プレスリリース
2008
2008年6月5日
関西電力株式会社
高浜発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
高浜発電所2号機 第24回定期検査の概要
1. | 主要な工事等について |
(1)原子炉容器周辺遮へい体設置工事 | (図−1参照) |
原子炉運転中に機器の点検で立ち入る原子炉格納容器周辺建屋屋上の放射線量を低減させるため、原子炉容器の上部に遮へい体を追加設置しました。 |
(2)耐震裕度向上工事 | (図−2参照) |
既設設備の耐震性を一層向上させるため、内部スプレイクーラ2台の支持構造物を強化しました。 |
2. | 保全対策について |
(1)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る点検 | (図−3参照) |
国内外PWRプラントでの応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されているB−蒸気発生器の入口管台について超音波探傷検査を実施するとともに、3台ある蒸気発生器の入口管台について渦流探傷試験を追加で実施しました。
その結果、全ての蒸気発生器の入口管台で応力腐食割れによる傷が認められたことから、補修工事を実施しました。 |
(2)2次系配管の点検等 | (図−4参照) |
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美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、2次系配管1,147箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行った結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。(超音波検査1,134箇所※1、内面目視点検4箇所・内面目視点検および超音波検査9箇所※2) | |||||
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今定期検査開始時には158箇所の配管取替を計画していましたが、配管取替時の作業性を考慮し2箇所を追加して、合計160箇所の配管を取り替えました。 |
3. 定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象 | (図−5参照) |
(1)制御棒クラスタ動作検査時の制御棒の動作不良 |
今定期検査中の平成19年10月1日、制御棒クラスタ動作検査で制御棒クラスタ1本が動作不良のため、ほぼ全引抜き位置にあることを確認しました。その後、当該制御棒クラスタに対し、手動で挿入および引抜き操作を繰り返し行った結果、全挿入位置まで挿入されました。
調査のため、原子炉容器上部ふたを開放して、当該制御棒や制御棒クラスタ案内管等を点検した結果、案内管下部のCチューブで筋状模様が確認され、当該案内管や原子炉容器内で微小な金属片等の異物が発見されました。発見された一部の異物は、今定期検査でコンクリート壁に埋め込まれたボルトを切断した際の切粉と推定されました。また、実機を模擬した装置で再現試験を行った結果、制御棒クラスタとCチューブとの隙間に金属片が挟まると制御棒の動きが拘束されることが確認されました。 これらのことより、切粉が当該制御棒クラスタとCチューブの間に挟まり、動作不良を起こしたものと推定しました。 対策として、当該案内管を、現在使用していない案内管に、当該制御棒クラスタを新品に取り替えました。 また、原子炉起動前、および調整運転開始前に動作確認を行います。 |
(2)B、C−蒸気発生器入口管台溶接部での傷 | (図−6参照) |
他プラントにおいて蒸気発生器入口管台溶接部(600系ニッケル基合金使用)で傷が確認された事象を踏まえ、3台ある蒸気発生器の入口管台の溶接部の渦流探傷試験を追加で実施したところ、AおよびB、C号機の入口管台溶接部で有意な信号指示が9箇所で認められました。有意な信号指示が認められた箇所について、超音波探傷試験を実施し、傷の深さを確認したところ、最大深さが約8mmと評価されました。
詳細調査の結果、応力腐食割れに特有の結晶粒界に沿った割れが認められ、引張り残留応力が生じる切削加工跡が確認されたことから、当該部で応力腐食割れが発生・進展したものと推定されました。 対策として、傷を切削除去した後、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接を行いました。 |
4. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) |
蒸気発生器3台のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本)について、渦流探傷検査を実施し異常のないことを確認しました。 |
5. | 燃料集合体の検査結果 |
燃料集合体の外観検査(10体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
また、燃料集合体全数157体のうち73体(うち36体は新燃料集合体)を取り替えました。 |
6. | 次回定期検査の予定 |
平成20年度冬頃 |
以 上