事業所・関連施設

高浜発電所だより

高浜発電所だより 第118号 2017年4月

 高浜町のみなさまには、日頃より発電所の運営にご理解、ご支援をいただき誠にありがとうございます。
 1月に発生させた高浜2号機のクレーン倒壊事故につきましては、みなさまにご心配とご迷惑をおかけし改めてお詫びいたします。4月7日には、安全管理の総点検の結果と再発防止対策を福井県ならびに高浜町へ報告いたしました。今後、報告しました再発防止対策を確実に実施するとともに、原子力プラントの安全管理に万全を期してまいります。
 また、3月28日には、大阪高等裁判所において、高浜3・4号機の再稼動禁止仮処分命令を取り消す決定が出されました。4月25日には、高浜3・4号機の運転再開のための安全性向上対策等について、福井県ならびに高浜町へ報告し、運転を再開することとしました。
 今後、発電所所員と協力会社社員が一丸となり、安全を最優先に、高浜3・4号機の運転再開に向けた準備を着実に進めてまいりますので、みなさまのご理解、ご支援をいただきますようお願いいたします。

高浜3・4号機の再稼動禁止仮処分命令が取り消されました

 3月28日、大阪高等裁判所において、当社の保全抗告申立の主張が全面的に認められ、高浜3・4号機の再稼動禁止仮処分を取り消す決定が出されました。この決定について、住民側は最高裁判所への抗告手続きを取らなかったことから、仮処分の取り消しが確定いたしました。
 昨年3月、大津地方裁判所において、高浜3・4号機の再稼動禁止仮処分が決定されてから、現在まで高浜3・4号機は停止を余儀なくされておりましたが、仮処分の取り消しにより、法的に再稼動が可能となりました。

高浜3・4号機の運転再開に向け安全最優先で進めてまいります

 高浜4号機は、4月28日から燃料集合体を原子炉に入れる作業(燃料装荷)を開始します。
 5月中旬の原子炉起動に向け、安全を最優先に、一歩ずつ慎重に作業を進めてまいります。
 なお、高浜3号機については、5月中旬に燃料装荷を開始し、6月上旬の原子炉起動を予定しております。

運転再開工程(予定)
  4号機 3号機
燃料装荷 4月28日開始 5月中旬
原子炉起動 5月中旬 6月上旬
並列 5月下旬 6月上旬
本格運転 6月中旬 7月上旬

燃料装荷作業の様子(使用済燃料ピットから燃料集合体の取出し)
燃料装荷作業の様子
(使用済燃料ピットから燃料集合体の取出し)

【用語解説】

  • 原子炉起動/原子炉臨界に向けて制御棒の引き抜き作業を開始すること
  • 並列/発電機と送電系統をつなぎ、送電を開始すること
  • 本格運転/原子力規制庁の最終検査(総合負荷性能検査)に合格した後の運転のこと

高浜2号機のクレーン倒壊事故に関する「安全管理の総点検」等を踏まえた再発防止対策について

経緯

 2月8日、高浜2号機のクレーン倒壊事故の原因と対策を取りまとめ、福井県ならびに高浜町をはじめ原子力規制委員会、敦賀労働基準監督署へ報告しました。その後、2月13日から当社の原子力発電所で実施している全ての工事に対して「安全管理の総点検」を実施し、その結果を踏まえた再発防止対策を取りまとめ、4月7日、福井県ならびに高浜町へ報告しました。

点検内容
  • ○安全上重要な機器に対する、安全確保、火災防護、労働災害防止の観点や工事管理体制について、安全管理が適切に行われているかを確認しました。
  • ○安全上重要な機器の近くで行う作業は、計画段階から必要な安全措置が取られているかを確認しました。
点検方法

 当社の原子力発電所(高浜、美浜、大飯)で実施している全ての工事(1,516件)を対象に実施しました。
 また、工事担当者と請負会社が協力して点検を実施するとともに、発電所や原子力事業本部の 管理職といった工事担当者以外の者が再確認を実施しました。

安全管理の総点検の結果
  • ○全ての工事について確認を行った結果、設備の改善、作業手順、連絡体制など295件の改善案件を抽出しました。

<改善例>

設備の改善
・仮設足場の風による影響を小さくするため、資材落下防止のためのシートをよりメッシュの粗いネットへ変更します。

高浜1号機 外部養生の様子
高浜1号機 外部養生の様子

作業手順の再検討
・自然環境が悪化した場合のクレーンの転倒防止対策が工事計画書に明記されていない工事があったため、転倒防止措置を明記するとともに、作業終了時にはクレーンのジブをたたむことを徹底しました。
連絡体制の改善
・自然環境悪化の情報を即時に入手し、対応する体制が整備されていない工事があったため、気象情報を携帯電話等でタイムリーに入手し、安全対策の実施状況を確認する体制を整備しました。
社外有識者からの主なご意見
(原子力安全検証委員会)  
  • ○発電所内では、今までなかった土木工事が年々増えてきており、それに対するリスクについて、一般の方がどのように思っているかに十分留意しながら、その感受性を磨く文化を作っていくことも大事ではないか
  • ○強風を想定したリスク評価をしていなかったことは、過去に発生していない事象に対して想像力が働いていないことであり、東京電力福島第一発電所事故の反省がいかされていない部分があるのではないか
  • ○現場で起きていることについてタイムリーにデータを取り、IT等を利用して分析し、役に立つ情報を現場に伝達するようなシステムを作る等の検討を要望する など
安全管理の総点検結果、社外有識者のご意見を踏まえた再発防止対策
安全対策の実施・確認
○工事の計画段階から、異常気象や工事資機材の転倒による原子力関連設備への影響について検討する
○安全上重要な機器等への影響について所長以下にて議論(リスクレビュー会議)、発電所幹部による現場パトロールの充実を行なう
○当社と請負会社とのコミュニケーションを図り、リスクレビュー会議で確認したリスクの共有を行なう など
安全意識の向上
○社長・幹部からの安全最優先に関する訓示・継続的なメッセージの配信により、安全意識の再徹底を実施する
○毎日の定例会議(所長以下出席)で、実施中の工事の危険性について議論し、改善を行う
○当社社員、請負会社社員(土木建築関係)に対して、工事の危険性に対する意識を高めるための教育を実施する
土木建築関係の工事管理体制の強化
○土木建築関係の大型工事に応じた要員確保と再配置を行う
○土木建築工事を専門知識に基づき統括的に管理する副所長を配置する
○土木建築要員に対する原子力設備の重要性を認識させる教育を実施する
自然環境悪化による連絡体制の強化について
○津波や地震の対応に加え、警報発令時の体制強化を図る
○各警報(暴風、大雨、暴風雪、大雪警報)の発令で警戒準備体制を確立する 

高浜3・4号機の運転再開に向けた取り組みについて

 高浜3・4号機について、当社は、昨年2月に発生させた4号機の管理区域内での水漏れと原子炉自動停止のトラブルの課題を踏まえ、二度と同様のトラブルを発生させないよう、安全最優先で、メーカー・協力会社と共に、一丸となって総点検を実施し、再発防止対策に取り組んでまいりました。

点検内容
【弁全数点検】
○プラント運転に関係する全ての弁について点検を実施し、弁が適正に締め付けられていることを確認しました。
【改造工事等に伴う運用変更箇所の確認】
○改造工事等により設定値を変更したものについて、変更内容が適正であることや正しく設定されていることを設定値変更の検討図書や工事記録より確認しました。
【工事報告書に記載された懸案事項の再確認、作業員への聞き取り】
○メーカおよび協力会社による、過去の工事報告書に記載された懸案事項を再確認するとともに、作業員からの聞き取り等により抽出された気づき事項について処置の検討を実施しました。
○次回点検時以降に計画していた処置を前倒しで実施しました。(抽出結果:25件)

処置事例:電動弁駆動部のガスケットの取替え
処置事例:電動弁駆動部のガスケットの取替え

 以上の点検を、昨年3月から開始し、現在は、原子炉起動までに実施すべき点検をすべて完了しています。
 今後、原子炉起動時から本格運転(定期検査終了)までの間、従来から実施している当社と協力会社によるパトロールに加え、管理職、運転員、保修課員、当社OB、メーカー、協力会社により編成したチームにより現場の一斉パトロールなどを行い、トラブル防止に努めてまいります。

高浜1・2号機の安全対策工事について
Q&A

内浦大橋から見た山肌写真
内浦大橋から見た山肌写真

Q.内浦大橋から見える山肌を削っている工事は何か。

A

1・2号機の背面側へアクセスする道路を作っています。
 現在、西側から1・2号機の背面側へアクセスする道路がありますが、新規制基準により、2つのアクセス道路を作る必要があり、東側から通行出来る道路を作っています。
 これにより、発電所における事故発生時の初動対応等における、人員や重機などの輸送をより確実に行うことができます。

今後、安全を何よりも優先することを再徹底するとともに、安全確保の第一義的責任は当社にあることを肝に銘じ、請負会社と共に、工事を安全に実施することに努め、原子力の信頼回復を図ってまいります。

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