プレスリリース

2009年12月8日
関西電力株式会社

大飯発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

大飯発電所1号機 第23回定期検査の概要

1.主要工事等
(1)耐震裕度向上工事 図−1参照

 設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管、エアリタン排気系統や補助建屋よう素除去排気系統のダクト、補助復水タンクやエアリタンファンなどの機器、伝送器の支持構造物を強化しました。
 また、ほう酸タンクの支持構造物強化を追加で実施しました。

(2)余熱除去系統入口部小口径配管他取替工事 図−2参照

 余熱除去系統入口部において、下記の工事を行いました。なお、これらの工事は対象箇所が隣接することから、作業性を考慮し、対象箇所の間に設置されている配管や弁等についても併せて取り替えました。

  • 1国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない 配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計画的に対策工事 *1を実施しており、今回は当該系統10箇所について溶接形状と材料を変更しました。
    *1 応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更。
  • 2海外製の電動弁について、保守性向上の観点から部品調達が容易な国産弁に取り替えました。
  • 3熱疲労を抑制するため一部の配管ルートを変更しました。
(3)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
図−3参照

 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、加圧器サージ管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台から、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替えました。

(4)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 図−4参照

 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度揺らぎによる熱疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管2箇所について、温度揺らぎを抑制するため、配管ルートを変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更しました。

(5)燃料取換クレーン取替工事  図−5参照

 燃料取扱作業の作業性向上の観点から、海外製の燃料取換クレーンを国産の燃料取換クレーンに取り替えました

(6)1次冷却材ポンプ軸シール部改造工事  図−6参照

 設備の信頼性を一層向上させる観点から、シールの摺動面で発生した摩耗粉がシールの動きを阻害することを防止するため、1次冷却材ポンプ4台のNo.3シール部に1次系純水を供給して摩耗粉を排出する系統を新たに設置しました。

(7)亜鉛注入装置設置工事 図−7参照

 作業員の被ばく低減の観点から、コバルト−60等の放射性物質が機器や配管内表面に付着することを抑制するため、1次冷却材中に亜鉛を注入する装置*2を化学体積制御系統に設置しました。

  • *2 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させることにより、コバルト−60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は、国内プラントでの実績がある。
(8)原子炉保護装置取替工事  図−8参照

 原子炉保護装置*3について、電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、電子部品と電子回路の一部を最新設計のものに取り替えました。

  • *3 1次冷却材系統の圧力・温度などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための信号を送る装置。
2.設備の保全対策
(1)発電機固定子コイル取替工事 図−9参照

 発電機固定子コイルの絶縁物材料が劣化傾向にあることから、予防保全として、発電機固定子コイルを新しいものに取り替えました。

(2)2次系配管の点検等  図−10参照
  • 1当社が定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,305箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。
     その結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
    (超音波検査1,294箇所*4、内面目視点検11箇所)
  • *4 定期検査開始時には、1,297箇所について超音波探傷検査(肉厚測定)を実施する計画であったが、このうち3箇所を作業性の観点から配管取替部位に追加したことから、合計1,294箇所について超音波検査を実施した。
  • 2今定期検査開始時に計画していた159箇所に加え、配管取替の作業性を考慮した部位3箇所を追加し、合計162箇所の配管を同種材(炭素鋼)または、耐食性に優れたステンレス鋼、低合金鋼の配管に取り替えました。
3.定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
(1)プラント排気筒ガスモニタの一時的な僅かな指示値の上昇について
図−11参照

 10月12日、19日の同時刻(10時10分から約10分間)にプラント排気筒ガスモニタの指示値が、僅かに上昇(通常値約14.5cps→最大約18.1cps)していることを確認しました。
 排気筒から放出された放射性気体廃棄物の量は、12日および19日の上昇分合計で、 約1.0×10ベクレルと評価されたが、この量は、保安規定に基づく大飯発電所の希ガス放出管理目標値(3.9×1015 ベクレル/年)に比べ十分低く、周辺環境等への影響はありませんでした。
 原因は、8月31日に発生した2号機での燃料漏えいに伴い、通常より高い濃度となっていた同機の放射性ガスを処理していた1・2号機の共用設備であるB−水素再結合装置にあるガス分析装置の入口酸素濃度計の自動校正時に、校正の際は閉止するガス圧縮機側の出口弁のシート部に漏れが発生したことから、ガス圧縮機側の高濃度の放射性ガスが校正用のガスとともに1号機プラント排気筒から放出されたためと推定しました。また、出口弁のシート部の漏れは、当該弁が閉止した状態で、出口側の圧力が弁体を押し上げるように作用する向きに取付けを行っていたためと推定しました。
 対策として、濃度計のプラント排気筒側への排出ラインは栓をして使用しないこととし、自動校正用ガスは全てガス圧縮機側に排出し、気体廃棄物処理系で処理することとしました。
 また、当該弁を新品に取り替えるとともに、自動校正中にシート漏れが起きない向きに取り付けました。

平成21年10月19日12月7日 お知らせ済み]

 その後、自動校正時の系統状況を模擬した漏えい確認を行い、シート部での漏れが無いことを確認しました。

4.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果

 蒸気発生器4台のうち、BおよびD−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、計6,764本)について、渦流探傷検査を実施し異常がないことを確認しました。

5.燃料集合体の取替え

 燃料集合体全数193体のうち56体(うち52体は、55,000MWd/t高燃焼度燃料の新燃料集合体)を取り替えました。
 燃料集合体の外観検査(43体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

6.次回定期検査の予定

 平成22年度 秋頃

 なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以 上

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