プレスリリース

2008年12月12日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年12月11日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中
タービン動補助給水ポンプの運転上の制限の逸脱について
詳細は2(2)のとおり
【事象概要、原因対策を取りまとめましたのでお知らせ】
美浜発電所1、2号機の原子炉自動停止および3号機の系統単独運転について
詳細は2(2)のとおり
【事象概要は11月20日、21日にお知らせ済み】
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 第18回 定期検査中
H20年8月23日〜H21年1月下旬
予定
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
2号機 117.5万 運転中
6C高圧給水加熱器胴リリーフ弁の動作について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要は11月14日にお知らせ済み、原因対策を取りまとめましたのでお知らせ】
Bディーゼル発電機盤 直流制御電源回路の接地について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要、原因対策を取りまとめましたのでお知らせ】
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 第12回 定期検査中
H20年9月9日〜H21年1月上旬
予定(調整運転中)
 


2.トラブル等情報について

(1)法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)

      なし




(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  美浜発電所1、2、3号機 発 生 日 平成20年年11月20日
件  名 美浜発電所1、2号機の原子炉自動停止および3号機の系統単独運転について     (添付図1)
事象概要
および
対 策 等
 平成20年11月20日4時58分落雷により、送電系統(敦賀線)が送電停止しました。
 この影響により、調整運転(定格熱出力一定運転)中の美浜発電所3号機は、20日4時58分に系統単独運転※1に移行しました。その後、送電系統(敦賀線)が4時59分に復旧したことから、5時27分に送電を再開し、9時11分より出力上昇を開始し、同日20時15分に定格熱出力一定運転に復帰しました。
 定格熱出力一定運転中の美浜発電所2号機については、20日4時59分に原子炉が自動停止しました。その後、20日17時55分に原子炉を起動し、同日18時50分に臨界、21日の4時4分に発電を再開して、22日20時10分に定格熱出力一定運転に復帰しました。
 定格熱出力一定運転中の美浜発電所1号機については、20日4時59分に原子炉が自動停止しました。その後、21日18時00分に原子炉を起動し、同日18時55分に臨界、22日の9時30に発電を再開して、23日21時15分に定格熱出力一定運転に復帰しました。
 本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 系統単独運転
所内負荷および同じ送電系統の一部の負荷に送電を継続している状態。


平成20年11月20日、21日 お知らせ済み]

 なお、保安規定において、原子炉運転中は2系列以上の外部電源(送電線より受電)から受電可能であることが要求されていますが、3号機は、送電停止した4時58分から送電を再開した5時27分までの間、運転上の制限から逸脱した状態となりました(1、2号機は原子炉が自動停止したことにより、保安規定に定める異常時の措置に該当するため、運転上の制限は適用されません。)。
 また、原子炉運転中の制御棒は挿入限界以上※2であることが要求されていますが、3号機は系統単独運転となったことにより、4時59分に原子炉出力を低下させるため制御棒が挿入限界を超えて挿入されたことから、運転上の制限から逸脱した状態となりました。その後、ほう素濃度や制御棒の位置の調整を行い、5時43分に運転上の制限の逸脱から復旧しました。


  ※2: 挿入限界
制御棒で原子炉が余裕をもって停止できるよう、通常運転時には制御棒の挿入位置を制限しており、これを挿入限界という。




発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 平成20年年12月3日
件  名 タービン動補助給水ポンプの運転上の制限の逸脱について     (添付図2)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年12月3日、3台ある補助給水ポンプ※1のうち、タービン動補助給水ポンプについて、9時16分にポンプを起動し定期試験(1回/月)を行っていたところ、ポンプから送り出される給水の圧力(吐出圧力)が通常(約8MPa)より低いこと(約4MPa)が確認されたため、9時21分に当該ポンプを停止し、試験を中断しました。このため、9時30分に保安規定で定める運転上の制限※2を満足していないものと判断しました。
 タービン動補助給水ポンプの外観を確認した結果、当該ポンプのタービンに流入する蒸気量を調整するガバナ弁の弁軸を上下させて、ガバナ弁を開閉させる部品(油圧ピストンスピンドル)の位置が全開状態であるべきところ中間開度になっていることを確認しました。
 このため、ガバナ弁駆動部を分解点検したところ油圧ピストンスピンドルに繋がるガバナ弁の弁軸に引っ掛かりがあることを確認しました。また、ガバナ弁の弁軸とそのガイド部の摺動面に擦れ痕を確認しました。さらに、ガバナ弁のドレン排出管が錆および昆虫の死骸で詰まっていたことや、ドレン室内から水が出てきておりドレン室内の全体が濡れていたことを確認しました。
 このことから、ガバナ弁ドレン排出管内に、錆および昆虫の死骸が詰まったことでガバナ弁ドレン室内が満水状態となり、その状態でポンプ起動に伴いガバナ弁の弁軸が動いた際、ドレン室内の錆が弁軸と下部ガイドの隙間に噛み込み弁軸の動きを阻害したため、ガバナ弁が中間開度までしか開かず、ポンプに十分な駆動用蒸気が供給されなかったものと推定されました。   
 対策として、ドレン排出管の清掃とガバナ弁の弁体および下部ガイド部の手入れを行ったうえでポンプを復旧し、当該ポンプの健全性を確認した上で、6日5時56分に待機状態(運転上の制限を満足した状態)に復帰しました。
 また、ドレン排出管先端部からの昆虫の侵入を防止するため、先端部周辺を金網で覆いました。
 今後、定期検査時に毎回ドレン排出管の清掃を行うこととします。
 本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 補助給水ポンプ
主給水系統事故時など通常の給水系統の機能が失われた場合に、蒸気発生器に給水するためのポンプ。 美浜発電所1号機には、タービン動ポンプが1台、電動ポンプが2台ある。
  ※2: 保安規定で定める運転上の制限
運転中は、補助給水ポンプ3台が動作可能であることが要求されている。





(3)保全品質情報等
発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 平成20年11月3日
件  名 6C高圧給水加熱器胴リリーフ弁の動作について    (添付図3)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年11月3日18時40分、タービン建屋1階および2階面の火災報知器が動作したため、直ちに当直員がタービン建屋2階および1階の現場確認を実施したところ、1階ドレンファンネル(以下受皿)の近くにある階段周辺に蒸気が漂っていることを確認しました。
 点検の結果、タービン建屋の2階に3台設置されている高圧給水加熱器※1のうち、1台の加熱器(6C)の胴リリーフ弁※2が動作(弁閉→弁開)し、排出管を通って1階にある受皿に蒸気が排出されていることが確認されました。このため、当該加熱器の隔離を行い蒸気の排出が停止しました。これらの操作に伴い、発電機出力が約118.3万kWに低下(約1.4%)しましたが、プラント運転に支障はありませんでした。当該リリーフ弁を分解した結果、バネは腐食し3箇所で折損していました。これにより運転中に弁シート力※3が低下し、設定値以下で動作したものと考えられます。

 対策として、当該リリーフ弁のバネを新しいものに取替え、隔離していた系統を復旧しました。
 本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 高圧給水加熱器
給水加熱器は、タービンから一部の蒸気を抽出した蒸気で、2次系給水系統の水を加熱する機器で、1〜5は低圧給水加熱器、最終段の6は高圧給水加熱器と呼んでいる。高圧給水加熱器は3系統(A、B、C)設置されており、6C高圧給水加熱器はそのうちの1系統である。
  ※2: リリーフ弁
高圧給水加熱器内の圧力が高くなった場合に開いて、高圧給水加熱器内の圧力を減圧する弁。
  ※3: シート力
リリーフ弁は、バネの力により弁体を弁座に押し付けており、高圧給水加熱器内の圧力がバネの押し付ける力(設定値)より高くなった場合に開く。このバネの押し付ける力をシート力という。


平成20年11月14日 お知らせ済み]

 その後、バネが折損した原因を調査したところ、当該リリーフ弁の排気管が入っている受皿に、補助蒸気連絡管のドレンが常時流入しており、そのドレンによる湯気(湿気)が、当該リリーフ弁内に排出管から回り込み、バネが腐食し折損したものと推定しました。
 対策として、当該受皿から湯気が出ないように、補助蒸気連絡管のドレン排出先を変更しました。





発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 平成20年12月4日
件  名 Bディーゼル発電機盤 直流制御電源回路の接地について   (添付図4)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年12月4日9時39分に、2系列(A、B)ある直流電源のうちB系列の接地※1警報が発信しました。なお、B系列の電圧は規定値以上であり、プラントへの影響はありませんでした。
 接地箇所を特定するため、B系列に接続されている各回路の接地抵抗※2を測定した結果、Bディーゼル発電機の回転計ユニット※3の接地抵抗が低いことが確認されました。このことから、8日14時45分にBディーゼル発電機を計画的に待機除外※4とし、当該回転計ユニットを取り外して内部を点検しました。
 その結果、回転計ユニット内の保護回路※5の接地抵抗が低く、当該保護回路が接地箇所であると判明しました。対策として、当該保護回路を新品に取替え、接地警報が復帰したことを確認しました。
 なお、Bディーゼル発電機については、起動試験で健全性を確認した上で、9日14時36分に待機状態へ復旧しています。
 本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 接地
機器と大地間に電気的に接続された状態。
  ※2: 接地抵抗
機器と大地間の抵抗であり、接地していなければ抵抗は無限大である。
  ※3: 回転計ユニット
ディーゼル発電機の回転数を検出する装置。
  ※4: 待機除外
ディーゼル発電機を自動起動できる状態(待機状態)から自動起動できない状態にすること。
  ※5: 保護回路
過電流および過電圧が発生した際に回路を保護するためのもの。

以 上

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