プレスリリース

2005年4月19日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1. 運転状況について(平成17年4月18日現在)
発電所 電気出力(kW) 運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中 ・「B充てんポンプマニホールドカバーボルトの損傷について」詳細は2-(1)のとおり。
・「A余熱除去ポンプメカニカルシールからの水漏れについて」詳細は3のとおり。
2号機 50.0万 運転中(H17.3.29本格運転再開)
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16.8.9 2次系配管破損事故により停止。(引き続き、
H16.8.14~ 第21回定期検査)
H17.1.5~ 定期検査作業中。
 
・「4-3C母線停電に伴うA-非常用ディーゼル発電機の自動起動について」詳細は2-(2)のとおり。
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中(H17.4.21~第16回定期検査開始予定) ・「原子炉補助建屋内(管理区域)における水漏れについて」詳細は3のとおり。
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
 
2号機 117.5万 第19回 定期検査中(H17.3.16~6月中旬予定)  
3号機 118.0万 運転中(H17.3.26原子炉起動、3.27発電再開) ・「原子炉格納容器内での1次冷却水漏えいに伴う原子炉手動停止について」詳細は2-(1)のとおり。
4号機 118.0万 運転中   

2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象


(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 3月19日(運転中)
件  名 B-充てんポンプマニホールドカバーボルトの損傷について (添付図-1参照
事象概要
および
対 策 等
 運転中、3月19日10時40分頃、当社運転員の巡回点検において、原子炉補助建屋地下1階の充てんポンプ室にあるB-充てんポンプ*1のNo.1シリンダ吸込み側マニホールドカバー*2のボルト4本のうち3本が折れ、ナットとともに床面に落ちていることを発見しました。
 また、当該マニホールドカバーのボルト4本を除く残り32本のボルトの締め付け状態を確認したところ、NO.2シリンダ吸込み側マニホールドカバーのボルト1本が折れていること、および残りのボルト(31本)のうち、28本のボルトでトルク値が目標締め付けトルク値より低いことが認められました。
 また、運転中のA,C-充てんポンプのボルト全数(72本)の締め付け状態を確認した結果、吐出側および吸込み側マニホールドカバーのボルトの一部に、目標締め付けトルク値より低い箇所が認められ、締め付けを行いました。
 この事象により1次冷却水の漏れはなく、環境への放射能の影響はありません。
※1: 充てんポンプ:1次冷却材系統の水質、保有水量等を調整する系統(化学体積制御系)で浄化した1次冷却水を、1次冷却材系統へ送り込むポンプ(往復ポンプ)。美浜1号機の充てんポンプは、シリンダが3つ連なっており、シリンダ内をプランジャーが往復運動することにより水を送り出す構造。充てんポンプは3台(A,B,C)あり、通常2台が運転している。
※2:  マニホールドカバー:充てんポンプのシリンダをつなぐマニホールド(集合管)のカバー、1つのシリンダの吸込み側と吐出側に、それぞれ4本のボルトで取り付けられている。

(平成17年3月22日 お知らせ済)

 現在、ボルトの損傷原因等についての詳細調査を行っております。

発電所名  大飯発電所3号機 発 生 日 3月7日(運転中)
件  名 原子炉格納容器内での1次冷却水漏えいに伴う原子炉手動停止について (添付図-2参照
事象概要
および
対 策 等
 運転中、3月7日、原子炉格納容器内の格納容器冷却材ドレンタンク室内に水溜りがあることを、点検中の運転員が発見しました。分析の結果、1次冷却水である可能性が確認されたことから、漏えい箇所の特定や詳細な点検調査を行うため、3月7日から出力降下を開始し、翌8日に発電を停止、同日原子炉を停止しました。
 点検の結果、格納容器冷却材ドレンタンク室上部にある、加圧器気相部の試料採取系統配管で、約1mの範囲において、保温材外面に、白い付着物(1次冷却水中に含まれるほう酸)を確認しました。保温材取り外し後に外面観察を行った結果、配管の接続部(カップリング)において、溶接部に直径約1mm程度の微小な穴から漏えいが認められました。
 当該漏えい部を切断し、試験施設に搬出して、詳細な原因調査を実施した結果、溶接部の内側に溶け込み不良による欠陥が認められるとともに、溶接の重ね合わせが不十分である上に、溶接金属の溶け込み不良があることが確認されました。
 原因は、当該配管のカップリングの溶接部において、当該配管が小口径配管で、現場も壁や天井に近く狭隘であり、溶接施工性が比較的悪かったことから、溶接施工時に溶接不良による欠陥が発生し、その後の起動停止等に伴う運転圧力の繰り返しなどによって欠陥が貫通し、漏えいに至ったものと推定されました。
 対策として、当該漏えい部を含め、試料採取系統の小口径配管のカップリング部について突き合わせ溶接構造(自動溶接)に取り替えることとしました。

(平成17年3月7日10日22日 お知らせ済)

 上記対策完了後、系統の健全性を確認した上で、3月26日に原子炉を起動し、翌27日に発電を再開しました。


(2) (1)に至らない軽微な事象
発電所名  美浜発電所3号機 発 生 日 4月6日(第21回定期検査中)
件  名 4-3C母線停電に伴うA-非常用ディーゼル発電機の自動起動について (添付図-3参照
事象概要
および
対 策 等
 二次系配管破損事故で停止中(定期検査中)、4日6日13時31分、「4-3C、D母線電圧低」警報が発信(4-3D母線は作業停電中)し、起動変圧器から4-3C母線へ給電している受電しゃ断器が自動で「切」(停電)になるとともに、A-非常用ディーゼル発電機が自動起動し、4-3C母線へ電源を供給しました。
 また、4-3C母線の電圧低信号発信により、4-3C母線から給電されているA海水ポンプ等の機器が自動停止しました。
 当社運転員が、A-非常用ディーゼル発電機および4-3C母線を確認したところ、A-非常用ディーゼル発電機の自動起動状態に異常はないが、4-3C母線の電圧計指示が低いことを確認したため、現地にある4-3C母線の電圧検出回路の点検を行った結果、同検出回路のAおよびB相のヒューズが切れていることが判明しました。
 このことから、母線電圧が実際は正常であったにもかかわらず、母線電圧検出回路のヒューズが切れたことにより、「母線電圧低」のリレーが動作し、起動変圧器からの給電を自動しゃ断するとともに、A非常用ディーゼル発電機が自動起動したものと考えられました。
 このため、当該ヒューズ2個の取り替えを行い、14時10分に「母線電圧低」信号がリセットされ、母線電圧に異常のないことを確認した後、起動変圧器から4-3C母線に給電を行い、復旧しました。その後、海水ポンプ等の各機器を順次手動で起動させ、14時13分にはA非常用ディーゼル発電機を解列し、14時15分、待機状態(通常状態)として、全て事象発生前の状態に復帰しました。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。

<推定原因>
 ヒューズが切れた原因については、警報発信当時、中央制御室内所内盤で、発電機負荷開閉装置を設置するための計器の校正・調整作業等を行っており、作業のため停電している4-3D母線電圧計測回路のテスト端子に、模擬入力装置の配線を接続しようとしたところ、誤って充電中である4-3C側のテスト端子に接続したため、4-3C母線電圧計測回路が短絡し、ヒューズが溶断したものと推定されました。
 この誤接続に至った原因は、当該作業を中断した際、作業開始時に実施していた隔離養生(作業対象範囲外のテープ養生)を一旦撤去したが、その後の作業再開時に当社から協力会社に再隔離養生、再検電の実施を注意しなかったこと、協力会社作業責任者から作業員に対してもこれらの実施を注意しなかったこと、また、作業員は継続作業でありこれらの必要性に関する認識が十分ではなく、さらに作業中断の前後では同じ作業対象機器を作業しており間違いないと思ったことが原因と推定されました。

<対 策>
 以下の基本動作の徹底等を行うこととしました。
  作業開始および作業再開時における隔離養生、検電の確実な実施に関する再徹底・周知を実施します。
  当社は安全作業指示書確認時に、作業を中断し養生を撤去した時は、作業再開時にもこれらを確実に実施するよう協力会社に指示するとともに、作業再開にあたっては、これらが確実に実施されていることを当社が確認します。また、協力会社作業責任者も作業中断後の再開時の隔離養生および検電に関する作業員への指導を徹底します。
  号機の間違い、系列間違い等の作業対象箇所の誤りを防止するための協力会社からの改善提案を募り、継続的な改善活動を行います。

3.その他
発電所名  高浜発電所3号機 発 生 日 4月5日(運転中)
件  名  原子炉補助建屋内(管理区域)における水漏れについて (添付図-4参照
事象概要
および
対 策 等

 運転中、4月5日10時35分頃、原子炉補助建屋内(管理区域)のA-使用済み燃料ピットフィルタ室内で、同フィルタ逆洗ブロー弁※1の分解点検作業のため、弁ボンネットを開放し、弁箱内の残留水について、手動ポンプにより水抜き作業を行っていたところ、弁内部から水※2があふれてきました。あふれた水は、室床面に漏えいし、室内の目皿を通じて補助建屋サンプに流入しました。
 その際、水抜き作業を行っていた協力会社作業員の両足(靴下)に、床面に落ちた水が跳ねて、数滴かかりました。このため、両足を洗浄し、サーベイした結果、汚染はありませんでした。
 漏えい量は、補助建屋サンプ水位の変化量から約480リットルと推定され、推定漏えい放射能は2.6×106Bqと評価されましたが、外部への漏えいはなく、環境への放射能の影響はありませんでした。

※1 逆洗(水を逆流させてフィルタ表面を洗浄)した水を抜く系統に設置している弁。
※2 使用済み燃料ピットの水であり、放射能を含む。

 現在、漏えい原因等についての詳細調査を行っております。


発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 3月22日(停止中)
件  名 A-余熱除去ポンプメカニカルシールからの漏えいに伴う取り替え作業(待機除外)の実施について (添付図-5参照
事象概要
および
対 策 等

 A湿分分離加熱器加熱蒸気室ドレン抜き栓からの漏えいに伴い、2月4日から3月8日の間、原子炉を停止していました。
 停止に伴い、A-余熱除去ポンプを1次系冷却系統の余熱除去のために運転しましたが、原子炉起動前の3月7日13時31分、当該ポンプを停止しました。
 同日16時頃、運転員が巡回点検において、当該ポンプのメカニカルシール部からわずかな漏えい(1滴/1秒程度)が発生していることを確認しました。
漏えい量を測定した結果、約600cc/hであり、当該メカニカシールの管理基準(1000cc/h)の範囲内でした。
 また、発見時以降、漏えい量に変化はなく、増加傾向は見られませんでした。
 なお、漏えい水はドレン配管により全て回収しています。
 この事象は、ポンプの機能に影響を与える異常ではありませんが、今後のポンプ運転に万全を期すため、予防保全の一環として計画的に当該ポンプを待機除外として、系統から隔離し、当該メカニカルシールの取り替えを行うこととしました。
 3月22日4時、当該ポンプを待機除外とし、系統の隔離作業を完了し、当該メカニカルシールの取り替え作業を開始しました。
 この事象による環境への影響はありません。

※待機除外 通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器の故障や点検等のため、自動起動できない状態とすることをいう。
なお、本設備は安全上重要な設備であり、通常2台を待機状態としている。今回、計画的作業ではあるが、プラント運転中に待機除外とするため、万一の事故に備え、10日間に待機状態に復帰させる必要がある。その間、もう1台のBポンプが健全であることを8時間毎に起動試験を行い確認することとしている。

(平成17年3月22日 お知らせ済)

 3月25日、当該メカニカルシールの取り替え作業を完了し、健全性を確認した後、当該ポンプを待機状態に復帰させました。


4.大飯発電所ならびに高浜発電所の原子炉設置変更許可申請について

 大飯発電所3号機、4号機ならびに高浜発電所3号機、4号機の原子炉容器上部ふたの取替計画について、平成17年1月11日に福井県および関係各町ご当局へ安全協定に基づく事前了解願いを提出しておりましたが、平成17年4月8日、福井県および関係各町ご当局から取替計画に係わる原子炉設置変更許可申請手続きを進めることについての了承をいただきましたので、経済産業省に原子炉設置変更許可の申請を行いました。

(平成17年4月8日 お知らせ済)

 保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
電力各社および(財)電力中央研究所ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力発電情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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