プレスリリース

2005年7月14日
関西電力株式会社

高浜発電所3号機 可動小型中性子束検出器の所在不明の調査状況について(原因と対策)

 高浜発電所3号機で使用する可動小型中性子束検出器(以下、当該検出器という)の在庫確認(年1回)のため、平成17年6月24日16時頃、保管庫確認を行ったところ、3,4号機ホット計器室内にある保管庫(鍵付きロッカー)内に、廃棄物用のポリ袋に入れて貯蔵していた検出器1本が所在不明であることが判明したため、原子炉格納容器内を含む管理区域内の探索(放置の有無確認)や、不燃性廃棄物ドラム缶等、混入の可能性が高いものから順次探索を行っています。また並行して、当該検出器の管理状況に関する調査を行いました。
 なお、高浜発電所3号機は、調査のため原子炉起動を一時延期しています。
  可動小型中性子束検出器:
     原子炉内の中性子束分布を測定するための検出器。(長さ約50mm、直径約5mm)内面にウラン化合物(総ウラン量1.70mg)が塗布されていることから、「核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令」に基づく「核燃料物質」の扱いとなる。検出器の表面線量は、0.1μSv/hr以下である。
[平成17年6月24日、6月27日、7月7日お知らせ済み]

 当社は、原子炉格納容器内を含む管理区域内全域と、当該検出器が入ったポリ袋が取り出された可能性の高い平成17年4月以降に発生した廃棄物を対象に、所在調査を行いました。その結果当該検出器は発見されなかったため、7月8日からは、平成16年7月から平成17年3月までに発生した廃棄物に対象範囲を拡大し、調査を実施しているところですが、現時点では発見に至っていません。

 また、当該検出器の管理状況に関する調査結果については、法令(核燃料物質の使用等に関する規則)に基づき、平成17年7月1日、文部科学省に報告しました。この報告内容について、7月7日に文部科学省から、更に調査を行い、本質的な原因を明らかにして再発防止対策を講じるよう指示を受けたことから、当社は、その内容を踏まえ、「原子力発電所重要計測機器調査委員会」(平成17年6月24日設置)を中心に再調査を行い、昨日、文部科学省に報告しました。  報告内容の概要は、以下のとおりです。

1.調査内容
   調査を行うにあたっては、文部科学省からの指示を踏まえ、検出器の貯蔵管理の実態、核燃料物質を取り扱うことの重要性に対する意識、品質保証計画に照らした不良品発生時の対応、核燃料物質取扱業務の役割・連携といった視点から、関係者への聞き取り等の調査を実施しました。

2.原 因
  (1)社員の認識不足
      検出器を取り扱う設備管理および放射線管理の担当課員の一部に、核燃料物質を取り扱っていることの重要性に対する認識が不足していました。
  (2)業務の役割・連携不十分
      核燃料物質管理の担当課は、実在庫確認を除いて、書類のみの確認しか行っておらず、検出器の貯蔵、廃棄などの現場業務は、設備管理および放射線管理の担当課が行い、保管庫の鍵管理は設備管理の担当課長が行っていました。このため、核燃料物質管理の担当課による管理業務と設備管理の担当課および放射線管理の担当課による現場業務との連携が不十分でした。
      設備管理の担当課員は、引継ぎの際、机上のみの引継ぎで、現場確認を行っていませんでした。また、役職者による重要事項の十分な引継内容の確認が実施されていませんでした。
  (3)品質保証上の問題
      不良品である当該検出器を保管庫に長期間保管していました。
      当該検出器を貯蔵するにあたり、廃乗物用のポリ袋に入れるといった不適切な保管方法をとっていました。また、役職者は、そのことを把握していませんでした。
  (4)その他の問題
      「設備管理の担当課長は、定期的に貯蔵状況を確認する」とマニュアルに定めているが、実施方法および記録方法を明確に定めていませんでした。
      鍵管理において、鍵授受簿を作成することがマニュアルに定められていなかったこと、協力会社社員に鍵を貸し出したこと、3号機用と4号機用の鍵が束ねられていたことという問題がありました。

3.対 策
  (1)社員の認識不足に対する対策
      核燃料物質の取り扱いの重要性を認識させるため、実際の運用と法令との関連を示した教育資料を作成し、設備管理および放射線管理の担当課に対して教育を実施しました。
また、教育計画に基づき、関係者に対して定期的に教育を実施していきます。
      核燃料物質を含む機器を取り扱う担当者に対して、認識の向上を図るために役職者が日々の業務において注意喚起していきます。
  (2)業務の役割・連携不十分に対する対策
     

核燃料物質管理の担当課による管理業務と設備管理および放射線を管理する担当課による現場業務との連携を強化するため、核燃料物質管理の担当課長が設備管理の担当課長に代わって保管庫の鍵管理を行うこととしました。

また、核燃料物質管理の担当課は、検出器の受入れ、貯蔵、使用、廃棄、払出しの際、設備管理および放射線管理の担当課が実施する現場作業に立ち会うこととしました。

      核燃料物質を含む検出器関係業務等の引継ぎの際には、現場確認を行うとともに、引継書に重要事項を明記することとしました。この時、役職者は、前任者から後任者へ正確に引き継がれていることを確認することとしました。
  (3)品質保証上の問題に対する対策
      設備管理の担当課長は、核燃料物質を含む機器の不良品が納入された場合には、速やかにメーカヘ返却することとしました。また、自社の責において不良品が発生した場合には、専用ドラム缶に速かに廃棄することをマニュアルに定めました。
      不良品を返却または廃棄するまでの間は、現物保管とし、廃棄物用のポリ袋を使用しないこととしました。また、その状況を役職者が確認することとしました。
  (4)その他の問題に対する対策
      設備管理の担当課長の定期的な貯蔵状況の確認の実施方法と記録方法を明確にするため、核燃料物質管理の担当課長は、以下の事項をマニュアルに定めました。
        核燃料物質管理の担当課長が、保管庫の鍵授受記録を作成すること
        設備管理の担当課長が、実在庫確認や検出器移動の都度、員数確認を行うこと
        設備管理の担当課長が、保管庫への持ち込み・持ち出しを記録するための帳票を保管庫内に備え付けること
        鍵の貸し出しは核燃料物質管理の担当課員に限定すること
      保管庫の鍵は、保管庫毎に管理することとしました。

4.今後の計画
    平成16年7月から平成17年3月に発生した廃棄物の調査を継続して行います。
  (平成17年7月8日開始、9月中旬頃終了見込み)

5.周辺環境および人体への影響
    当該検出器の納入前の放射線測定記録によると、検出器の表面線量率は0.1μSv/h以下でした。また、新品の同種同型の検出器の表面線量率は0.05μSv/hでした。この値は通常自然界の放射線レベル(発電所モニタリングポスト:0.03μSv/h~0.1μSv/h)と同等であり、環境に影響を与えるものではありません。
    仮に当該検出器のウランをすべて体内摂取(経口摂取)したとしても、受ける線量は0.02mSvと評価され、日常生活で摂食する食物中に含まれる自然放射性物質から受ける年間被ばく線量(約0.29mSv)に比べて、十分低いものであることから人体への影響はありません。

以 上

プレスリリース