プレスリリース

2008年9月16日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成20年9月15日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 第23回 定期検査中
H20年9月1日〜H20年12月上旬
 
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 第18回 定期検査中
H20年8月23日〜H21年1月下旬
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 第13回 定期検査中
H20年2月2日〜未定
原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について
詳細は2(1)のとおり
【事象概要等はH20年8月27日他にお知らせ済み】
海水淡水化装置建屋内での協力会社作業員の負傷について
詳細は2(2)のとおり
【事象概要等を取りまとめましたのでお知らせ】
4号機 118.0万 第12回 定期検査中
H20年9月9日〜H20年12月中旬
1次冷却材中の放射能濃度の上昇について
詳細は2(2)のとおり
【事象概要等はH20年9月9日他にお知らせ済み】


2.トラブル等情報について

(1) 法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
発電所名  大飯発電所3号機 発 生 日 第13回定期検査中
(平成20年4月8日)
件  名 原子炉容器Aループ出口管台溶接部の点検状況について
事象概要
および
対 策 等
 第13回定期検査中に、国内外で発生した600系ニッケル基合金溶接部での応力腐食割れ事象を踏まえ、原子炉容器出入口管台(計8箇所)の溶接部にウォータージェットピーニング工事※1を実施する計画としていました。
 この工事のため、3月6日から3月10日にかけて、事前に当該溶接部内面の渦流探傷試験(ECT)※2を行ったところ、Aループ出口管台の600系ニッケル基合金溶接部1箇所で有意な信号指示(長さ約10mm)を確認しました。なお、Aループ入口管台およびB、C、D各ループの出入口管台については、有意な信号指示は認められませんでした。
 水中カメラにより詳細に点検したところ、傷の形状は複数に折れ曲がるとともに枝分かれした長さ約3mmの割れであり、1次冷却材環境下における応力腐食割れ※3の特徴を有しており、傷の周辺では、引張応力が残留する可能性がある機械加工※4跡を確認しました。これらのことから、1次冷却材環境下における応力腐食割れの可能性が高いと推定しました。
 この部位について、超音波探傷試験(UT)※5を行った結果、傷の深さは特定できませんでした。ECTで有意な信号指示が確認されなくなるまで当該部表面の研削を行うこととして、4月22日より研削を開始しましたが、約3.6mm研削した時点で、外観目視観察で傷が確認でき、ECTにおいても有意な信号指示が認められている状況であり、さらに研削した場合、工事計画認可申請書※6に記載している板厚(70mm)を下回る可能性があったことから、記載内容を変更する手続きを国に行い、手続き完了後、研削を再開することとしました。
 傷の深さを確認するため、工事計画認可申請書に記載の板厚を変更(70mmから64mm)しました(なお元の板厚は約74.6mm)。その後、深さ約10.5mm(板厚約64.1mm)まで研削しましたが、外観目視観察で傷が確認でき、ECTで有意な信号指示が認められていました。
 さらに深く研削を行うため、工事計画認可申請書の記載板厚を、傷が残っている部分を含めた箱状(軸方向約11cm、周方向約13cm)の部分のみを64mmから53mmに、その他の部分を70mmに変更し、強度上の問題がないことを確認したうえで、7月30日に国に対し変更手続きを行い、8月8日にこの変更手続きが承認されたことをうけ、当社は、当該傷の深さを確認するために、同日より研削を再開しました。
 その後、深さ約20.3mm(当該部分の板厚約54.3mm)まで研削した結果、8月23日、外観目視観察で傷が認められず、渦流探傷試験でも有意な信号指示が確認されなくなりました。さらに念のため追加研削(約0.7mm)を行い、傷がないことを確認しました(当該部分の板厚約53.6mm)。
 今後は、当該部分の寸法や傷がないことについて国の確認を受けるとともに、本事象にかかる原因と対策をとりまとめ、国をはじめご関係各所に報告したいと考えています。なお、今後の定期検査工程については現時点で未定です。
 本事象による周辺環境への影響はありません。


  ※1: ウォータージェットピーニング工事
金属表面に高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる。
  ※2: 渦流探傷試験(ECT)
高周波電流を流したコイルを対象となる配管等に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥に起こった渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。
  ※3: 1次冷却材環境下における応力腐食割れ
1次冷却材環境下で600系ニッケル基合金に発生するPWRプラント特有の応力腐食割れ。(材料、環境および応力の3要素が重なって発生する割れ)
  ※4: 機械加工
溶接により発生する表面の凸凹を切除するとともに、管台とセーフエンド部の段差を無くすため、金属製の刃を周方向に回転させ切削加工すること。
  ※5: 超音波探傷試験(UT)
超音波を使って金属等の内部にある傷を検出する試験。
  ※6: 工事計画認可申請書
発電所の建設工事を開始する前に機器の詳細設計内容について、国に提出する申請書。


平成20年4月17日5月16日5月26日6月16日7月16日8月8日8月15日8月27日お知らせ済み]




(2)安全協定の異常時報告事象
発電所名  大飯発電所4号機 発 生 日 平成20年8月19日
件  名 1次冷却材中の放射能濃度の上昇について   (添付図1)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中の平成20年8月6日、定例(3回/週)の1次冷却材中のよう素131濃度測定を行った結果、前回の測定値(約0.6Bq/cm3)を若干上回る値(約0.8Bq/cm3)を確認しました。その後の測定でも、よう素131濃度の上昇(約1.1Bq/cm3)が認められたことから、8月19日に燃料集合体に漏えい※1が発生した疑いがあるものと判断しました。よう素131濃度は、保安規定に定められた運転上の制限値(40,000 Bq/cm3)に比べて十分低く、発電所の運転および環境安全上の問題はないと判断されることから、1次冷却材中の放射能濃度測定頻度を上げて監視を強化し、運転を継続していました。
 9月9日のよう素131濃度は、運転上の制限値(40,000 Bq/cm3)に比べ十分低い値(約1.0Bq/cm3)でしたが、1次冷却材中の希ガス※2濃度を考慮して、放射性廃棄物の放出抑制の観点から、第12回定期検査開始時期を約2日間前倒し、9月9日から開始しました。
 定期検査では漏えい燃料集合体を特定するため、燃料集合体全数(193体)について燃料集合体シッピング検査※3を行います。なお、漏えいが確認された燃料集合体については外観検査を行い、今後は使用しないこととします。
 この事象による、環境への放射能の影響はありませんでした。


  ※1: 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素131が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素131濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。
  ※2: ウランの核分裂反応で生成するキセノン等のガス。
  ※3: 漏えい燃料集合体から漏れ出てくる核分裂生成物(キセノン133)を検出し、バックグラウンドと比較することにより、漏えい燃料集合体かどうかを判断する検査。


平成20年8月19日9月9日お知らせ済み]




発電所名  大飯発電所3、4号機 発 生 日 平成20年9月8日
件  名 海水淡水化装置建屋内での協力会社作業員の負傷について  (添付図2)
事象概要
および
対 策 等
 9月8日9時45分頃、大飯発電所3、4号機共用の海水淡水化装置※1建屋において、協力会社作業員が、滅菌タンクに次亜塩素酸ソーダ※2を投入後、空のポリ容器(10リットル容器)を右手に、作業手順書を左手に持って踏み台を降りていたところ、足元を滑らせバランスを崩して床面に転倒し、左肘を床面に打ち付け負傷しました。外傷および出血はありませんでしたが左肘に痛みがあるため、10時12分に当該作業員を病院へ搬送し、診察を受けた結果、左肘負傷により9月中は就労できず3ヶ月間の加療を要する見込みと診断されました。
 転倒した原因を調査した結果、踏み台を降りる際に十分な注意を払っていなかったこと、右手にもっていたポリ容器により足元が見えにくい状態であったこと、踏み台のステップ幅が十分でなく踏み外す可能性のある構造であったことがわかりました。
 対策として、本事例に基づく注意喚起文書を作成し、当社社員および協力会社社員に周知し、階段等昇降時の足元の確実な確認および慣れた作業にも危険要因が潜んでいることを徹底しました。また、危険要因への感受性を高めるための危険予知活動の活性化を継続して実施します。さらに、当該踏み台のステップ幅を拡張し滑りにくい大きさにしました。なお、ステップ幅拡張完了までの間は、踏み台に目立つビニールテープを貼り付け注意喚起を行いました。


  ※1: 海水淡水化装置
発電所用水確保のため、海水から淡水(真水)を生産するための装置。(非管理区域)
  ※2: 次亜塩素酸ソーダ
一般に飲料水に使われる滅菌用の薬品




(3)保全品質情報等

      なし

以 上

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