プレスリリース

2009年12月25日
関西電力株式会社

大飯発電所2号機の燃料集合体漏えいに係る調査結果について(原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、定格熱出力一定運転中の8月31日、1次冷却材中のよう素(I−131)濃度と希ガス※1濃度が前回の測定値を上回ったため、燃料集合体に漏えい※2が発生した疑いがあるものと判断し、1次冷却材中の放射能濃度の監視を強化して運転を継続していましたが、10月6日頃から希ガス濃度が上昇傾向にあったことから、漏えい燃料の特定調査を実施するため、10月21日に原子炉を停止しました。
 1次冷却材中の放射能を低減させた後、12月7日から漏えい燃料を特定するため、シッピング検査※3を実施したところ、2体の燃料集合体で漏えいが認められました。
 燃料集合体2体の燃料棒について、漏えい燃料棒特定のため超音波による調査※4を実施した結果、燃料集合体1体(KCHC81)の燃料棒3本、別の燃料集合体1体(KCHC88)の燃料棒1本で漏えいが認められました。
 漏えいが認められた燃料棒計4本について、ファイバースコープを用いて外観目視点検を実施したところ、燃料集合体(KCHC81)の漏えい燃料棒3本では、燃料棒(全264本/体)を保持している第9支持格子※5(最下段)の内部で、燃料棒を支持している支持板またはばね板と燃料棒との間で隙間が認められました。また、そのうちの1本については、第1支持格子(最上段)の下で二次的な水素化※6によるものと思われる燃料棒被覆管の膨らみが認められました。もう一方の燃料集合体(KCHC88)の漏えい燃料棒では、明らかな隙間等は認められませんでした。
 漏えいが確認された燃料集合体2体は、いずれも同一メーカで、同一時期に製造された燃料でした。

  • ※1 ウランの核分裂反応で生成するキセノン等のガス。
  • ※2 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素や希ガスが1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素や希ガス濃度の変化から、漏えいの疑いの有無を判断している。
  • ※3 燃料集合体から漏れ出てくる気体および液体に含まれる核分裂生成物(キセノン-133、よう素-131等)の量を確認し、漏えい燃料集合体かどうか判断する検査。
  • ※4 漏えいが発生した燃料棒の内部に漏えい孔から浸入した水が存在すると、健全な燃料棒に比べて、燃料被覆管を伝播する際の超音波が減衰する。これを検出することで、漏えい燃料棒を特定する。
  • ※5 燃料棒を保持するための部品であり、支持格子内は燃料棒1本ごとに燃料棒を保持するための支持板とばね板で構成される。
  • ※6 何らかの原因により燃料に一次破損が生じると、冷却水が燃料棒内に浸入して水素が発生する。被覆管は水素を吸収し、一次破損箇所から離れた場所で膨らみが発生する。

平成21年9月1日10月19日21日12月7日8日18日お知らせ済み]

1.調査結果
(1)燃料集合体(KCHC81)の追加調査
  • ・当該燃料集合体(KCHC81)の健全な燃料棒(261本)について、ファイバースコープにより第9支持格子(最下段)内の確認を行ったところ、支持板またはばね板との間に隙間は認められませんでした。
  • ・過去の燃料漏えい事例※7を調査したところ、支持格子部に隙間が認められた場合の漏えい原因については、一次冷却材の流れによる微小な振動により、燃料棒と支持板またはばね板がこすれることで燃料棒が磨耗して微小孔(ピンホール)が発生するフレッティング磨耗でした。
  • ・当該燃料集合体の第9支持格子部の一次冷却材の流れを解析したところ、漏えい燃料棒付近の支持格子コーナー部は、中央部に比べて一次冷却材の流れにより燃料棒を振動させる力が強くなる可能性があることがわかりました。
  • ※7 過去のフレッティング磨耗は、原子炉容器内バッフル板のコーナー部の燃料集合体の上部支持格子部で発生しており、支持格子の設計改良が施された後は同様な事象が発生していないことから、今回の事象との関連性はないと考えられます。
(2)燃料集合体(KCHC88)の追加調査
  • ・燃料集合体(KCHC88)の漏えいが第9支持格子コーナー部の燃料棒で認められたことを受け、燃料集合体(KCHC88)の第9支持格子コーナー部を含む燃料棒(18本)について、ファイバースコープにより第9支持格子(最下段)内の確認を行ったところ、支持板またはばね板との間に隙間は認められませんでした。
(3)製造時期が同じ燃料集合体の調査
  • ・漏えい燃料集合体と同一時期に製造された燃料集合体全36体(当該燃料集合体2体を含む)について、材料から製品に至る製造データについて調査を行った結果、燃料棒を構成するペレット、被覆管および第9支持格子の製造データに大きな偏りはなく、燃料集合体の組み立て工程においても特異な点は認められませんでした。
  • ・また、発電所における使用、取扱実績等の運転履歴について調査を行いましたが、燃焼度や装荷サイクル数等の履歴は異なっており、特に問題点や共通性は認められませんでした。
  • ・今回漏えいした燃料2体と、昨年高浜発電所1号機で漏えいが認められた燃料2体の製造時期が比較的近いことから、製造データの詳細な調査を行ったところ、製造時の品質管理値は満足していましたが、ペレット成型時の上下端面の傾きが、他の製造時期のものに比べて大きい特徴が認められました。
(4)製造時期が異なる燃料集合体の調査
  • ・漏えい燃料集合体より後に製造された燃料集合体では、既に高い燃焼度までの使用実績があるものの、これまでに漏えいは発生していません。
  • ・念のため、これらの燃料集合体のうち6体について、ファイバースコープによる第9支持格子コーナー部の燃料棒(16本)の確認を行った結果、支持板またはばね板との間に隙間は認められませんでした。
2.推定原因
  • ・燃料集合体1体(KCHC81)については、過去の燃料漏えいの事例や、漏えいが認められた燃料棒のファイバースコープによる観察結果および運転中の放射能濃度推移から、第9支持格子内での燃料棒と支持板またはばね板の接触する面で、一次冷却材の流れに当該燃料集合体固有の要因が重なったことで発生した微小な振動によって燃料棒が摩耗し、微小孔(ピンホール)が生じて、そこから漏えいしたものと推定しました。
  • ・もう一方の燃料集合体1体(KCHC88)については、隙間等の異常は見つからなかったことから、現時点で、原因は特定できませんでした。
3.対 策
  • ・漏えいが確認された燃料集合体2体については今後再使用しないこととし、漏えいに至ったメカニズム解明のため、当該燃料集合体2体を1年から2年程度、使用済燃料ピットで冷却および放射能を低減させた後、試験研究施設へ搬出し詳細な調査を実施する予定です。
  • ・また、漏えい原因が判明するまで、今回漏えいした2体と同一メーカ、同一時期製造の燃料集合体の使用を見合わせることとします。

 大飯発電所2号機は今後、燃料装荷等の必要な作業を行い、1月下旬頃に原子炉を起動する予定です。

以 上