プレスリリース

2010年4月9日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

 当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成22年4月8日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中
2号機 50.0万 運転中
3号機 82.6万 第24回 定期検査中
H21年12月13日〜H22年4月中旬予定
(調整運転中)
 
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 第19回 定期検査中
H22年2月4日〜H22年6月上旬予定
  • ○蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査における有意な信号指示の原因と対策について
    詳細は2(1)のとおり
    平成22年3月16日23日お知らせ済み】
大 飯
発電所
1号機 117.5万 停止中
H22年2月6日  1次冷却材中の放射能濃度の上昇のため停止
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 第13回 定期検査中
H22年2月7日〜H22年6月下旬予定
 

2.トラブル等情報について

(1)法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
発電所名  高浜発電所4号機 発 生 日 平成22年3月16日
件  名 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査における有意な信号指示の原因と対策について     (添付図1)
事象概要
および
対 策 等

 平成22年2月4日から実施している第19回定期検査において、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数*1について渦流探傷検査(ECT)*2を行った結果、C−SGの伝熱管1本の高温側管板*3部に、有意な信号指示が認められました。なお、A,B−SGの伝熱管については、有意な信号指示は認められませんでした。
 本事象による環境への放射能の影響はありません。

1.原因調査
 伝熱管1本の高温側管板部で有意な信号指示が認められた原因を調査するため、過去の調査結果や、運転履歴の調査を実施しました。

(1)過去の調査結果との比較

  • ・高浜4号機では、第11回定期検査(平成11年)において、高温側管板拡管部で有意な信号指示が確認され、抜管調査の結果、ローラ拡管*4上端部付近の伝熱管内面で軸方向に沿った割れが認められました。原因は、管内面での引張り残留応力と運転時の内圧とが相まって生じた応力腐食割れであると推定しました。
  • ・その後、当該部の応力腐食割れの発生を予防するため、第13回定期検査(平成14年)でSG伝熱管の高温側管板拡管部内面にショットピーニング*5を施工し、伝熱管内表面の残留応力を改善しました。
  • ・今回の有意な信号指示は、1高温側管板部のローラ拡管上端部付近であり、2伝熱管の軸方向に沿った内面傷を示す指示であるなど、過去に同機で検出された信号と類似の特徴が認められました。

(2)ショットピーニングの効果

  • ・ショットピーニングでは、伝熱管内表面近傍(深さ約0.2mm)で引張り残留応力が緩和されますが、これより深い部分では、効果が小さいことが知られています。
  • ・このため、ショットピーニング施工時に、深さ0.2mm以上の、当時使用していたECTで検出されない微小な傷(約0.5mm未満)が既に発生していた場合、時間の経過とともに傷が進展する可能性があると推定しました。

(3)運転履歴調査

  •  運転開始以降、今定期検査開始に至るまでの期間について、1次冷却材の主要パラメータである温度、圧力、水質について調査を行った結果、過大な応力を発生させる温度、圧力の変化はなく、水質も基準値の範囲内で安定していたことを確認しました。

2.推定原因

  •  有意な信号指示が認められた原因は、過去の調査結果等から、SG製作時に当該伝熱管を管板部で拡管する際、管内面で引張り残留応力が発生し、これが運転時の内圧と相まって、伝熱管内面で応力腐食割れが発生し、今回検出されたものと推定しました。

3.対 策

  •  有意な信号指示が認められた伝熱管1本については、高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします
  • *1 伝熱管全数:既施栓管を除きA−SGで3,247本、B−SGで3,249本、C−SGで3,261本、合計9,757本。
  • *2 渦流探傷検査(ECT):高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥に起こった渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。
  • *3 高温側管板:蒸気発生器内の伝熱管が取り付けられている部品。伝熱管と管板で、1次冷却材と給水(2次冷却水)の圧力障壁となる。
  • *4 ローラ拡管:伝熱管内部に機械式ローラを通すことで伝熱管を押し広げて、伝熱管と管板を接合させる工程。
  • *5 ショットピーニング:伝熱管内面に小さな金属球を高速で叩き付けることにより、伝熱管内面の引張り残留応力を圧縮応力に改善する工事。
(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−

INES:国際原子力事象評価尺度

以 上

平成22年3月16日23日 お知らせ済み]

発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 平成22年3月19日
件  名 化学体積制御系統の空気抜き配管溶接部からの漏えいに係る原因と対策について
(添付図2)
事象概要
および
対 策 等

 定格熱出力一定運転中の平成22年3月19日12時頃に、中央制御室で監視カメラによる原子炉格納容器内の確認を行っていた運転員が、化学体積制御系統*1の再生熱交換器*2室内で水の滴下(4滴/分)を確認しました。
 運転パラメータや格納容器内の放射線モニタ等に異常は認められませんでしたが、漏れ箇所の特定や詳細な点検調査を行うため、同日14時に出力降下を開始し、21時00分に発電を停止し、21時55分に原子炉を停止しました。
 原子炉停止後、室内の状況を確認したところ、原子炉冷却系統への充てん水が流れる配管(充てん配管)に設置されている空気抜き配管*3と管台(異径管)との溶接部にほう酸の析出*4が認められ、浸透探傷試験*5で、周方向の指示模様(長さ約2.6cm)を確認しました。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。

1.調査結果
(1)破面観察等の調査

  • ・当該配管を切断し浸透探傷試験を行った結果、配管外面の指示模様が認められた部分の内面の管台との溶接部境界(溶接止端部)に沿う周方向で、同様の指示模様(長さ約1.5cm)を確認しました。
  • ・断面観察を行った結果、き裂は溶接止端部から溶接金属内を直線的に進み外面に達していました。
  • ・破面観察の結果、破面は2つの様相を呈していました。内面側は複数のき裂の起点と接触が顕著な範囲が確認され、その外側に、外面に向かってき裂が広がり、疲労割れの特徴であるビーチマーク模様*6を確認しました。
  • ・配管等の材質に問題はなく、放射線透過試験*7の結果、溶接欠陥は認められませんでした。

(2)振動計測

  • ・当該配管の固有振動数*8を計測したところ、充てん配管の流れに直交する方向で22.0Hzであることがわかりました。

(3)点検・補修履歴の調査

  • ・小口径配管の振動による損傷事例を踏まえ、その未然防止を図るため、平成11年に小口径配管管理マニュアルを定め、振動評価を実施してきました。
  • ・当該配管では、第18回(平成11年)および第20回定期検査(平成14年)において振動評価を行い、固有振動数は23.5Hzで、当該溶接部に働く応力は疲労限(疲労割れを起こす応力)より低いことを確認していました。
  • ・その後、第22回定期検査(平成17年)において、当該配管の空気抜き弁のハンドルを、バーハンドル(重量 約0.35kg)から丸ハンドル(重量 約2.5kg)に取替えましたが、振動評価は行っていませんでした。
  • ・前回の第25回定期検査(平成21年)において、管理マニュアルに基づき、当該溶接部の浸透探傷試験を行い、指示模様がないことを確認しました。

(4)疲労割れに関する調査

  • ・当該配管は充てんポンプの下流側にあることから、ポンプ運転に伴う充てん水の圧力脈動(振動)の影響を調査したところ、定期検査中の試運転や検査時に行われるポンプ100%流量運転時の振動(21.8Hz)と、当該配管の固有振動数(22.0Hz)がほぼ一致していることから、当該配管が共振し、当該配管と管台の溶接部に疲労限*9を超える繰り返しの振動応力が加わっていたと推定しました。
  • ・一旦、疲労割れが発生すると、プラント通常運転中のポンプ振動(80%流量運転)により、緩やかに進展すると推定しました。

2.推定原因

  • ・平成17年の第22回定期検査で、空気抜き弁のハンドルを取替えたことにより、当該配管の固有振動数が、充てんポンプの試運転や検査時の振動数とほぼ一致し、配管が共振したことで、当該配管と管台の溶接部に疲労限を超える応力が働きました。
  • ・この応力の繰り返しにより疲労が蓄積し、前回定期検査時の試運転もしくは検査中に、配管内面に疲労割れが発生し、その後のプラント運転中に進展し、漏えいに至ったものと推定しました。

3.対 策

  • ・当該配管について、充てんポンプの振動との共振を回避するため、弁ハンドルをバーハンドルに戻すとともに、剛性を高めた改良型管台に変更しました。
  • ・振動により疲労割れの発生が懸念される小口径配管について、至近の振動計測以降に弁ハンドル取替え等の改造が行われていないことを現場で確認しました。

 なお、これまで小口径配管で振動による損傷を経験してきているにもかかわらず、今回、同様な事象を発生させたことは、過去の事例を十分に活かせていなかったものと反省し、再度、全保修課員に対し、振動管理の重要性を教育するとともに、小口径配管の改造工事を行う場合は、軽微なものも含めすべての工事について振動評価を行うよう管理マニュアルに明記します。

  • *1 化学体積制御系統:原子炉冷却系統から1次冷却材の一部を抽出し浄化した後、保有水量やほう素濃度等を調整して、原子炉冷却系統に1次冷却材を充てんする系統。
  • *2 再生熱交換器:原子炉冷却系統から化学体積制御系統への抽出水と、原子炉冷却系統への充てん水との間で熱交換を行うことにより、充てん水を加熱し、原子炉冷却系統への熱影響を緩和する。
  • *3 空気抜き配管:空気抜き配管は、原子炉冷却系統への充てん水が流れる配管(充てん配管)の水張り時に、配管内の空気を抜くために設置されているもので、充てん配管の管台(異径管)に溶接されている。
  • *4 析出:1次冷却材が漏れ出して、1次冷却材に含まれるほう酸が結晶化している状態。
  • *5 浸透探傷試験:染料の入った液(浸透液)を傷に浸透させた後、余分な浸透液を除去し、現像剤により浸透指示模様として観察する方法。
  • *6 ビーチマーク模様:疲労破面に観察される特徴的な破面模様の1つで、砂浜に残る波跡に似た縞模様。
  • *7 放射線透過試験:試験対象物を透過する放射線を利用して、試験対象物の内部構造等(内部欠陥の有無等)を画像化することにより、試験対象物の内部構造等を確認する手法。
  • *8 固有振動数:配管の重量、長さ等により配管それぞれが持つ固有の振動数。
  • *9 疲労限:ある一定の応力を繰り返し負荷しても破断しないことが確認された応力範囲の最大値。
(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−

INES:国際原子力事象評価尺度

平成22年3月19日23日4月2日お知らせ済み]

 4月5日に、当該配管を取替え、漏えい確認および振動計測を行い異常が認められなかったため、4月6日17時10分に原子炉を起動し、同日17時53分に臨界、7日11時40分に発電を再開、9日4時10分に定格熱出力一定運転に復帰しました。


(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 平成22年2月1日
件  名 燃料集合体漏えいに係る調査状況について     (添付図3)
事象概要
および
対 策 等

 定格熱出力一定運転中の平成22年2月1日、1次冷却材中のよう素(I−131)濃度および希ガス濃度(Xe−133)が、前回(1月29日)の測定値を上回ることが確認されたため、燃料集合体から漏えい*1が発生した疑いがあると判断し、1次系冷却材中の放射能濃度の測定頻度を上げて監視を強化しました。
 1次系冷却材中のよう素濃度は、保安規定で定めている運転上の制限値(63,000 Bq/cm3)に比べて十分低かったものの、漏えい燃料の特定調査をするため、2月5日に出力降下を開始し、翌6日1時に発電を停止した後、同日1時47分に原子炉を停止しました。
 原子炉停止後に原子炉容器の上部ふたを開放し、原子炉に装荷されていた燃料集合体 (193体)を使用済燃料ピットに取り出す作業を行い、3月18日から漏えい燃料を特定するためシッピング検査*2を実施しました。
 23日14時時点で、全数(193体)のうち154体まで検査を終えた段階で、2体の燃料集合体に漏えいを確認しました。引き続き、残りの燃料集合体のシッピング検査を行う予定です。
 漏えいを確認した2体については、今後、外観検査を行った後、超音波*3およびファイバースコープにより漏えい燃料棒の調査を行います。

  • *1 燃料集合体から漏えい:燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素や希ガスが1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素や希ガス濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。
  • *2 シッピング検査:燃料集合体から漏れ出てくる核分裂生成物(Xe-133、I-131等)の量を確認し、漏えい燃料集合体かどうか判断する。
  • *3 漏えい燃料棒の内部に水が存在すると、燃料被覆管を伝播する超音波が減衰することから、これを検出することで、漏えい燃料棒を特定する。

平成22年2月1日5日3月23日 お知らせ済み]

以 上

発電所名  高浜発電所2号機 発 生 日 平成22年3月8日
件  名 補助建屋排気筒ガスモニタの一時的な指示値の上昇に係る調査状況について
事象概要
および
対 策 等

 定格熱出力一定運転中の平成22年3月8日、1時00分よりガス分析器による体積制御タンク*1の放射性ガスの定例分析を実施したところ、1時13分に補助建屋排気筒ガスモニタ*2の注意警報が発信し、当該モニタの指示値が最大809cpm(13.5cps)*3に上昇しました。
 このため体積制御タンクとガス分析器の間の弁を閉じ、モニタ指示値は1時22分に通常レベル[約700cpm(約11.7cps)]に戻りました。
 同時間帯に、当該分析系統が設置されたフロアの空気中の放射能を測定しているモニタ(仮設)も上昇していたことから、今回の分析操作に伴い、放射性ガスが室内に漏れ、補助建屋換気空調系統を通じて補助建屋排気筒から排出されたものと推定されたことから、放射性ガスが漏れた原因について調査を行うこととしました。
 今回、補助建屋排気筒から放出された放射性気体廃棄物の放射能量は、約2.8×10Bqで、保安規定に基づく放出管理目標値(3.3×1015Bq/年)の約1,100万分の1以下でした*4
 また、発電所敷地内および周辺のモニタリングポストの指示値にも有意な変化は認められず、周辺環境等への影響はありませんでした。

1.これまでの調査状況
 今回の体積制御タンク分析操作の際に使用した系統の機器および配管について漏えい検査を行ったところ、ガス分析器*5にガスを送り込んでいるポンプ(サンプラポンプ)2台のうち、今回使用していたNo.2ポンプで漏えいが認められました。このため、当該ポンプについて分解点検を行ったところ、ダイヤフラム*6に変形とひび割れ(最大17.5mm)が確認されました。このため、当該ダイヤフラムについて詳細検査を実施したところ、ひび割れの中央部に貫通孔(ピンホール)を確認しました。
 今後、ダイヤフラムが損傷した原因を調査します。
 なお、当該ポンプ以外の機器および配管については、漏えいにつながる異常は認められませんでした。

  • *1 体積制御タンク:化学体積制御系統の設備で、原子炉容器や配管内の1次冷却材の量を調整するためのタンク。
  • *2 補助建屋排気筒ガスモニタ:運転に伴って発生する気体放射性廃棄物(希ガス)を監視するモニタ。
  • *3 cpm:cpmは1分間に、cpsは1秒間に測った放射線の数を表す単位。
  • *4 高浜2号機の放射性気体廃棄物(希ガス)の年度放出実績は、平成18年度は6.3×10Bq、平成19年度は9.5×10Bq、平成20年度は3.2×10Bq。
  • *5 ガス分析器:ガス減衰タンクなどの、1次系タンクの放射性ガスに含まれる酸素および水素の濃度を測定する装置。
  • *6 ダイヤフラム:ガスを吸込・吐出する際にガスと外気を隔てているゴム製の隔膜。

平成22年3月8日23日お知らせ済み]

 原因と対策については、本日発表の「高浜発電所2号機補助建屋排気筒ガスモニタの一時的な指示値の上昇に係る原因と対策について」を参照下さい。

(3)保全品質情報等

なし

以 上

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