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大飯発電所
おおい町の語り部たち
子供山の口 |
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夜明け前に山へ登り、遙拝する子供たち |
定例日には多少に違いがありますが、春と冬の山の入りの日を祝うために、山の神を祭り、その御守護を祈る「山の口」という行事が、大飯の各地に残っています。この山の口行事は、大人の祭事であるのに、珍しく子供たちだけで行われているのが、野尻の「子供山の口」です。 参加者は野尻の中の字式野の子供たちで、小学~中学の男子だけ。12月9日と1月9日、ともに午前4時ごろから開始されます。子供の年長者の家が講元となり、小鯛、青竹、しめ縄などの品々を持って、定刻に出発。昔は松名の火を使いましたが、今は懐中電灯の明かりを頼りに歩きます。山に入る道中、年長者が「おー」というと、他の者が「とんこさん」と答え、これを繰り返します。 山には、上の森、中の森、下の森の3つの遙拝所があり、子供たちは一番上の森の遙拝所まで登り、タモノキの葉を敷いた3つの石の上に小鯛、白餅、甘酒をお供えし、その後方に青竹を6本立てて、直線にしめ縄を張る。ここで山を背にして遙拝します。次に中の森でも、同じように遙拝して焚き火を燃やします。そして下の森でも同じように遙拝して焚き火をし、白餅を焼いて、一人2個食べます。これが終わる頃にはようやく辺りも白み始め、山を降りて午前6時頃には講元の家に帰り朝食をごちそうになります。 | |
「私たちの時代は、学生服のままで登りました。もっと昔は裸になったそうですよ。大雪の日は、学校を休んで、講元の家で長く遊んだこともありましたねえ」と荒木孝男さんは、懐かしそうに振り返ります。ちなみに講元をした子供は、その年から仲間を退く決まりになっています。 ところで、「おー」「とんこさん」とは何のための掛け声でしようか。この行事に詳しい木村政一さんによると、昔は「おー」「とんがさん」と言ったそうで、掛け声を掛けると、白い鳥が渡ったそうです。白い鳥は吉兆(きっちょう)の意味でしょう。また、「ふんどしかかずの山の口」が、本当の講の名称だったそうです。ふんどしかかずとは、ふんどしをしていない者。つまり子供のことですが、何とも大らかな響きです。 |
![]() 未明の山に登って遙拝する子供たち。 本来は子供だけで登りますが、最近は 人数が少なくなったため、当番の家の 親が付き添います。 |
![]() 3つの石の上にお供えするものは、 甘酒、白餅、小鯛3匹。 |
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子供の頃、楽しかったですよ。 昨年、親として 付き添いました。 |
昨年、講元の親となり、子供を連れて一緒に山の口にいきましたが、私自身、子供の頃は9年間、山の口に参加しました。火を焚いてわいわい騒ぎ、講元の家でごちそうになり、ほんの少し御神酒もいただき、とても楽しかった記憶があります。近年子供の数が減っていますが、これからも続けていってほしいですね。 | |
浦松 清孝(せいこう) さん | |||
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