風の力で電気を作る仕組み

「風力発電(ふうりょくはつでん)」では、風の力を使って電気をつくっているんだ。

風力発電設備(せつび)は…

  • ・大きなビルほどの高さがある「タワー」
  • ・風を受け止める大きな羽(ブレード)を組み合わせた「ロータ」
  • ・電気を作る発電機や「増速機(ぞうそくき)」が入っている「ナセル」

の3つでできているよ。

高い空を流れる強い風を、大きな羽(ブレード)で受け止めると、ロータがぐるぐると回転をはじめるよ。ロータとその後ろにあるナセルはつながっていて、ロータの回転はナセルに伝わっていくんだ。ナセルの中では、増速機という機械が、ロータから伝わってきた回転のスピードをさらに速くするんだ。そして、より速くなった回転の力を発電機に伝えて、電気に変えているんだ。
※増速機を使わず、ロータと発電機が直接つながっている場合もあるよ。

関西電力グループの「田原4区風力発電所」の発電設備は、タワーの高さが約80m、ロータの直径が約80mもあるんだよ。

風車の「かたち」と「大きさ」のちがい

風力発電で使われる「風車」には、色々な「かたち」と「大きさ」があるんだ。
風車のかたちは、風車の回転を伝える「軸(じく)の向き」によって、大きく2つの種類にわかれるんだ。
軸の向きが「地面と水平」の風車は「水平軸型(すいへいじくがた)」、「地面に垂直(すいちょく)」の風車は「垂直軸型(すいちょくじくがた)」と呼ばれているよ。

水平軸型の代表的な風車が「プロペラ型」で、風力発電で使われる風車の場合、羽の数は3枚のものが多いんだ。プロペラ型の風車は、羽の数が少ないほど回転が速くなるよ。水平軸型のその他の風車としては、木製の羽に布を張った「オランダ型」や、たくさんの羽がついている「多翼型(たよくがた)」といった風車があるんだ。

垂直軸型の風車にも色々な形があるけど、おもに風力発電で使われているのは、「ダリウス型」と「サボニウス型」だよ。どちらの風車も、発明した人の名前がついているんだ。垂直軸型の風車は「どの風向きでも回る」という便利なところがあるけど、水平軸型に比べると、広い場所が必要になるといった問題もあるよ。

では、次に風車の「大きさ」のちがいを見てみよう。同じスピードの風であれば、風車は「大きければ大きいほど、回転する力が強くなる」=「たくさんの電気を作ることができる」ということになるんだ。
ペットボトルで風力発電の実験をするときは、いろんなかたちや大きさの風車を作って比べてみよう。

風の力で、どのくらい発電できるの?

風の力で電気を作る「風力発電」では、どのくらいの電気ができるのか気になるよね?風力発電の場合、風を受け止める羽の大きさや、風車が回るスピードなどによって、電気を作り出す量は変わってくるんだ。

関西電力グループの田原4区風力発電所を例にすると、1つの風力発電設備で、1年間に約460万kWh(キロワットアワー)の電気を作り出せるんだよ。これは、みんなのお家で1年間に使われる電気の、約1,500戸分になるんだ。(※月間電力使用量を260kWh/戸と想定した場合))
石油やガスなどの燃料を使わず、風の力を受け止めるだけで電気を作り出せる風力発電。日本だけでなく世界の色々な場所でさかんになっているんだよ。

でも、風力発電にも良いところばかりではなく、まだまだ課題があるんだ。
風がふいていれば発電はできるけど、風は常に一定の力でふいているわけではないので、発電の量が安定しないんだ。他にも、羽の回転による騒音(そうおん)問題や羽に鳥がまきこまれてしまう事故(バードストライク)が起こってしまうこともあるんだ。


出典:気象庁「雨と風の階級表」から作成

(2017年7月時点の内容です)

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