
「いのち輝く未来社会」への取り組みを持ち寄り、SDGsの達成とその先の未来を描き出す大阪・関西万博。関西電力グループが創る未来の「あたりまえ」とは。
関西で55年ぶりに開催される大阪・関西万博。大阪市の関西電力本店を訪ねると、エントランスロビーが万博色に染まっていた。2025年4月13日から始まる万博は、新しい技術やサービスを生み出す「未来社会の実験場」となる。万博をきっかけに生まれた未来の技術の種が芽を出し、実装され、新たな産業を創出して世界へ拡がっていく。そして、その過程では関西の経済活性化に大きく寄与することが期待されている。
「関西電力グループはさまざまな社会インフラサービスを提供するプラットフォームの担い手として、お客さまと社会の役に立ち続けることで持続可能な社会実現への貢献をめざしている。万博を2050年のゼロカーボン社会実現に向けた挑戦の機会ととらえ、ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして具体的な取り組みを見せていく」。関西電力の万博での取り組みを統括するソリューション本部副本部長の児玉 智は、万博の位置づけをそう説明する。
関西電力は、電気を供給するサプライサイドと、電気を使用するデマンドサイドの2つで万博へ取り組む。まず、サプライサイドの取り組みで注目されるのが、万博会場へのゼロカーボン電力の供給だ。太陽光発電、水力発電、原子力発電と水素発電を組み合わせて、万博会場への電力供給をゼロカーボン化する。1970年の大阪万博では美浜発電所から送られた原子力発電の電気が話題を呼んだが、55年後の大阪・関西万博では姫路第二発電所から日本初となる事業用火力発電所の大型ガスタービンを活用した水素混燃発電による電気が送電される見込みだ。
デマンドサイドの取り組みで見逃せないのが陸・海・空モビリティの電動化への挑戦だ。まず陸では、会場内を運行するEVバスの運行管理システムと一体化したエネルギーマネジメントシステムを導入し、充電の最適化に向けた実証を行う。さらに、新たな充電の仕組みとして「走行中ワイヤレス給電」も実施予定だ。海では、水素と電気のハイブリッドで運行する水素燃料電池船のエネルギーマネジメントシステムと充電設備の構築を担う。会場にほど近い南港発電所に設備を置き、水素充填やバッテリー充電を行うが、水素については福井県おおい町から原子力発電の電気でつくった水素を運び、船への供給を予定している。そして空では、空飛ぶクルマの充電設備の整備・運営に取り組む。電気を動力源とする空飛ぶクルマは、EVと比べて大量のエネルギーを必要とするため、短時間で大容量の充電が求められるが、関西電力はその高度な技術を要する充電設備の開発を担っている。