プレスリリース

2005年9月9日
関西電力株式会社

高浜発電所 取水路清掃作業中の労働災害の原因と対策について

  高浜発電所は、1号機の第23回定期検査の作業として、A,B取水路のうち、A取水路の流れを止めた状態で、取水路の側壁と底部に付着している貝等を削り落とし、貝回収用ポンプ(水中ポンプ)で回収する等の清掃作業を8月中旬から行っています。その作業を行っていた9月4日10時頃、貝回収ポンプが詰まって自動停止したため、潜水作業員(協力会社)が詰まりを除去した後、同ポンプの運転確認を行ったところ、潜水作業員の右手が貝回収ポンプにまき込まれ負傷しました。このため、同ポンプを直ちに停止しました。負傷者は自力で水中から浮上し、救急車で病院に搬送されました。
タービンを回した蒸気を復水器で冷やすために用いている海水を、取水口から発電所構内に取り入れるための水路(1~4号機共用で2水路あり、幅約11m×深さ約8m。)

1.調査結果
(1)関係者からの聞き取り調査
    負傷者を含め、関係者に聞き取り調査を行った結果、貝回収ポンプの吸込み口から貝回収ホース(約50m)を取り外し、ポンプ内の詰まりを除去しました。その後、同ポンプの運転確認のため、潜水作業員(負傷者)は陸上の監視員に運転開始を依頼しました。それを受け、監視員が同ポンプの運転を開始した直後、潜水作業員からポンプを停止するよう連絡があり、監視員は直ちに同ポンプを停止しました。
  貝回収ポンプの運転確認の際、潜水作業員は貝回収ポンプから約1m程度離れた位置に退避し、貝回収ホースを外した状態で、ポンプの運転状態を確認していました。
  陸上の監視員と潜水作業員との相互連絡は、通話装置を用いて適切に行われていました。
(2)作業要領書の調査
    取水路点検清掃作業における作業要領書には、注意事項として、「貝回収ポンプの吸込み口に手を近づけないよう」記載されていましたが、今回の、貝回収ポンプの詰まり除去作業に関する手順や、安全上の注意事項については、特に記載がありませんでした。

2.原 因
    貝回収ポンプを運転した際、同ポンプの吸込み口での大きな水流により、潜水作業員がバランスを失い、結果として同ポンプに手が吸込まれ、負傷したものと推定されました。


3.対 策
  貝回収ポンプによる労働災害防止として、以下の対策を実施します。
貝回収ポンプのモーター側後方に手すりを設置し、同ポンプの運転確認時の退避位置を明確にします。
長さ約2mの格子付き短尺ホースを導入し、貝回収ポンプの詰まり除去後には、吸込み口に同短尺ホースを取り付けて運転確認を行うこととしました。
取水路点検清掃作業要領書に、貝回収ポンプ詰まり除去作業の手順や安全上の注意事項を追記し、作業員へ周知徹底するとともに、作業時には、その内容を通話装置とチェックボードを用いて一つずつ確認します。

  なお、高浜発電所1号機では、今定期検査において労働安全衛生マネジメントシステムの試運用を行っていますが、今回の事象を踏まえ、取水路点検清掃作業について労働安全に対するリスク評価を行い、必要な対策を実施していくものとします。

以 上
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