プレスリリース

2005年7月7日
関西電力株式会社

高浜発電所3号機可動小型中性子束検出器の所在不明の調査状況について

 高浜発電所3号機で使用する可動小型中性子束検出器の在庫確認(年1回)のため、平成17年6月24日16時頃、保管庫確認を行ったところ、3,4号機ホット計器室(管理区域内にある計器室)内にある保管庫(鍵付きロッカー)内に貯蔵していた検出器1本が、所在不明であることが判明しました。
 当該検出器の所在不明を確認して以来、直ちに探索を行うとともに、社内に「原子力発電所重要計測機器調査委員会」を設置して、所在調査、原因究明および再発防止対策の検討等を行うこととしました。
 保管庫の鍵の管理状況、および関係者への聞き取りにより、当該検出器が管理区域外に持ち出された可能性は極めて小さいものと考えており、原子炉格納容器内を含む管理区域内の探索(放置の有無確認)や、ドラム缶詰めの廃棄物等について、混入の可能性が高いものから順次探索を行っています。
 なお、高浜発電所3号機については、調査のため原子炉起動を一時延期することとしました。
  可動小型中性子束検出器:
     原子炉容器下部から、案内管を通して炉内に挿入し、炉内の中性子束分布を測定するための検出器。長さ約50mm、直径約5mmの検出器で、内面にウラン化合物(総ウラン量1.70mg)が塗布されている。検出器の表面線量は、0.1μSv/hr以下である。検出器の内面にウラン化合物が塗布されていることから、「核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令」に基づく「核燃料物質」の扱いとなる。
[平成17年6月24日、6月27日お知らせ済み]

 所在不明が判明した6月24日以降、原子炉格納容器内を含む管理区域内全域と、混入した可能性の高い不燃性廃棄物ドラム缶等について調査を行っていますが、現時点で、当該検出器の発見には至っておりません。
 また、今回の所在不明判明後直ちに設置した「原子力発電所重要計測機器調査委員会」(これまでに3回開催)を中心に調査を進めるとともに、調査状況を踏まえ、原因と対策について検討を進めてきました。

1.調査状況
  (1)所在不明に至った経緯の調査
      平成15年1月10日に当該検出器を発電所に受け入れ保管庫に貯蔵しました。その後、製造メーカから製品不良の連絡があり、同年3月14日に可動ケーブルを切断し、検出器のみ不燃廃棄物用ポリ袋に入れ、保管庫内に貯蔵しました。
      平成16年7月6日の実在庫確認で、当該検出器が保管庫内にあることを確認しました。
      平成17年4月1日と6月3日に、新品の検出器の受け入れと取り出しを行なうため、保管庫を開閉しています。
      関係者への聞き取り調査の結果、平成17年4月1日に新品の検出器を受け入れた際に、当該ポリ袋を取り出した可能性があることが分かりました。
        ※: 未使用の可動小型中性子束検出器は、管理区域内の3、4号ホット計器内にある鍵付きの保管庫に保管されており、保管庫の鍵は設備管理課長が管理している。


  (2)所在不明検出器の調査
      6月24日から30日にかけて、当該ホット計器室内に加え、原子炉格納容器内を含む管理区域内の調査を行いましたが、当該検出器は発見されませんでした。
      6月24日から27日にかけて、当該ポリ袋が取り出された可能性のある平成17年4月以降に発生した廃棄物の調査を行いましたが、当該検出器は発見されませんでした。
      7月8日から、平成16年7月から平成17年3月に発生した廃棄物の調査を実施する予定であり、この調査には約3カ月を要する見込みです。


  (3)管理状況の調査
        貯蔵状況や関係者の聞き取り調査から、以下の問題点が認められました。
    鍵管理
      台帳を用いた鍵授受に関する記録の作成をマニュアルに定めていませんでした。
      鍵を借りた社員から協力会社社員への鍵の貸し出しを行った例があり、核燃料物質の取り扱いの観点から十分な鍵管理が行なわれていたとはいえない状況でした。
    廃棄
      当該検出器のケーブルを切断した時点で廃棄していませんでした。
      誤って廃棄されないための適切な表示がなく、廃棄物用ポリ袋に当該検出器を入れて貯蔵したことが、廃棄物と誤認されやすい状態であり、配慮が不足していました。
    貯蔵状況確認
      核燃料物質を管理する課長は、法令に基づく核燃料物質の管理として実在庫確認を実施しています。検出器を管理する設備管理課長は定期的に貯蔵状況を確認するとマニュアルに定めていますが、実施方法等が明確に定められていませんでした。
    業務の引継ぎ
      平成16年10月に設備管理課の担当者の変更がありましたが、その引継ぎにおいて、重要な引継ぎ事項でありながら、引継ぎ書の記載内容が不十分であったことなどが認められ、核燃料物質に対しての重要性の認識が不十分でした。


2.暫定的な対策
       管理状況の調査で認められた問題点について、以下のような暫定的な対策を行います。
      核燃料物質を管理する課長は、以下の点をマニュアルに定めます。
        設備管理課長が、保管庫の鍵授受記録を残すこと
        設備管理課長が、棚卸しや検出器移動の都度、員数確認を行なうこと
        設備管理課長が、保管庫への持ち込み・持ち出しを記録するための帳票を保管庫内に備え付けること
      鍵の貸し出しは社員に限定し、保管庫の開放は必ず社員が行なうこととします。
      設備管理課長は、不良品が納入された場合には、速やかにメーカに返却することとします。また、返却するまでの間は、誤って使用されないよう表示を確実に行い、廃棄物用の袋を使用しないこととします。
      法令等で管理が定められている重要業務の引継ぎにあったては、その重要性は正確に引き継がれるよう、現場確認を行なうとともに重要ポイントを明記し、その状況を上司が確認します。核燃料物質の管理の重要性を定期的に関係者へ周知します。
      品質保証の担当室長は、核燃料物質を取り扱う関係者が核燃料物質の重要性を十分認識して業務を実施していることを確認します。

 なお、調査状況については、「核燃料物質の使用等に関する規則第七条第2項」に基づき、平成17年7月1日、文部科学省に報告していますが、本日、文部科学省から更に一層の調査を行い、本質的な原因を明らかにし、再発防止対策の検討を行うよう、指導がありました。
 当社としては、文部科学省からの指導を踏まえながら、引き続き、更に調査を進め、原因と対策について検討を行っていきます。

以 上

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