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街の灯(あかり)物語り

あかり――それはそこに暮らしがある証
さまざまな心模様が描かれ物語が紡がれている証
迎えてくれるあかり 見送ってくれるあかり そして見守ってくれるあかり
街それぞれにあかりがあり 人それぞれに心に残るあかりがある
その一つの物語

ライティングをして初めて和紙が呼吸を始める-

堀木 エリ子 (和紙アーティスト)

和紙・光景・インスピレーション
ほの暗い空間に、和紙を通して光の世界が広がる。柔らかな空気感が漂い、温かな気配が伝わってくる。ていねいに漉きき上げた生成りの和紙、銀箔やクリスタルを漉き込んだ和紙、色や柄(がら)を何層にも漉き重ねた和紙……あかりの魅力や美しさは、陰影、光と影の関係に潜む。デザイン作業や紙を漉く時にライトの効果を考え、漉き込んだ素材の陰影や色が、あるときは優しく、あるときはダイナミックに、浮かび上がるよう工夫する。原点は日本の障子の美しさ。秋の陽射し(ひざし)が障子に長い影を落とす。空が晴れたり曇ったりすると影が濃くなり薄くなり、ときには紅葉の赤が映り込んだり、月の光や、雪のちらつく影も映る。それを古くから日本人は情緒・情感と感じてきた。空間に情緒あふれる表情をつくり、時の流れや季節の移ろいまでも見せてしまうのが「和紙」。その移ろいを自然光のないところでも表現したい。それが私の「あかり」との出会いだった。和紙は均一に薄く漉き上げることができるため、デザインの異なる層を漉き重ねてライティングによる表現変化を楽しめる。室内でなく屋外、それも都市環境の中でいつか和紙を使いたい。そんな私の夢が、八年前、「キャンパスプラザ京都」で実を結んだ。七色の光のプリズムをイメージし、百五十三枚の和紙を漉き上げ、合わせ硝子の手法と無反射加工により、和紙の風合いそのままの「外壁(=街のあかり)」をつくる。もちろん手漉きだから一枚一枚微妙にニュアンスが異なり、光をあてると優しい色が踊り出し、古都の夜に光の気配を醸し出す。嬉しいことにあかりの世界は日々進化している。和紙という伝統文化と、光ファイバーやLED(エルイーディー)など最先端の照明技術とのコラボレーションにより、地球にも人にも優しいあかりの可能性は無限に広がっていく。

ほりき えりこ プロフィール

和紙アーティスト1962年京都府生まれ。高校卒業後、銀行勤務を経て、手漉き和紙と出逢う。87年SHIMUS 設立。2000年堀木エリ子&アソシエイツ設立。「建築空間における和紙造形の創造」をテーマに、光壁(こうへき)やタピストリーなどダイナミックな和紙作品を制作。近年の作品に「東京ミッドタウン・ガレリア」「そごう心斎橋本店」のアートワークなど。著書『和紙のある空間(くうかん)─堀木エリ子作品集』など。
http://www.eriko-horiki.com/

 

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