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原子力事業本部
かんでんトピックス
今回は、原子力発電所で使用した使用済燃料を再処理することで有効活用する原子燃料サイクルの仕組みと使用済燃料対策ロードマップについてお伝えします。
原子燃料サイクルとは?
原子力発電所では、原子炉内にあるウランの核分裂により発生した熱を利用して水を沸騰させ、蒸気の力で発電機につながるタービンを回して電気をつくります。そして、原子炉内で核分裂を終了したウラン燃料を使用済燃料といいます。使用済燃料の中には、核分裂していないウランや、原子炉内で生まれたプルトニウムが含まれており、約95~97%は再利用できます。これらは再処理して取り出し、燃料としてリサイクルすることができます。ウラン燃料をリサイクルして有効利用する一連の流れを「原子燃料サイクル」といいます。
原子燃料サイクルにはどんなメリットがあるの?
原子燃料サイクルは、資源の有効利用のほか、放射性廃棄物の量を減らしたり、放射性廃棄物が天然ウラン並みの有害度まで低下する期間が短くなるという、3つのメリットがあります。
- ※1 直接処分時のキャニスタを1としたときの相対値を示す。
- ※2 1GWyを発電するために必要な天然ウラン量の潜在的有害度と等しくなる期間を示す。
- 出典:第7回基本政策分科会資料を基に作成
日本国内における原子燃料サイクルの状況は?
日本では、青森県六ヶ所村において原子燃料サイクル事業を進めており、使用済燃料の再処理工場は、2024年度上期のできるだけ早期の竣工に向けて、最終的な安全機能や機器設備の性能を確認しています。
現在、使用済燃料は、各発電所などで保管され、国内に約1.9万トンが存在しています。今後も原子力発電を持続的に活用していくためには、この使用済燃料をどのように処理するかが大きな課題となっています。
使用済燃料対策ロードマップについて
当社は、使用済燃料対策を着実に実施していくため、使用済燃料対策ロードマップを策定しました。その内容についてお伝えします。
- ・六ヶ所再処理工場の2024年度上期の出来るだけ早い時期の竣工に向け、関西電力を中心に、審査・検査に対応する人材を更に確保
- ・2025年度から再処理開始、2026年度から使用済燃料受入れ開始。再処理工場への関西電力の使用済燃料の搬出にあたり、必要量を確保し搬出するよう取り組む
- ・使用済MOX燃料の再処理実証研究のため、2027年度から2029年度にかけて高浜発電所の使用済燃料約200tを仏国オラノ社に搬出さらに実証研究の進捗・状況に応じ、仏国への搬出量の積み増しを検討
- ・中間貯蔵施設の他地点を確保し、2030年頃に操業開始
- ・中間貯蔵施設の操業を開始する2030年頃までの間、六ヶ所再処理工場および仏国オラノ社への搬出により、使用済燃料の貯蔵量の増加を抑制
- ・あらゆる可能性を組み合わせて必要な搬出容量を確保し、着実に発電所が継続して運転できるよう、環境を整備する
- ・本ロードマップの実効性を担保するため、今後、原則として貯蔵容量を増加させない
- ・使用済燃料の中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、さらに搬出までの間、電源を使用せずに安全性の高い方式で保管できるよう、発電所からの将来の搬出に備えて発電所構内に乾式貯蔵施設の設置を検討
当社は、使用済燃料対策ロードマップに基づく取組みを着実に実施し、
安全最優先で原子力発電所の安全・安定運転に全力で取り組んでまいります。