プレスリリース

2008年11月14日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年11月13日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中
水平地震パーシャルトリップ」警報の発信について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要、原因対策を取りまとめましたのでお知らせ】
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 第23回 定期検査中
H20年9月1日〜H20年12月上旬
予定(調整運転中)
 
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 第18回 定期検査中
H20年8月23日〜H21年1月下旬
予定
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
2号機 117.5万 運転中
6C高圧給水加熱器胴リリーフ弁の動作について
詳細は2(3)のとおり
【事象概要を取りまとめましたのでお知らせ】
3号機 118.0万 第13回 定期検査中
H20年2月2日〜H20年12月上旬
予定(調整運転中)
 
4号機 118.0万 第12回 定期検査中
H20年9月9日〜H21年1月上旬
燃料集合体漏えい検査結果について
詳細は2(2)のとおり
H20年10月23日他にお知らせ済み】


2.トラブル等情報について

(1)法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)

      なし




(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  大飯発電所4号機 発 生 日 平成20年8月19日
件  名 燃料集合体漏えい検査結果について     (添付図1)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年8月19日、1次冷却材中のよう素(I−131)濃度の上昇(約0.6Bq/cm3から約1.1Bq/cm3)が認められたことから、燃料集合体に漏えい※1が発生した疑いがあるものと判断しました。このため、1次冷却材中の放射能濃度の監視を強化した上で運転を継続していましたが、放射性廃棄物の放出抑制の観点から定期検査開始時期を約2日間前倒しして、9月9日から第12回定期検査を開始しました。

  [燃料集合体漏えい検査の結果]
  原子炉に装荷されていた燃料集合体全数(193体)について、漏えい燃料集合体を特定するためシッピング検査※2を行った結果、燃料集合体1体に放射性物質の漏えいが認められました。
  漏えいが認められた燃料集合体の設計燃焼度は55,000MWd/tで、取り出し時の燃焼度は37,562MWd/t(2サイクル使用)でした。
  漏えいが認められた燃料集合体1体について、水中カメラによる外観目視点検を実施したところ、異常は認められませんでした。
  漏えい燃料棒の特定のため、超音波による調査※3を実施した結果、燃料棒1本に漏えいが認められました。当該燃料棒1本について、ファイバースコープを用いて外面目視点検を実施したところ、傷等の異常は認められませんでした。


 これらの検査結果から、今回の漏えいは、燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピンホール)によるものと推定しました。
 当該燃料集合体1体は再使用しないこととし、知見拡充のため、当該燃料集合体を1年間程度、使用済燃料ピットで冷却および放射能を低減させた後、試験研究施設に搬出し、詳細な調査を実施する予定です。
 本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
 なお、今回の燃料集合体からの漏えいにより、定期検査開始時に実施している1次系の放射能低減操作に時間を要したことから、原子炉起動時期を11月下旬から12月上旬に変更します。


  ※1: 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。
  ※2: 燃料集合体から漏れ出てくる気体および液体に含まれる核分裂生成物(キセノン-133、よう素-131等)の量を確認し、漏えい燃料集合体かどうか判断する。
  ※3: 漏えいが発生した燃料棒の内部に漏えい孔から浸入した水が存在すると、健全な燃料棒に比べて、燃料被覆管を伝播する際の超音波が減衰する。これを検出することで、漏えい燃料棒を特定する。


平成20年8月19日9月9日10月23日 お知らせ済み]




(3)保全品質情報等
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 平成20年10月28日
件  名 「水平地震パーシャルトリップ」警報の発信について    (添付図2)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年10月28日14時9分に「水平地震パーシャルトリップ※1」警報が発信しました。
 警報回路はA、Bの2系統※2あり、3台設置されている水平地震計からの信号をA系統およびB系統で監視しています。今回の事象では、水平地震計1台のA系統の信号のみが発信しており、当該地震計のB系統および残りの2台の水平地震計は信号を発信していませんでした。
 これらのことから、信号を発信している水平地震計のA系統の信号回路に不具合が生じたものと判断し、点検を実施した結果、ケーブルのハンダ付け部分でケーブルの外れを確認しました。また、ハンダ付け部分を確認したところハンダ量が少ないことから、ケーブルが外れた原因は、ケーブルの接続が不十分であったためと推定しました。
 対策として、ケーブル接続部のハンダ付けをやり直しました。
 なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 水平地震パーシャルトリップ
原子炉停止に係る注意警報で、3台ある水平地震計のうち1台が信号を発信した場合に、発報する警報。2台以上の信号が発信した場合は、原子炉が停止する。
  ※2: A、Bの2系統
警報回路は、多重性を持っており、A、Bの2つの系統(回路)で構成されている。




発電所名  大飯発電所2号機 発 生 日 平成20年11月3日
件  名 6C高圧給水加熱器胴リリーフ弁の動作について  (添付図3)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年11月3日18時40分、タービン建屋1階および2階面の火災報知器が動作したため、直ちに当直員がタービン建屋2階および1階の現場確認を実施したところ、一階ドレンファンネル(受皿)の近くにある階段周辺に蒸気が漂っていることを確認しました。
 点検の結果、タービン建屋の2階に3台設置されている高圧給水加熱器※1のうち、1台の加熱器(6C)の胴リリーフ弁※2が動作(弁閉→弁開)し、排出管を通って1階にあるドレンファンネル(受皿)に蒸気が排出されていることが確認されました。このため、当該加熱器の隔離を行い蒸気の排出が停止しました。これらの操作に伴い、発電機出力が約118.3万kWに低下(約1.4%)しましたが、プラント運転に支障はありませんでした。当該リリーフ弁を分解した結果、バネは腐食し3箇所で折損していました。これにより運転中に弁シート力※3が低下し、設定値以下で動作したものと考えられます。
 バネが折損した原因については、現在調査中です。
 対策として、当該リリーフ弁のバネを新しいものに取替え、隔離していた系統を復旧しました。
 なお、排出された蒸気は放射性物質を含まない2次系の蒸気であり、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 高圧給水加熱器
給水加熱器は、タービンから一部の蒸気を抽出した蒸気で、2次系給水系統の水を加熱する機器で、1〜5は低圧給水加熱器、最終段の6は高圧給水加熱器と呼んでいる。高圧給水加熱器は3系統(A、B、C)設置されており、6C高圧給水加熱器はそのうちの1系統である。
  ※2: リリーフ弁
高圧給水加熱器内の圧力が高くなった場合に開いて、高圧給水加熱器内の圧力を減圧する弁
  ※3: シート力
リリーフ弁は、バネの力により弁体を弁座に押し付けており、高圧給水加熱器内の圧力がバネの押し付ける力(設定値)より高くなった場合に開く。このバネの押し付ける力をシート力という。

以 上

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