を示すエネルギー基本計画を約3年ぶりに改定し、「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定しました。
今回は、「第7次エネルギー基本計画」におけるエネルギー需給の見通しや原子力発電の位置づけについてお伝えします。
日本を取り巻くエネルギー情勢
エネルギー基本計画は、3年ごとに検討を加え必要に応じて見直されることとなっており、その時々のエネルギー問題が反映されています。前回の「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定された2021年10月以降、日本を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化しています。
変化①
「エネルギーの安定供給」の確保が、経済安全保障の観点からますます重要に
- ・2022年2月に、ロシアがウクライナ侵略を開始し、世界のエネルギー情勢は一変しました。
ロシアに対するエネルギー依存度を高めていた欧州各国を中心に、ロシア産ガスから脱却する方針を示したことにより、短期的なエネルギー需給バランスが大きく崩れ、その価格は、アジアのLNG市場においても史上最高値を付けることとなりました。 - ・中東情勢についても、一時期、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化やイスラエル・イラン間の軍事的緊張関係が高まるなど、変化しています。原油の約9割以上を中東に頼る日本のエネルギー安全保障にも大きな影響をもたらします。

出典:資源エネルギー庁HP
変化②
デジタル化の進展などに伴う電力需要の増加が見込まれる
- ・この20年ほどの日本の電力需要は、省エネ対策や人口減少などが要因で減少していました。しかし、近年、デー タセンターや半導体工場の新増設、電動車や産業の電化(エネルギー源を電気にすること)などにともなって、電 力需要の増加が見込まれており、今後10年の電力需要は増加傾向になると予想されています。
- ・こうした変化等を踏まえ、2040年度のエネルギー需給は最終エネルギー消費量は減少するものの、電力需要は増加する見通しが示されました。
また、電源構成については現在、約7割を占める火力を3~4割程度まで減らし、風力や太陽光といった再生可能エネルギーを4~5割程度、原子力を2割程度に増やす見通しも示されました。

日本のエネルギー政策の基本的視点は「S+3E」
エネルギー資源に乏しい日本は、原油や天然ガスなどの化石燃料のほとんどを中東など海外から輸入しています。このため海外情勢の変化に影響を受けやすく、エネルギーの安定供給が重要な課題となっています。
日本では、安全性(S)を大前提に、エネルギー安定供給(E)を第一として、経済効率性の向上(E)と環境への適合(E)を図る「S+3E」の原則を今後も維持していくとしています。
また、日本では、産業革命以来の化石エネルギー中心の経済・社会、産業構造から、クリーンエネルギー中心のものに移行させ、経済社会システム全体の変革を行うGX※を推進し、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指しています。
- ※GX:グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)
これまでの化石エネルギー(石炭や石油など)中心の産業構造・社会構造から、CO₂を排出しないクリーンエネルギー中心に転換すること

2040年度に向けた政策の方向性
こうした日本のエネルギーを取り巻く情勢の変化や、エネルギー政策の基本的視点を踏まえ、新たな基本計画では「特定の電源や燃料源に過度の依存をしないようバランスのとれた電源構成を目指す」との方針が示されました。
また、原子力についてはこれまで「可能な限り依存度を低減する」としていた記載を見直し、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用していく」と明記されました。
加えて、原子力の諸課題への対応方針も以下のとおり示されています。
第7次エネルギー基本計画における原子力の諸課題への対応方針(抜粋)
- 〇核燃料サイクルの推進
- 六ヶ所再処理工場の竣工は、必ず成し遂げるべき重要課題であり竣工に向け、審査対応の進捗管理や、必要な人材確保などに官民一体で責任を持って取り組む
- 〇次世代革新炉の開発・設置
- 新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置に取組む
廃炉を決定した発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として具体化を進める - 〇高レベル放射性廃棄物の最終処分
- 最終処分の実現に向け、国が前面に立ち取り組む
全国の多くの地域が地層処分に関心を持ち、文献調査を受け入れるよう、理解活動を積極的に行う - 〇立地地域との共生
- 国は、立地地域が抱える様々な課題に真摯に向き合い、関係府省庁が連携し、地域の持続的な発展に向けた取組を進めていくとともに、原子力事業者にも、原子力基本法に基づく責務として立地地域の様々な課題解決に資する誠実な対応や主体的な貢献を求めていく
当社は引き続き、安全最優先に電力の安全・安定供給に努めてまいります。