プレスリリース
2007
2007年7月5日
関西電力株式会社
美浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
美浜発電所3号機 第22回定期検査の概要
1. | 主要な工事等について |
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事 |
(図−1参照) |
国内外PWRプラントにおける600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れ事例に鑑み、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材入口管台溶接部について、外観目視点検を実施し、異常がないことを確認しました。 また、予防保全として溶接部表面の残留応力を低減させるため、原子炉容器の冷却材出入口管台溶接部および炉内計装筒管台溶接部についてウォータージェットピーニング※1を施工しました。
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(2)耐震裕度向上工事 | (図−2参照) |
既設設備の耐震性を一層向上させるため、原子炉格納容器内にある配管の支持構造物10箇所について、支持部材の追加等を実施しました。 |
2. | 保全対策について |
(1)2次系配管の点検等 | (図−3参照) |
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美浜発電所3号機事故を踏まえ、2次系配管1,134箇所※2について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。 (超音波検査1,099箇所、内面目視点検35箇所) その結果、計算必要厚さを下回っている箇所、および余寿命評価で次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。 |
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今定期検査開始時には34箇所の配管取替えを計画していましたが、配管取替え作業時の作業性を考慮して2箇所を追加し、合計36箇所の配管についてステンレス鋼、低合金鋼の配管に取り替えました。 |
3. 定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象 |
(1)蒸気発生器2次側管板上面での異物確認 | (図4−1参照) |
3台ある蒸気発生器のうち、C−蒸気発生器2次側管板上面清掃作業の事前点検における堆積物の状況を確認していたところ、管板上面で円柱状の異物を確認しました。 異物を回収して詳細調査を行った結果、給水配管の取替工事で行った配管開先加工で発生した配管削り屑であり、混入経路は配管取替え作業後の異物確認の際に、作業員の衣服等に付着していた削り屑が、配管内へ入り込んだ可能性があると推定されました。 対策として、配管取替え作業時の異物確認の際に、異物確認者の作業服や作業靴などの清掃を実施することなどを社内ルールに反映し、異物管理の更なる徹底を図ります。 |
(2)A蓄圧タンク窒素供給系統からの僅かな窒素漏れ | (図4−2参照) |
3台ある蓄圧タンクについて、窒素ガスで加圧して漏えい検査を実施していたところ、A蓄圧タンクの窒素供給配管溶接部1箇所から、僅かに窒素が漏れていることを確認しました。 当該溶接部の断面観察において、溶接不良による隙間が溶接部表面近くまで達しており、その後の運転・停止に伴う圧力変動の繰り返し等の影響を受け、今定期検査の加圧時に開口し、漏えいに至ったものと推定されました。 対策として、当該部を新品の配管に取り替え、また当該部を除き、各蓄圧タンクにつながる窒素供給配管溶接部(第1弁まで)について、浸透探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
4. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) |
3台ある蒸気発生器のうち、A−蒸気発生器伝熱管(3,379本×1台)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査を実施し、有意な信号は認められませんでした。 また、C−蒸気発生器伝熱管の管板上面に金属削り屑が発見された事象を踏まえ、BおよびCの蒸気発生器伝熱管(計6,764本:3,382本×2台)についても渦流探傷検査を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。 |
5. | 燃料集合体の取替え |
燃料集合体全数157体のうち25体(うち12体は新燃料集合体)を取替えました。また、燃料集合体の外観検査(44体)を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
6. | 次回定期検査の予定 |
平成20年秋頃 |
以 上