松本 関西電力の変革を牽引する森社長の人物像に迫りたいと思います。これまでどのようなキャリアを積んで来られたのですか?
森 大学院で電気工学を学び、入社後は送電部門に長く従事し、現場第一線の大切さや安全がいかに重要なものかについて叩き込まれました。その後、送電部門を離れ、地域対応やまちづくりを行う部門で、地域の皆さまやお客さまの声を直接伺う機会に恵まれました。また、再エネ事業や水素事業など電気事業の新分野を経験できたこともありがたかったです。
松本 大切にしている言葉や座右の銘、リーダーとしての心得などは?
森 座右の銘は「日に新た」。今日できることをしっかりやり遂げ、新しい日を迎える。あるいは、退化しないよう、必ず日々進化しようという自分への戒めにもなっています。加えて、私が部下に常に言ってきたのは、「失敗してもかめへん、明日がある」と。新しい事業を切り拓くためには、失敗を恐れず挑戦することが不可欠。たとえ失敗しても反省を踏まえて次につなげていけばいい。慎重に考え過ぎてやらないのではなく、やりながら考える。私自身こういう「日に新た」の考え方で仕事をしてきました。
松本 私はショックなことがあると引きずってしまいがちですが、森社長は、何かあっても翌日には切り替えると。(笑)
森 いや、引きずります(笑)。だけど気を取り直して挑戦しようと、自分を鼓舞する言葉でもあります。本質は楽観的な人間です。
松本 今、非常に多忙でしょうが、プライベートはどのようにお過ごしですか?
森 オンとオフの切替えも大事なので、オフは仕事のことはできるだけ考えません。ぼーっと休養している日もありますが、最近、プランターでミニトマトやキュウリを栽培するのが楽しく、今朝も収穫したトマトを食べてきました。(笑)
松本 2025年には大阪・関西万博もありますが、関西への思いは?
森 大阪・関西万博は未来社会の実験場というコンセプトですので、私たちも未来のエネルギーを体感いただけるような企画ができればと考えています。電気事業連合会でパビリオンを出展しますが、関西電力としても新しいチャレンジをしたい。例えばモビリティについては、陸・海・空とありますが、会場内の移動手段である電気バスを、走行中でもワイヤレスで給電できる技術を活用して走らせる予定です。空飛ぶクルマや水素燃料電池船も実装を目指して取り組んでいます。
万博は未来を先取りしてお見せする場。特に子供たちに将来のエネルギーについて興味を持っていただける万博にしたいですね。
電力自由化もあって事業は全国で展開していますが、やはり私たちは関西を基盤とした会社ですので、関西経済の発展に貢献したいと考えています。
松本 では今後の抱負、メッセージをいただけますか。
森 関西電力グループの未来に向けた新しい姿を従業員と一緒につくっていく。そのためにも、経営理念で掲げている、「『あたりまえ』を守り、創る」を実践していきます。私たちの事業は、電気の安定供給をベースにした事業であることには変わりなく、電気が点くのは「あたりまえ」。この今ある「『あたりまえ』を守る」。加えて未来の「『あたりまえ』を創る」。よくお客さま目線と言いますが、未来のお客さまのニーズを先取りして、未来の新しい価値を創造し、社会のお役に立つ。「守り・創る」を両輪で進めたい。
そして、グループ3万人の従業員がそれぞれの持ち場で活躍できるよう、風通しの良い働きやすい職場をつくる。安全・安定供給を守るという使命をしっかり果たすとともに、新しい価値も生まれる。そういう会社にしていきたいと考えています。
松本 新しい時代を切り拓かれ、ますますの飛躍を期待しています。
本日はありがとうございました。