プレスリリース

2004年10月20日

原子力発電所の運営状況について

 

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成16年10月19日現在)
発電所 運転状況 備考
美浜
発電所
1号機 34.0万kW 停止中
美浜発電所3号機2次系配管破損事故に係る当社原子力発電所の点検に伴う停止中。
B余熱除去クーラ下部からのほう酸析出を確認。 詳細は2-(1)のとおり。
2号機 50.0万kW 停止中
美浜発電所3号機2次系配管破損事故に係る当社原子力発電所の点検に伴う停止中。
 
3号機 82.6万kW 事故停止中[第21回定期検査中]
2次系配管破損事故(H16.8.9発生)により停止中(引き続き、H16.8.14~ 第21回定期検査中)。
事故発生以降の状況等は都度お知らせ済み。
高浜
発電所
1号機 82.6万kW 運転中  
2号機 82.6万kW 運転中
7月に主変圧器負荷時タップ切換器の中の絶縁油の温度が通常より高い温度を示していることを確認。その後の調査結果は2-(1)のとおり。
脱気器水位制御弁のポジショナー出口圧力が通常値と比較して低いことを確認。詳細は3のとおり。
3号機 87.0万kW 運転中  
4号機 87.0万kW 第15回 定期検査中(H16.8.10~11月下旬予定)
蒸気発生器伝熱管補修工事に伴う手続きに時間を要したことから、工期が延長したため、本格運転再開時期も当初予定の11月上旬から遅れる予定です。
 
大飯
発電所
1号機 117.5万kW 第19回 定期検査中[調整運転中](H16.6.4~ )
美浜発電所3号機2次系配管破損事故を受け、2次系配管の点検のため停止していましたが、10月16日に運転を再開しました。本格運転再開時期も当初予定の8月下旬から遅れております。
 
2号機 117.5万kW 運転中
3号機 118.0万kW 第10回定期検査中(H16.4.20~ )
H16.5.4、原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えいを確認、現在、対策準備中。本格運転再開時期は当初予定の6月下旬から遅れております。
原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えい原因と対策については10月19日お知らせ済み。
4号機 118.0万kW 第9回 定期検査中(H16.9.25~11月下旬予定)
美浜発電所3号機2次系配管破損事故を受け、2次系配管点検中。
 

 

2.保全品質情報について(平成16年9月分)

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象

(1) 法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名 高浜発電所2号機 発 生 日 7月15日(運転中)
件名 高浜発電所2号機主変圧器負荷時タップ切換器取り替え作業(予防保全)のための発電停止について(添付図-1)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中、平成16年7月15日23時50分頃、運転員の巡回点検において、主変圧器に設けられている負荷時タップ切換器(以下タップ切換器)の中の絶縁油の温度が通常(約56℃程度)より高い温度(約74℃)を示していることを確認しました。
 このため、タップ切換器(A,B)の絶縁油入口部および出口部に仮設温度計を取り付け、温度差を確認したところ、Aタップ切換器はほとんど温度差がないのに対し、Bタップ切換器では、出口部が入口部に比べ高い状態でした。
 また、絶縁油をサンプリングし、油中に含まれるガスを分析した結果、前々回の定期検査(第20回)時のデータと比較して、絶縁油等の過熱により生成されるエチレンや一酸化炭素等の増加が認められました。
 これらのことから、Bタップ切換器内の通電部の接触状況等に起因する過熱により、絶縁油の温度が高くなったものと推定されます。
 この事象は、直ちに発電所の運転に支障を及ぼすものではありませんが、予防保全の観点からBタップ切換器を予備品と取り替えることとし、発電を停止して作業を行いました。また、念のため、Aタップ切換器についても同様に取り替えました。
 その後、取り替えたタップ切替器を工場にて調査した結果、Bタップ切換器内の通電部に過熱痕である黒色の油炭化物が確認されました。これにより、当初考えていた推定原因のとおり、Bタップ切換器内の通電部において、絶縁油の酸化生成物の付着、蓄積による、過熱が発生し、絶縁油の温度が高くなるとともに油炭化物の生成に至ったことが確認されました。
発電所名 美浜発電所1号機 発 生 日 9月16日(停止中)
件名 B余熱除去クーラ下部からのほう酸析出について(添付図-2)
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所3号機2次系配管破損事故に伴う点検停止中のところ、9月16日17時20分頃、運転員の巡回点検において、補助建屋内地下1階にある2台(A,B)の余熱除去クーラのうち、B余熱除去クーラ下部保温材にほう酸の析出と、下部床面に5cm四方程度の水たまり跡を確認しました。
 漏えい箇所を確認するため、同日19時23分にB余熱除去ポンプを停止し、19時45分に当該クーラの隔離を完了しました。
 その後、保温材を取り外して当該クーラの点検を行ったところ、当該クーラ下部フランジ部の隙間に、ほう酸の析出および水のにじみが認められました。
 推定原因は、当該クーラ下部フランジボルトの締め付けにあたっては、パッキンの圧縮量を優先して締め付けていましたが、締め付けトルク値がメーカの締め付け目標トルク値(約970N・m)より低い値(約600N・m)であり、このため、今回のプラント停止に伴い、高温の1次冷却水を当該クーラへ通水した時のフランジボルトの熱伸びにより、パッキンを押さえる力が低下したため、漏えいが発生したものと推定しました。
 対策は以下のとおりです。

当該クーラ下部フランジボルトの締め付けにあたり、パッキンの圧縮量を優先とした管理では、締め付け力が低下することから、トルク優先による管理に変更し、作業手順書を変更しました。
当該クーラの復旧にあたっては、新品のパッキンに取り替え、この見直した作業手順書に従ってフランジボルトの締め付けを実施しました。
他のクーラについては、その使用条件等を考慮して、必要に応じて管理方法の見直しを行うこととします。
9月16日10月4日お知らせ済)

(2) (1)に至らない軽微な事象
   該当なし

 

3.その他
発電所名 高浜発電所2号機 発 生 日 9月7日(運転中)
件名 脱気器水位制御弁の不調について (添付図-3)
事象概要
および
対 策 等
 美浜3号機の2次系配管破損事故に係る点検を終え、プラントを起動して発電を再開し、定格熱出力一定運転中のところ、復水流量の周期的な変動が認められ、詳細点検を実施していたところ、脱気器水位制御弁のポジショナー出口圧力が通常値(約400〜560kPa)と比較して低い(110〜230kPa)ことを確認しました。また復水流量の周期的な変動に伴い、発電機出力も若干変動していましたが、プラントの運転に直ちに支障のあるものではありませんでした。
 当該制御弁を隔離し、調査を行った結果、脱気器水位制御弁ポジショナー*1パイロットリレーのノズルと抵触するフラッパー*2に当たり傷が確認されました。
 推定原因として、
プラント点検停止に伴い復水系統の低流量運転状態が続き、当該制御弁の開度が小さかったため、流体による配管振動により、ノズルとフラッパーが接触し、フラッパーに当たり傷が発生したものと推定されました。
フラッパーにノズルとの当たり傷が確認されたことから、ノズルがフラッパーに強く当たることにより、平らなフラッパーがわずかに反り返ったために、ノズルから放出される空気量が増え、水位制御弁をコントロールするために必要な空気圧(ポジショナー出口圧力)が低くなり、当該制御弁の制御性が低下したことで、弁の動作幅が大きくなり、復水流量の変動が起こったものと推定されました。
 対策として、当該水位制御弁ポジショナーのパイロットリレーおよびフラッパーを予備品と取り替え、健全性を確認後、通常状態に復帰させました。

*1 ポジショナー: 制御弁の開度信号と弁の開度を比較し、制御弁の開度信号に応じた弁の開度を正確に維持するための装置。
*2 フラッパー: パイロットリレーのノズルから放出される空気量を調整する板バネ。


以 上

 

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