プレスリリース

2009年8月18日
関西電力株式会社

大飯発電所1号機の定期検査開始について

大飯発電所1号機 第23回定期検査の概要

1.主要工事等
(1)耐震裕度向上工事 図−1参照

 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管、エアリタン排気系統や補助建屋よう素除去排気系統のダクト、補助復水タンクやエアリタンファン、伝送器の支持構造物を強化します。

(2)余熱除去系統入口部小口径配管他取替工事 図−2参照

 余熱除去系統入口部において、下記の工事を行います。なお、これらの工事は対象箇所が隣接することから、作業性を考慮し、対象箇所の間に設置されている配管や弁等についても併せて取り替えます。

  • 1国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計画的に対策工事*1を実施しており、今回は当該系統10箇所について溶接形状と材料を変更します。
    • *1 応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更。
  • 2海外製の電動弁について、保守性向上の観点から部品調達が容易な国産弁に取り替えます。
  • 3熱疲労を抑制するため、一部配管ルートを変更します。
(3)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
図−3参照

 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、加圧器サージ管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台から、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替えます。

(4)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 図−4参照

 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度揺らぎによる熱疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管2箇所について、温度揺らぎを抑制するため、配管ルートを変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更します。

(5)燃料取換クレーン取替工事 図−5参照

 燃料取扱作業の作業性向上の観点から、海外製の燃料取換クレーンを国産の燃料取換クレーンに取り替えます。

(6)1次冷却材ポンプ軸シール部改造工事  図−6参照

 設備の信頼性を一層向上させる観点から、シールの摺動面で発生した摩耗粉がシールの動きを阻害することを防止するため、1次冷却材ポンプ4台のNo.3シール部に1次系純水を供給して摩耗粉を排出する系統を新たに設置します。

(7)亜鉛注入装置設置工事  図−7参照

 作業員の被ばく低減を図るため、コバルト−60等の放射性物質が機器や配管内表面に付着することを抑制するため、1次冷却材中に亜鉛を注入する装置*2を化学体積制御系統に設置します。

  • *2 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させることにより、コバルト−60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は、国内プラントでの実績がある。
(8)原子炉保護装置取替工事 図−8参照

 原子炉保護装置*3について、電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、電子部品と電子回路の一部を最新設計の保護装置に取り替えます。

  • *3 1次冷却材系統の圧力・温度などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための信号を送る装置。
2.設備の保全対策
(1)発電機固定子コイル取替工事 図−9参照

 発電機固定子コイルの絶縁物材料が劣化傾向にあることから、予防保全として、発電機固定子コイルを新しいものに取り替えます。

(2)2次系配管の点検等 図−10参照

 当社が定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,308箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。
(超音波検査1,297箇所、内面目視点検11箇所)
 また、過去の点検で減肉が確認された部位29箇所、配管取替え時の作業性を考慮した部位31箇所、配管の保守性を考慮した部位99箇所、合計159箇所を同種材(炭素鋼)または、耐食性に優れたステンレス鋼、低合金鋼の配管に取り替えます。

3.燃料集合体の取り替え

 燃料集合体全数193体のうち64体(うち52体は、55,000MWd/t高燃焼度燃料の新燃料集合体)を取り替える予定です。

4.今後の予定
原子炉起動、臨界 :平成21年12月上旬
調整運転開始 :平成21年12月中旬
本格運転再開 :平成22年 1月上旬

 なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以 上

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