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原子力事業本部
かんでんトピックス
当社は、使用済燃料対策を着実に実施していくためのロードマップを昨年10月に公表しました。このロードマップを確実に実現するために方策の一つである、乾式貯蔵施設の設置計画について、国へ許可申請を行っております。今回は、乾式貯蔵施設の概要と安全性についてご説明します。
●使用済燃料乾式貯蔵施設とは
乾式貯蔵は、再処理のために搬出されるまでの間、使用済燃料プールで十分に冷却(15年以上)した使用済燃料の一部を、空気の自然対流で冷却しながら貯蔵するもので、冷却に電源を必要としない安全性の高い貯蔵方式です。
なお、使用済燃料の貯蔵容量を増やさない観点から、乾式貯蔵施設に移し替えることで空いた使用済燃料プールのスペースは原則使用しません。
●乾式貯蔵施設で使用するキャスクとは
キャスクは使用済燃料を安全に貯蔵するため、法令等に基づき様々な安全機能(下図参照)を有しており、地震・竜巻・森林火災等に対しても安全機能が維持される設計です。
また、このキャスクは輸送にも使用することから、輸送中に想定される様々なトラブルに対しても安全性が確保された設計となっています。
乾式貯蔵施設設置による放射線量への影響
発電所敷地境界外で受ける放射線量は、原子炉施設本体等からの線量を含めても、日本人が1年間に自然界から受ける放射線量に比べて十分に低く、胸部エックス線1回あたりの線量を下回るレベルです。
発電所の敷地境界外で原子炉施設本体や乾式貯蔵施設から1年間に受ける放射線の量…0.05ミリシーベルトを十分下回る
【参考】日本人が1年間に自然界から受ける放射線の量……… 2.1ミリシーベルト
胸のエックス線集団検診1回あたりの放射線の量…… 0.06ミリシーベルト
当社は、2025年に営業運転開始から40年を迎える高浜3、4号機について、5月29日に原子力規制委員会から運転期間延長の認可をいただき、7月9日に福井県および高浜町から、ご理解をいただきました。今回は、高浜発電所3、4号機の40年以降運転に向けた取組みについてお知らせします。
新規制基準により安全性が確認された原子力発電所は、運転期間延長認可制度に基づき、最大60年運転することができます
福島第一原子力発電所の事故を受け、「運転期間延長認可制度」が定められました。これは、原子力発電所の運転期間は運転開始から原則40年とし、その満了までに国からの認可を受けた場合、1回に限り、最大20年の延長が認められる制度です。
※ 原子炉等規制法が改正され、施行日(2025年6月6日)以降は、原子力発電所の運転を開始した日以降30年から10年以内毎に、設備の劣化に関し技術評価を行い、その結果に基づく長期施設管理計画を策定し、原子力規制委員会から認可を受ける必要があります。
高浜3、4号機の特別点検、設備の劣化状況評価、施設管理方針に基づき、20年間の運転期間の延長認可申請を行い、原子力規制委員会から認可をいただきました
●特別点検
取替えが難しい設備は、通常のメンテナンスに加え特別点検を実施し安全性を確認しています
取替えが難しい「原子炉容器」、「原子炉格納容器」、「コンクリート構造物」については、通常のメンテナンスに加え、設備の状況を詳細に把握するために、詳細な点検(特別点検)を行いました。その結果、いずれの設備にも異常がないことを確認しています。
●劣化状況評価
安全上重要な設備・機器全てについて、部品レベルにまで展開し、60年までの劣化状況を評価しています
高浜3、4号機では、1基あたり約4,200の設備について、部品レベルで想定される経年劣化事象を抽出し、運転開始後60年までの評価を行い、長期的な安全性が確保されることを確認しています。
●施設管理方針
特別点検、劣化状況評価の結果を踏まえ、蒸気発生器の取替え等、延長しようとする期間(20年)に実施すべき施設管理方針をとりまとめました
長期的な信頼性を確保する観点から高浜3、4号機の蒸気発生器の取替えを計画しています
高浜3、4号機は、これまでの定期検査で蒸気発生器伝熱管の損傷等を確認した都度、施栓により健全性を確保してきましたが、長期的な信頼性を確保するという観点から、予防保全対策として蒸気発生器一式を取り替えます。
【蒸気発生器取替えによる主な改良点】
① 伝熱管の材質変更
伝熱管に応力腐食割れ※が発生しにくいことが確認されている材質を採用する等、応力腐食割れの発生リスクの低減を図ります。
※環境、応力、材料の3要因によって発生する割れ
② 振止め金具の改良
振止め金具の組数を増やし、伝熱管に対する耐流動振動性の向上を図ります。
当社は、引き続き、原子力発電所の安全性・信頼性の向上に努め、地元をはじめとする皆さまのご理解を賜りながら、原子力発電を重要な電源として活用してまいります。