プレスリリース

2005年9月22日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1. 運転状況について(平成17年9月21日現在)
発電所 電気出力(kW) 運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第21回 定期検査中(H17.4.25~9月下旬予定)
(約50%出力で調整運転中)
原子炉起動H17.8.23、調整運転開始H17.8.25
H17.9.17~電気出力約50%
(B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れによる)
・「B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れに伴う出力降下について」詳細は2-(1)のとおり。
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止。(引き続き、
H16.8.14~ 第21回定期検査)
H17.1.5~ 定期検査作業中。
・「補助蒸気管サポートの損傷について」詳細は2-(1)のとおり。
・「2次系純水系統におけるトリチウム検出について」詳細は2-(1)のとおり。
・「格納容器排気ダクト等の損傷について」詳細は2-(2)のとおり。
・「安全注入ラインの通水試験中における系統水漏えいに伴う作業員への水の付着について」詳細は3のとおり。
高 浜
発電所
1号機 82.6万 第23回 定期検査中(H17.8.14~10月下旬予定) ・「タービンバイパス弁構成部品等の脱落について」詳細は2-(2)のとおり。
・「取水路清掃作業中の労働災害について」詳細は4のとおり。
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中 ・「可動小型中性子束検出器の所在不明について」詳細は2-(1)のとおり。
4号機 87.0万 運転中 ・「B-非常用ディーゼル発電機の起動試験中における自動停止について」詳細は2-(2)のとおり。
大 飯
発電所
(※)
1号機 117.5万 第20回 定期検査中(H17.9.20~H18.1月上旬予定) ・「B-余熱除去ポンプシール水クーラー空気抜き作業中における漏えいについて」詳細は2-(2)のとおり。
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 運転中
H17.9.15~9.18計画的に電気出力を約60%に抑制し、取水
口B-ロータリースクリーン補修作業を実施。
 
4号機 118.0万 運転中   

大飯発電所は、昭和54年3月27日に1号機が営業運転を開始して以来、平成17年9月17日で総発電電力量6,000億kWhを達成しました。


2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象 
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月17日)
件  名 B-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管からの蒸気漏れに伴う出力降下について (添付図-1参照
事象概要
および
対 策 等
 定期検査の調整運転中(電気出力約100%)の9月17日10時10分頃、当社運転員が、巡回点検において、タービン建屋2階にあるB-湿分分離加熱器加熱蒸気ドレン管に取り付けられている温度計の管台溶接部から、わずかな蒸気漏れを確認しました。
このため、同日13時20分から出力降下を開始し、15時55分頃に電気出力を約50%とし、当該湿分分離加熱器への加熱蒸気系統を隔離して、点検・補修を行うこととしました。
 なお、本事象における周辺環境への放射能の影響はありません。

    ※ : 湿分分離加熱蒸気ドレン管
      分離加熱器は、高圧タービンから低圧タービンに流れる蒸気の効率(湿分除去と加熱)を高めるため、蒸気発生器で発生した主蒸気により加熱する機器。加熱蒸気ドレン管は、この加熱用に使用した主蒸気のドレンを湿分分離加熱器ドレンタンクに送る配管。

(平成17年9月17日お知らせ済み)

 現在、蒸気漏れの原因について調査を実施しています。


発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中(9月16日)
件  名 補助蒸気配管サポートの損傷について (添付図-2参照
事象概要
および
対 策 等
 補助蒸気配管取替工事※1の準備作業として、9月12日から原子炉補助建屋・中間建屋への補助蒸気供給を停止し、隔離弁(2台)の取付作業を行っていましたが、隔離弁取付作業完了後の、9月16日15時47分頃から、原子炉補助建屋・中間建屋への補助蒸気供給元弁をわずかに開放して、補助蒸気供給を再開したところ、16時07分頃、タービン建屋1階を通行中の当社社員が大きな音を確認しました。
 このため、直ちに補助蒸気供給元弁を閉止したところ音は徐々に収まったことから、補助蒸気通気に伴うウォーターハンマー※2であると判断しました。その後、16時30分に、当該供給元弁よりも上流側にある1,2号機からの補助蒸気供給弁を閉止したところ、17時頃にハンマリング音は収束しました。
 なお、念のため、ハンマリング音を確認した直後に、ページング放送にてタービン建屋への立入制限を行ないましたが、現場の安全性を確認したうえで、17時30分に現場立入制限を解除しました。
 その後、ハンマリング音が確認された範囲(タービン建屋1,2階面)の補助蒸気配管を点検した結果、補助蒸気配管のサポート2箇所が損傷(折損:1箇所、曲がり:1箇所)し、保温材3箇所の外れ等が確認されました。なお、同範囲の溶接部52箇所について浸透探傷検査を行ったところ、異常は認められませんでした。

    ※1 : 補助蒸気配管取替工事
      美浜3号機事故の再発防止対策として、人のアクセスする可能性のある配管(曲がり部等)をステンレス配管に取り替える工事。【平成17年8月29日お知らせ済】
    ※2 : ウォーターハンマー(水撃現象)
      高温の蒸気が液体と接触し急激に冷やされると、蒸気が水に戻され急激な体積収縮が生じ、大きなエネルギーを持つ圧力波が伝播される現象。

(平成17年9月20日お知らせ済み)

 現在、補助蒸気配管でのウォーターハンマーの発生原因等について調査を実施しています。


発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中(8月23日)
件  名 2次系純水系統におけるトリチウム検出について (添付図-3参照
事象概要
および
対 策 等
 8月23日、管理区域内(補助建屋)ホット化学室で、2次系純水※1の放射能濃度を測定したところ、通常は検出限界値未満であるトリチウム※2が微量検出(約7.87×10Bq/cm3)されました。その後、調査を行った結果、中間建屋や管理区域内(補助建屋)の系統に供給している水およびA,B-ディーゼル発電機のシリンダ冷却水(2次系純水)、B-ディーゼル発電機室のサンプ水からもトリチウムが検出されました。このサンプ水は、構内排水処理装置で処理され1,2号機放水口から放出されており、微量のトリチウムを含む2次系純水が、一時的に管理されずに放水口から放出された可能性があると推定されました。

    ※1 : 2次系純水
      1次系および2次系の機器で使用する水(放射能を含まない)。
    ※2 : トリチウム
      陽子1個、中性子2個の原子核からなる水素の放射性同位体(半減期は約12年)で、原子炉内では、核分裂、冷却水中の重水素の中性子吸収、制御材であるホウ素(ボロン)の中性子反応などによって生成され、1次冷却水中に含まれている。宇宙線などによっても生成されることから、自然界(水中)にもわずかであるが存在する。

 
  検出された2次系純水のトリチウムの濃度等から、原因として1次系純水が2次系純水系統に混入した可能性があると推測されたため、1次系純水系統と2次系純水系統とを接続している配管や、仮設ホースを用いた作業実績(7月1日~8月23日)について調査を行いました。
  調査の結果、1次系冷却材ポンプの封水注入配管の洗浄作業時において、1次系純水と2次系純水を仮設ホースにより同時に使用した際、封水注入流量調整弁の開度が不十分であったことから、1次系純水が2次系純水系統に流れ込み、2次系純水系統の広い範囲にトリチウムが拡散したものと推定されました。
 2次系純水へのトリチウム混入時期が8月11日の作業によるものと推定されたことから、すでに判明している非常用ディーゼル発電機室サンプから、構内排水処理装置を経て、海水中に放出されたトリチウム量を再評価した結果、約1×10Bqと評価されました。(8月24日時点では約1×10Bqと評価)  
  また、今回の調査の過程で、8月11日以降に、トリチウムが混入した状態の2次系純水により廃棄物処理設備排水モニタの洗浄を行い、2次系純水が海水へ放出されたことがわかりました。同モニタの洗浄により放出されたトリチウム量は、約1.2×10Bqと評価されました。
 以上より、今回の事象により管理されずに海水中に放出されたトリチウム量は、合計で約1.3×10Bqであり、年間放出管理基準値(1.2×1014Bq)の約10万分の1と十分低く、周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
  対策として、1次系機器の洗浄作業においては、1次系純水と2次系純水を同時に使用しないことを社内のマニュアルに定めると共に、今回の事例について、社員と協力会社に対し周知徹底を行います。
  また、トリチウムが混入した2次系純水は、回収して管理区域内で処理を行い、汚染の可能性のある系統は、全て洗浄します。

(平成17年8月24日9月6日お知らせ済み)

 現在、トリチウムが混入した2次系純水系統の洗浄作業を実施しています。


発電所名  高浜発電所3号機 発 生 日 第16回定期検査中(6月24日)
件  名 可動小型中性子束検出器の所在不明について 
事象概要
および
対 策 等
 6月24日、3号機用可動小型中性子束検出器(核燃料物質)について法令に基づく実在庫確認(年1回)を実施したところ、検出器1個が所定の保管庫(鍵付きロッカー)に保管されていないことが判明しました。

 このため、管理区域内を調査しましたが、当該検出器は発見できませんでした。
混入した可能性の高い平成17年4月以降の廃棄物を調査しましたが発見できず、その後前回の実在庫確認(平成16年7月)以降に発生した廃棄物(ドラム缶)について調査を実施しましたが、当該検出器の発見に至っていません。

 所在不明に至った原因調査の結果、核燃料物質としての管理が不十分であったことが確認されたことから、マニュアルを見直し核燃料物質の管理の強化を図るとともに、関係者に核燃料物質の管理の重要性を周知徹底しました。

 その後、平成16年7月以降に発生した廃棄物の調査を継続して行っています。
なお、調査のため原子炉起動を一時延期していましたが、7月16日に原子炉を起動し、翌17日から調整運転を開始し、8月11日には本格運転を再開しました。

(平成17年6月24日27日7月7日14日15日22日8月11日 お知らせ済み)

 その後、引き続き平成16年7月以降に発生した廃棄物の調査を行ってきました。9月20日で廃棄物ドラム缶805本全ての調査を終了しましたが、発見には至りませんでした。
 現在、今後の対応について検討を行っています。


(2) (1)に至らない軽微な事象
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中(8月5日)
件  名 格納容器排気ダクト等の損傷について  (添付図-4参照) 
事象概要
および
対 策 等
 8月3日から補助建屋・格納容器空調ダクト等の点検を実施していたところ、A格納容器排気ファン出口の風量検出器取出部がダクトから外れていることを確認しました。また、その他に補助建屋排気ダクト溶接部の割れなどが、放射線管理建屋内で6箇所認められました。
 補助建屋排気ダクト溶接部の割れなどが認められた6箇所については、ステンレステープによる養生等、応急補修を行いました。
 今後、補修方法を検討したうえで、対策を実施する予定です。
 今回、認められた損傷箇所は、いずれも放射線管理建屋内であり、施設外へ放射能の放出はなく、環境への影響はありません。

(平成17年8月23日お知らせ済み)

 現在、損傷の原因について調査を実施しています。


発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 第23回定期検査中(9月2日)
件  名 タービンバイパス弁構成部品等の脱落について(シールドプレート取付ボルト) (添付図-5参照)
事象概要
および
対 策 等
 8月23日、B-タービンバイパス弁※1の分解点検を工場にて実施していたところ、弁体シールドプレート※2取付ボルト(以下「取付ボルト」)8本のうちの1本が無いことが判明したため、調査を行った結果、9月2日、B-タービンバイパス弁下流の#3復水器タービンバイパス蒸気管(以下「蒸気管」)内において、当該取付ボルトを発見し、翌9月3日に回収しました。
 なお、取付ボルトは蒸気管内に留まっていたことから、下流側の復水器への影響はありません。
 原因を調査した結果、当該弁は原子炉起動時や停止時に開操作し、その際、シールドプレートや取付ボルトには、蒸気の高速の流れによる流体力が作用しますが、ボルトに作用する軸力が少なかった場合、その流体力により、廻り止め溶接が破損すると共に取付ボルトが緩み、抜け出して脱落したものと推定されました。また、当該ボルト1本が脱落した原因としては当該ボルトを工場で組み立てた際に、締め付け(軸力)が十分でなかった可能性があると推定されました。
 再発防止対策として、以下の対策を実施します。
当該弁については、シールドプレート及び取付ボルトを取り替える。
他のタービンバイパス弁(計7台)についても、念のためシールドプレート及び取付ボルトを取り替える。取付ボルト取り替えにあたっては、取付ボルトの締付トルク管理を強化する。
通常使用するタービンバイパス弁(2台)について、毎定期検査でボルトの軸力を確認する。
今後、当該弁については流動状態が激しい状況下で使用するため、取付ボルトが脱落することがないよう、取付ボルトを用いていないシールドプレートの採用について検討する。

 本事象による周辺環境への放射能の影響はありません。
※1: タービンバイパス弁
蒸気発生器からの蒸気を、タービンをバイパスして直接復水器に導くためのライン(配管)に設置している弁。タービンバイパスラインは、主に起動・停止時に使用し、通常運転時は基本的に使用していない。
※2: シールドプレート
  弁が開き始めた時、流量を制限するために取り付けられている板状の部品。


発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 第23回定期検査中(9月2日)
件  名 タービンバイパス弁構成部品等の脱落について(タービンバイパス蒸気管受衝板) (添付図-6参照)
事象概要
および
対 策 等

 9月2日、B-タービンバイパス弁の弁体シールドプレート取付ボルト(以下「取付ボルト」)8本中、脱落した1本の調査において、B-タービンバイパス弁下流の#3復水器タービンバイパス蒸気管(以下「蒸気管」)内で、当該取付ボルトを発見しましたが、この際、当該取付ボルトを発見した場所で、蒸気管(炭素鋼製)の減肉を防止するために、蒸気管内に取り付けられている受衝板(ステンレス鋼製)2枚が脱落していることを確認し、翌9月3日に回収しました。
 このため、#1,2復水器蒸気管内についても点検したところ、#1復水器蒸気管内において、受衝板1枚が脱落しているのを確認し、回収しました。
 なお、受衝板は蒸気管内に留まっていたことから、下流側の復水器への影響はありません。
 原因を調査した結果、破面観察において受衝板取付溶接部に疲労割れの特徴を示すビーチマーク状模様が確認されたことから、タービンバイパス弁動作時の蒸気による変動応力により、受衝板取付溶接部に割れが発生し、受衝板が脱落したものと推定されました。
 対策として、当該部を流れるのは乾き蒸気で、当該配管に減肉傾向は認められないことから、今定期検査で当該受衝板を撤去することとしました。
 本事象による周辺環境への放射能の影響はありません。



発電所名  高浜発電所4号機 発 生 日 7月20日 (運転中)
件  名 B-非常用ディーゼル発電機の起動試験中における自動停止について (添付図-7参照)
事象概要
および
対 策 等
 7月20日、B-非常用ディーゼル発電機(以下「B-D/G」)の、定例の起動試験※1のため、B-D/Gを起動したところ、10時22分に中央制御室で「B-D/Gトリップ」警報が発信、現地で「過速度トリップ」警報が発信し、B-D/Gが自動停止しました。これにより、保安規定の運転上の制限を満足しない状態※2となりました。その後、11時25分から11時35分にかけてA-D/Gの起動試験を実施し、動作可能であることを確認しました。(その後は、1日に1回A-D/Gの起動試験を実施して健全性を確認)
※1: 非常用ディーゼル発電機の機能の健全性を確認するため実施している試験。
※2: 保安規定では、運転中は、2台(A,B)あるD/Gが2台とも動作可能であることが求められている。なお、1台が動作不能(待機除外)となった場合は、残りの1台について4時間以内(その後1回/日)に起動試験を行い、動作確認を行うことが要求されている。
 

 ディーゼル機関の回転数を調整する装置(調速装置)および付属機器のうち、現地にて点検可能な機器については異常の無いことを確認しました。
 対策として、調速装置を健全な予備品に取り替え、B-非常用ディーゼル発電機(以下「B-D/G」)の起動試験、負荷試験等を実施し、全て正常に作動することを確認したうえで、7月25日3時35分に運転上の制限を満足した状態に復帰しました。
 調速装置本体について、工場で詳細な調査を実施しています。

(平成17年7月22日8月23日 お知らせ済み)

 B-D/Gの自動停止の原因は、調速装置本体の不具合によるものと推定されたことから、工場で詳細な分解点検等の不具合の原因調査を実施しました。
 原因を調査した結果、最大到達回転数が高い値を示し、バラツキが生じていることから、調速装置自体に若干の不具合が発生し、応答性が低下したものと推定されました。不具合は、前回定期検査時から発生しており、プラント運転開始後、経時的な応答性低下が生じたことにより、過速度トリップに至ったものと推定されました。
 対策として、定期検査時の起動試験において、従来実施していた最大到達回転数の管理に加え、最大到達回転数に大きなバラツキがないかどうか管理することとし、大きなバラツキが確認された場合は、予備品に取り換えることとします。


発電所名  大飯発電所1号機 発 生 日 第20回定期検査中(9月20日)
件  名 余熱除去ポンプシール水クーラー空気抜き作業中における漏えいについて (添付図-8参照)
事象概要
および
対 策 等

 第20回定期検査のため、9月20日0時00分に解列、同日2時36分に原子炉を停止した後、蒸気発生器により原子炉の冷却を行うとともに、余熱除去系統を用いて冷却するため、同日、A-余熱除去ポンプ※1による冷却を開始しました。その後、B-余熱除去ポンプの起動準備として、1次冷却水を同系統に通水し、系統の昇温と加圧を行ったうえで、20時47分頃、当社運転員が、当該ポンプのメカニカルシール保護のため、シール水のクーラー※2出口にある空気抜き弁を少し開けたところ、漏斗形状の受け皿に差し込まれている当該弁下流の配管端部から、水と蒸気(1次冷却水)が流れ出し、B-余熱除去ポンプ室内の漏水検知の警報と、火災警報が発信しました。
 この際、弁操作を行っていた運転員にしぶきがかかりましたが、運転員は同室内から直ちに退避し、火傷や負傷、放射能による外部汚染、内部被ばくはありませんでした。
 その後、20時52分にB-余熱除去系統を隔離し、当該弁からの蒸気流出がなくなったことを確認した後、23時23分、当該弁を閉止しました。
 漏えいした水は、すべて原子炉補助建屋サンプ(管理区域内)に回収しており、漏えい量は約2.6m3漏えい放射能量:約1.5×10Bq)と推定されました。
 原子炉の冷却は、蒸気発生器とA-余熱除去系統により継続して行われており、プラントの安全上の問題はなく、排気筒の放射線モニタ等の指示値に変化はありませんでした。
 今後、当該弁から水と蒸気が流れ出した原因について調査を行います。
  なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。

※1: 余熱除去ポンプ
原子炉停止後の原子炉から発生する余熱を除去するための系統に設置しているポンプで、大飯1号機には2台(A,B)ある。

※2: シール水クーラー
余熱除去ポンプのメカニカルシールの温度上昇を抑えるために用いるシール水を冷却する装置。シール水は、余熱除去ポンプ内の1次冷却水が用いられる。
 

3.その他情報

発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 第21回定期検査中(8月18日)
件  名 安全注入ラインの通水試験中における系統水漏えいに伴う作業員への水の付着について (添付図-9参照)
事象概要
および
対 策 等

 8月18日、原子炉格納容器内通路において、安全注入ラインの配管取替えに伴う通水試験の準備のため、B-充てん高圧注入ポンプを起動し、通水確認を実施していたところ、14時43分頃、通水系統に取り付けていた仮設流量計の取出し配管(外径約10mm)が折損したため、放射能を含む系統水(常温)が漏えいし、当該作業に従事していた協力会社作業員2名の上半身にわずかに付着しました。直ちに当該ポンプを停止したところ、漏えいは停止しました。(漏えい量は約15リットル)
  系統水が付着した協力会社作業員2名のサーベイ(放射線による汚染状況の確認)を行った結果、外部汚染はありませんでした。また内部被ばくも認められませんでした。
 調査の結果、原因は、安全注入ラインの配管取替に伴う通水試験において、当該仮設流量計上流側取出配管の固有振動数(301.4Hz)が、同配管の上流側にある充てん/高圧注入ポンプの固有振動数(301.3Hz)に近いために共振し、疲労損傷したものと推定されました。
 対策として、当該の仮設流量計取出配管について、取出部の単管を短くすると共に配管にサポート追加することにより、固有振動数を高くし、充てん/高圧注入ポンプの固有振動数と共振しないようにすることとしました。その後、固有振動数を計測し、問題のないことを確認しました。
  本事象による環境への放射能の影響はありません。

(平成17年8月23日29日 お知らせ済み)


4.その他(労働災害)

発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日 第23回定期検査中(9月4日)
件  名 取水路清掃作業中の労働災害について  (添付図-10参照)
事象概要
および
対 策 等

 A取水路の側壁と底部に付着している貝等を削り落とし、貝回収用ポンプ(水中ポンプ)で回収する等の清掃作業(一部潜水作業)を行っていた9月4日10時頃、貝回収ポンプが詰まって自動停止したため、潜水作業員(協力会社)が詰まりを除去した後、同ポンプの運転確認を行ったところ、潜水作業員の右手が貝回収ポンプにまき込まれ負傷しました。このため、同ポンプを直ちに停止しました。負傷者は自力で水中から浮上し、救急車で直ちに病院に搬送されました。
 原因を調査した結果、貝回収ポンプを運転した際、同ポンプの吸込み口での大きな水流により、潜水作業員がバランスを失い、結果として同ポンプに手が吸込まれ、負傷したものと推定されました。
 対策として、貝回収ポンプのモーター側後方に手すりを設置し、同ポンプの運転確認時の退避位置を明確にするとともに、長さ約2mの格子付き短尺ホースを導入し、貝回収ポンプの詰まり除去後には、吸込み口に同短尺ホースを取り付けて運転確認を行うこととします。
 また、取水路点検清掃作業要領書に、貝回収ポンプ詰まり除去作業の手順や安全上の注意事項を追記し、作業員へ周知徹底するとともに、作業時には、その内容を通話装置とチェックボードを用いて一つずつ確認します。
 なお、高浜発電所1号機では、今定期検査において労働安全衛生マネジメントシステムの試運用を行っていますが、今回の事象を踏まえ、取水路点検清掃作業について労働安全に対するリスク評価を行い、必要な対策を実施していくものとします。

タービンを回した蒸気を復水器で冷やすために用いている海水を、取水口から発電所構内に取り入れるための水路(1~4号機共用で2水路あり、幅約11m×深さ約8m)

(平成17年9月5日9日お知らせ済み)


保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

プレスリリース